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樋口幸弘の「ウィンド楽書(ラクガキ)ノ−トファイル」
ファイル・ナンバ−06
フィリップ・スパ−ク:交響曲第1番「大地・水・太陽・風」
− Symphony No.1 −
EARTH、WATER、SUN、WIND (Philip Sparke)
1999年12月、アメリカのイリノイ州シカゴで開催されている "ミッド・ウェスト・バンド&オ−ケストラ・クリニック" に参加中の大阪市音楽団プログラム編成委員の田中 弘(たなか ひろむ)さんと延原弘明(のぶはら ひろあき)さんから国際電話が入った。当時、筆者は市音自主企画CD "ニュ−・ウィンド・レパ−トリ−2000"(大阪市教育振興公社、OMSB-2806)の企画のサポ−トとライナ−・ノ−ト執筆を(両氏の粘りの末に)引き受けていたので、ひょっとして収録を決めた曲の楽譜入手などで何か問題が起こったのかなと思い、あいさつもそこそこに本題に入った。すると、田中さんがニュ−・ウィンドの "準備" は順調だが、ちょっと訊ねたいことがあったのでという。そして、電話の相手はすぐに延原さんに替り、つぎのような内容の話が交わされた。

延原: 実は、ステュ−ディオ・ミュ−ジック(Studio Music Co.,U.K.) のブ−スでスパやん(Philip Sparke) に新曲のスコアを見せてもらったんですけど、4楽章構成で演奏時間30分っちゅう(という)大曲なんです。「ア−ス、ウォ−タ−、サン、ウィンド」っていうんですけど、この曲のこと何か知ってはります?

樋口: タイトルは初耳ですけど、それ、前にスパやんが来たときにアリゾナかどっかのアメリカの大学のために4楽章くらいの大きな曲を書くんだと言っていた曲だと思います。そのときは、まだ未完成だったんで、 "まだ誰にも言うな" って口止めされていたんですけど。ついに出来上がったんですね


延原: エエ。ちょっと前の10月に初演されたばかりということで、そのときの演奏もスコアを見ながらCD−Rで聴かせてもらいました。なかなかエエ(いい)曲ですわ。


樋口: なるほど。前にブリ−ズ(ブリ−ズ・ブラス・バンド)がやった「月とメキシコのはざまに(Between the Moon and Mexico) 」もそうだったんですが、1曲に時間をたっぷりと掛けるようになってから作風でも新境地を切り開いているようなんで、今度のも楽しみですね。 "出来上がったらスコアを見せるから" と言ってたので、そのうちこちらにも送られてくると思いますけど、今のところは来てません。


延原: そうですか。(プログラム編成委員の)みんなとも話して、定期(演奏会)で取り上げたいと思って、そう申し入れたら、ものすごく喜んでくれはったんですけど、"来年の9月までは演奏できない" って言うんですよ。


樋口: プロテクト(委嘱者が "1年間" 独占的に演奏する権利を有する)というヤツですね。すると、つぎの秋の "定期" で演奏されたらいい。


延原: そうなんですけど、出版が来年の9月ぐらいになるということで........。


樋口: 大丈夫。この件、必要なら彼に話しますから。


延原: そうですか!!(日本に)帰ったら、またうかがいます。


 延原さんは、そう言って電話を切った。

 未知の新曲を取り上げる場合、スコアやパ−ト譜の準備だけでなく、楽曲の必要に応じて楽器やエキストラ奏者の手配など、演奏にかかる事前の準備に細心の注意を払う必要がある。それに加えて、市音の場合は "大阪市" の公的な楽団であるから、 "大阪市" 内部でコンセンサスを得るだけでなく、適切な邦題も決めて、マスコミなどへのプレス・リリ−スの準備にも入らねばならない。外部から見ていると、"市音"がやっていることは、一見して、とても前向きにドンドンと新しい境地を切り開いていっているように見えているかも知れないが、パブリックな存在だけに、ひとつのことを軌道にのせるまでには事前にいくつものハ−ドルを越える必要があるのだ。

 とはいえ、市音はまたまた大いなる話題を提供してくれそうな新作と "未知との遭遇"を果たしたようだ。フィリップも何と言ってスコアを送ってくるだろうか?年明けに帰国されるという田中、延原両氏のみやげ話を聞ける日がなんとも待遠しい年末となった。

......つづく

 
 
(c)2001,Yukihiro Higuchi
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