ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005/東京佼成WO・・・【収録曲】 「ミスター・インクレディブル」のテーマ、スカイ・ハイ、ディスコ・パーティーIII〜恋のナイト・フィーバー〜ハロー・ミスター・モンキー〜愛がすべて〜セプテンバー)、ハウルの動く城より、仁義なき戦い 詳細

ビムス・エディションズ・バンド・コレクション(キスカ・マーチ収録)
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富樫哲佳の「音楽コラム【ぐるしん】吹奏楽版」
今年も来ました!
「ニュー・サウンズ・イン・ブラス2005」のすべてを実践的にご紹介!!

 いまやわが国を代表するポップス吹奏楽シリーズである「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」(NSB)。その2005年版CDを試聴することができたので、おおまかにご紹介しておこう。

 今年度も、全10曲が収録され、キラ星のごとき作・編曲家が寄ってたかって(?)、究極のポップス吹奏楽の世界を繰り広げている。もちろん指揮は、御大・岩井直溥氏。演奏は、東京佼成ウインドオーケストラである。

 ちなみに、筆者はスコアは未見なので、もしかしたら、誤解して聴いている部分があるかもしれない。その際はお許しいただきたい。

【1】Mr.インクレディブル(星出尚志:編曲)

 大ヒットしたディズニー=ピクサー・アニメ映画の音楽。
 この映画の劇場版予告編で、ジョン・バリーによる007シリーズの音楽が使用されていたのをご存知の方も多いと思うが、本編の音楽も、ほぼ007へのオマージュといっていい。ジャズ・テイスト満載のカッコいいサウンドが繰り広げられる。コンサート(ポップス・ステージ)のオープニング向きかもしれない。ほぼすべてのパートに、出番があるようだ。

【2】口笛吹いて働こう〜楽器紹介のための(真島俊夫:編曲)

 往年のディズニー名作アニメ『白雪姫』(1937年制作)の中で流れる「ああ、あのメロディか」と誰もが納得する、短いワンフレーズの曲。
 実はこの曲、保育園や幼稚園の先生たちの間ではたいへん有名にして、どこの園にも必ずCDやテープがある超有名テーマなのだ。お遊戯発表会などで、それだけひんぱんに使用されているのである。それだけに、学校訪問など、子供の多い聴衆の前で演奏するのにもバッチリ。もちろん、大人が演奏したり聴いたって、十分面白い。
 この編曲は、タイトルどおり、「楽器紹介」を兼ねている。曲自体は、マーチ調で、すべてのパートが、ソロ、もしくはソリ、パート・フィチャーで登場する。次第に楽器が増えて行くようなイメージで、曲も盛り上がって行く。
 この演奏では、特にナレーションは入っていないが、ナレ付き演奏も十分可能そうだ。あるいは、クラブでの「新入部員紹介」などにも応用できるだろう。

【3】チャタヌガ・チュー・チュー(岩井直溥:編曲)

 グレン・ミラーの名曲スウィングだが、驚いたのなんのって!
 何しろ、イントロが、1979年のNSBに登場した『A列車で行こう』(これも岩井直溥編曲)と同じなのだ。「岩井センセイ、どうしたんですか? 手抜きですかあ?」と一瞬思ったけど、これ、完全に「自己パロディ」=大人の遊び! 要するに、今回の曲も、昔の『A列車〜』も、どちらも「列車」をテーマにしたスウィング・ジャズなのだ。だって「チュー・チュー」は、日本語にすると(汽車の)「シュッポッポー」。それだけに、昔のNSBを知っている筆者のようなオジサンは、懐かしいやら、ニンマリしちゃうやら・・・。どうですか、この余裕の編曲ワザ!
 もちろん、パロディは冒頭のみ。すぐに、あのノリノリの岩井サウンドで、グレン・ミラーの世界が楽しく繰り広げられる。

【4】アメリカン・グラフィティ]X(岩井直溥:編曲)

 今回の「アメグラ」は、アメリカ映画人気主題歌集。
 『虹の彼方に』(オズの魔法使い)〜『ミセス・ロビンソン』(卒業)〜『ローズ』(同題)〜『いそしぎ』(同題)〜『ダイヤが一番』(紳士は金髪がお好き)の5曲。演奏時間10分弱の大メドレーである。
 ゆったりしたバラードから始まり、様々なテンポの曲が交互に登場し、ラストで、ジャズメンたちのドタバタ・コメディで締める構成は、相変わらず練達のワザとしか言いようがない。

【5】ジャパニーズ・グラフィティ]「時代劇絵巻」(星出尚志:編曲)

 今回の「ジャパグラ」は、時代劇テーマ集。
 『水戸黄門』〜『銭形平次』〜『大江戸捜査網』〜『大岡越前』〜『暴れん坊将
軍』(旧版)の5曲。
 今の若い子に、これが分るんだろうかというような曲もあるが、市民バンドや、親御さんが聴きに来ているコンサートなら、たいへんな盛り上がりが予想される。特に、金管楽器がカッコよく響く『大江戸捜査網』は独立して演奏したってスゴそう。
 また、『大岡越前』は、勇ましいオープニング版ではなく、ラスト近く、騒動が一段落し、そろそろCMか? というあたりに静かに流れるヴァージョンがもとになっていて、サスガ星出先生、分ってらっしゃるって感じ。ラストの『暴れん坊将軍』は、ご存知松平健のヒット作。これに続けて『マツケン・サンバU』でもやったら、会場は大騒ぎになるぞ。

