吹奏楽マガジン バンドパワー 吹奏楽マガジン バンドパワー
スペシャル >>インデックス
樋口幸弘の「ウィンド楽書(ラクガキ)ノ−トファイル」

<Version I> ウィンド・オーケストラ版 (Wind Orchestra Version)

Johan de Meij

 

[作曲年]

1984 - 88年

[作曲の背景]

 ウィンド・オーケストラによる本格的なコンサート・ピースを世に送り出したいとする作曲者が、小品以外の作品として、はじめて作曲に取り組んだ交響曲。イギリスの作家ジョン・ロナルド・ルーエル・トールキン(John Ronald Reuel Tolkien, 1892-1973)の冒険ファンタジー小説「指輪物語(The Lord of the Rings)」(3部作 / ロンドンのGeorge Allen and Unwinから出版 / 1954-1955 / 日本語訳は評論社)に題材を求め、5楽章構成、演奏時間およそ42分という、発表当時、管楽器と打楽器だけで演奏されるウィンド・オーケストラのための楽曲としては、異例ともいえるスケールの作品となった。

 作曲には、5年近い歳月が費やされ、最初に第4楽章から着手、ついで、第1、第2、第3、第5楽章の順に行われた。1988年に完成、初演。1989年12月、アメリカ、シカゴのミッドウェスト・バンド・クリニックで発表が行われた“サドラー国際ウィンド・バンド作曲賞1989” (主催: ジョン・フィリップ・スーザ財団、 審査委員長: サー・ゲオルグ・ショルティ)において、世界27ヵ国からノミネートされた143楽曲中、最優秀作品に輝いた。当初、“作品1”としていたが、その後、作品番号の使用をやめ、現在では交響曲番号と作品名だけで親しまれている。

 (註: Tolkien Society公式ホームページに指摘があるように、本来のTolkienの発音は[トルキーン] )

[編 成]

Piccolo (doub.: Flute III)
Flutes (I <doub.: Piccolo II>、II <doubl.: Piccolo III>)
Oboes (I、II <doub.: English Horn>)
Bassoons (I、II)
Double Bassoon (opt.)
Eb Clarinet
Bb Clarinets (I <div.>、II <div.>、III <div.>)
Eb Alto Clarinet
Bb Bass Clarinet
Bb Soprano Saxophone
Eb Alto Saxopones (I、II)(I: optional in 3rd Mov.)
Bb Tenor Saxophone
Eb Baritone Saxophone
F Horn (I、II、III、IV)
Bb Trumpets(I <doubl.: Flugelhorn>、II、III、IV)
Trombones (I、II、III、IV)
Euphonium (div.)
Basses (div.)
String Bass
Piano
Timpani

[Mallet Percussion]
Xylophone、Glockenspiel、Tube Bells、Marimba、Vibraphone

[Percussion]
Snare Drum、Tenor Drum、Bass Drum、Tom-Tom、Clash Cymbals、Suspended Cymbale、Tam-Tam、Anvil、Tambourine、Castanettes、Triangle、Templeblocks、Woodblock、Whip、Ratchet、Indian Bells (or Bell Tree)

[楽 譜]

 1988年、作曲者自身が運営するオランダのアムステル・ミュージック(Amstel Music)から出版。全楽章セットのほか、各楽章ごとの購入可。

[初 演]

 1988年3月15日、ベルギー、ブリュッセルのベルギー国営放送(BRT)グローテ・コンサートスタジオで催された、ノルベール・ノジ(Norbert Nozy)指揮、ベルギー・ギィデ交響吹奏楽団のコンサートで。(開演:午後8時30分)


<Version II> 管弦楽版 (Symphony Orchestra Version)
オーケストレーション : ヘンク・デフリーヘル
Orchestration: Henk de Vlieger

[改作年]

2000年

[改作の背景]

 アメリカのオーケストラ指揮者、デーヴィッド・ウォーブル(David Warble)のリクエストにより。管弦楽スコアを起こす作業は、既存作品を別のフレッシュな視点から見直したいという作曲者の意図から、管弦楽オーケストレーションのスペシャリストとして名を上げていた、オランダ放送管弦楽団首席打楽器奏者、ヘンク・デフリーヘル(Henk de Vlieger)に委ねられた。改作作業は、最初に作曲者がアイディアをオーケストレーターに示し、書きあがったスコアを作曲者がチェックする、というコラボレーションのかたちをとった。完成スコアには、作曲者のオリジナル・アイディアがすべて盛りこまれ、オーケストレーターの自由裁量部分も、作曲者が同意しなかった箇所は何度も書き直された。打楽器に関しては、専門のデフリーヘルの意見を入れ、パート数の軽減が図られている。