【6】仁義なき戦いのテーマ(天野正道:編曲)

 これも驚きの選曲! まさか、2005年の今年、この曲が吹奏楽版になると、誰が予想しただろうか?
 いまや、オリジナル映画よりも、ワイドショーやバラエティのBGMとして有名になってしまった名曲だ。これ、コンサートのオープニングやアンコールでやったら、客席騒然、間違いなし!
 とにかく、何とも壮絶・凄絶な、シンフォニック・ビッグバンド・ジャズが疾走する、衝撃の4分間が展開するのだ。これ聴いて(演奏して)心臓が止まっても知らんぞ、世のオジサンたち!(特に、市民バンドのオジサマ方や、40歳代以上のバンド指導者は、ご注意ください)。
 ただし、演奏は、なかなか難しそうだ。サックスやトランペットのソロ部分が、楽譜でどうなっているのか不明だが、もし、ここでの演奏がそのまま音符になっていたら、こりゃあ何とも・・・。
 しかし、今年の文化祭や定演シーズンには、日本中でこの曲が鳴り響きそうな予感がする。冒頭で、「おどりゃあ! 山守の下におって仁義もクソもあるかい、ボケ!!」って叫ぶ指揮者も登場しそうな・・・(ちなみに、いまのセリフは松方弘樹ですが、山城新伍のセリフは多くが放送禁止用語ですので、少なくとも中高生の前では、言わないようにしてください)。
 とにかく天野先生、これを編曲してくれて、どうもありがとう! 『GR』もうれしかったけど、これもサイコーです! 日本中のオジサン吹奏楽人間に代わって、御礼申し上げます!

【7】スカイ・ハイ(建部知弘:編曲)

 これも驚いたざんすねえ・・・。私、学生時代、この曲でステージ・マーチング・ショーやらされて(クラだったんだけど)、「こんな細かいフレーズ吹きながら動けるわけねえだろう!」って、ふてくされた経験あるざんすよ。あの曲が、いままた、こんなド派手新アレンジで登場するとは。
 今では、プロレスラー、ミル・マスカラスのテーマ曲として有名だが、もともとは、香港=オーストラリア合作映画(76年)のテーマ曲。ですから、釈由美子主演の同名映画のテーマ曲ではないので、お若い方々は、勘違いしないように!
 これもオープニングに良さそうだが、相変わらず、この編曲でも、木管群は大変そうですよ・・・。

【8】ディスコ・パーティーV[小編成] (金山徹:編曲)

 ここ数年、毎回登場している、人気ノリノリ・メドレー。今回は『恋のナイトフィーバー』〜『ハロー・ミスター・モンキー』〜『愛がすべて』〜『セプテンバー』の4曲。イントロに『セプテンバー』の一節がチラリと使われ、ラストでバッチリ登場する、粋な構成である。
 は? オジサン・トランペッターの声が聴こえるぞ・・・「『愛がすべて』のイントロ・ソロ、やりたい!」って・・・。その気持ちはよく分ります。頑張って練習して下さい、としか言えませんが・・・。
 なお、この曲は「小編成」。CD添付の編成表によれば、クラなしでも演奏できるようで、かなりジャズ・ビッグ・バンド的な編成みたいだ。

【9】アニメ・メドレー「ハウルの動く城」より(鈴木英史:編曲)

 大ヒット・アニメの劇判音楽(久石譲)と、木村弓の主題歌『世界の約束』を組み合わせた全5曲のメドレー。全体の基調になっているのは『人生のメリーゴーラウンド』である。『世界の約束』は、別扱いではなく、メドレーの中間部で登場する構成だ。
 演奏時間8分弱。なかなかの大曲である。編曲は、あくまで原曲のムードを忠実に再現したシンフォニック調であり、クラシック作品に接するような姿勢が必要かもしれない。コンサートもさることながら、こういう曲が、卒業式のような厳粛なイベントの待ち時間などに演奏されていたら、ちょっとジーンと来ちゃいそうだ。

【10】安里屋ユンタ〜バンドとコーラスのための[小編成]
   (真島俊夫:編曲)

 有名な沖縄民謡だが、筆者が昔、中学校の音楽の副読本教科書「世界のうた」で
知ったメロディーとはちょっと違っていた。添付の解説(森田一浩)によれば、この曲はいくつかのヴァージョンがあるらしい。
 この編曲は、混声4部合唱のほか、三線、パーランクー、四つ竹など、本格的な琉球楽器を使用する小編成版だが、どれも「省略可」もしくは、他楽器による「代用可」の配慮があるようなので、この収録音源どおりの編成でなくとも演奏できるようだ。
 ゆったりした時間が流れる、従来の吹奏楽の響きとは違ったムードが満載の編曲だ。もし、琉球楽器を揃えて演奏できたら、独特のコンサートになるだろう。

というわけで、今年度のNSBは、オジサンたちが大喜びしそうな曲がてんこ盛り
だが、どれも素晴らしい曲・編曲ばかりなので、ぜひ、こういう音楽を、若い人たち
も、聴いたり演奏したりして、さらに吹奏楽の面白さを多くの人たちに知っていただきたいと思う。

Text:富樫哲佳

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