[編成]

Piccolo (doub.: Flute III)
Flute (I <doub.: Piccolo II>、II <doub.: Piccolo III>)
Oboes (I、II)
English Horn
Bassoons (I、II)
Double Bassoon
Bb Clarinets (I、II <doub.: Eb Clarinet>)
Bb Bass Clarinet
Bb Soprano Saxophone (doub.: Eb Alto Saxophone)
F Horns (I、II、III、IV)
C Trumpets (I、II、III、IV)
Trombones (I、II、III <Bass Trombone>)
Tuba

Timpani (using a reversed Cymbal)

[Percussion 1] Xylophone、Glockenspiel、Vibraphone、large Rattle

[Percussion 2] Tube Bells、Tom-tom、Snare Drum、Triangle、Tam-tam, Whip (share with Perc.3)

[Percussion 3] Suspended Cymbal、Sizzle Cymbal、large Chinese Cymbal (or small Tam-Tam)、Temple Blocks、Woodblock、Tenor Drum、Whip (share with Perc. 2)、Tambourine (share with Perc. 4)、Anvil

[Percussion 4] Bass Drum (with attached Cymbals)、Clash Cymbals、Castanets、Ratchet、Tambourine (share with Perc. 3)、Vibraslap、Glass Chimes

Piano (doub.: Celesta)
Harp

[Strings]
Violin I、II
Viola
Cello
Double Bass

[楽 譜]

 2000年、オランダのアムステル・ミュージック(Amstel Music)が版権を取得し、同アルベルセン(Albersen Verhuur V.O.F.)のハイア・ライブラリー(レンタル譜)として。

[初 演]

≪公式世界初演≫
 3日連続演奏。初日は、2001年9月28日、オランダ、ロッテルダムのデ・ドゥーレンにおける、ディルク・ブロッセ(Dirk Brosse)指揮、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団のコンサート。(開演: 午後8時15分)

≪ナレーション入りバージョンのオーケストラによる初演≫
 2001年2月17日、アメリカ、ニューヨーク州ロング・アイランドのティレス・センター・ノース・フォーク・ホールで催されたコンサート ≪フライツ・オブ・ファンタジー≫における、ジョージ・タケイのナレーション入り、デーヴィッド・ウォーブル指揮、ロング・アイランド・フィルハーモニーの演奏により。(開演: 午後7時30分)

≪初演に先立つレコーディング・セッション≫
2001年9月22日、BBC放送のスタジオとしてもおなじみのロンドンのゴールダーズ・グリーン・ヒポドロームで、デーヴィッド・ウォーブル指揮、ロンドン交響楽団の演奏により。(CD番号: カナダMadacy, M2S2 3193)


■ヨハン・デメイ / Johan de Meij

 1953年11月23日、オランダのヴォールビュルフに生まれた。フルネームは、ヨハネス・アブラハム・デメイ。作曲や演奏などの音楽活動では、前記ショート・ネームを使っている。デン・ハーフ(ハーグ)の王立音楽院に学び、トロンボーンをアーサー・ムーア、指揮をローキュス・ファン=イーペレ、ヤン・ファン=オッセンブリュッヘンに師事した。オランダ国内のオーケストラやウィンド・オーケストラ、ブラス・アンサンブル、コンテンポラリー・ミュージック・グループなどで、フリーランスのトロンボーンおよびユーフォ二アム奏者として活躍。演奏に参加するうちに興味を覚えて書きはじめたウィンド・オーケストラ(吹奏楽)のための編曲は、すぐに認められてオランダのモレナールから出版。やがて、自作品創作へと向う。

 1989年、交響曲第1番『指輪物語』(1984/1988)で、“サドラー国際ウィンド・バンド作曲賞1989”に輝き、一躍脚光をあびる。その後も、シンフォニー・オーケストラ、ウィンド・オーケストラ、ブラス・バンドなどの各ジャンルで、スケール豊かな作品の創作を続け、交響曲では、第2番『ビッグ・アップル (The Big Apple)』(ウィンド・オーケストラ版 - 1991/1993、管弦楽版 - 2001)、第3番『プラネット・アース (Planet Earth)』(管弦楽版 - 2006、ウィンド・オーケストラ版 - 2006)が、世界的な注目を集めている。



(c)2007,Yukihiro Higuchi/樋口幸弘
>>インデックスページに戻る
>> スペシャルトップページに戻る
サイトマップ | 問い合せ
■楽譜セット
スコア
スタディースコア
 
 
 
 
 
 
 
 
 
jasrac番号 吹奏楽マガジン バンドパワー