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樋口幸弘の「ウィンド楽書(ラクガキ)ノ−トファイル」

01. 「大仏と鹿」を演奏して下さる皆様へ


みなさん、こんにちは。この度、奈良県吹奏楽連盟からの委嘱により、皆様に私の新しい作品が届けられることを心よりうれしく思っています。今、みなさんはこの譜面を手にしてどんな気持ちでいらっしゃるのでしょう?すでに演奏に際してのイメージ作りをされている方に、作曲者のイメージを押しつけてしまうことになってしまうかもしれませんが、私の言葉を載せさせていただけるということなので、この曲が生まれる時のお話を少しばかりさせていただきます。
 まず、「大仏と鹿」というタイトルですが、これは生駒市立鹿ノ台中学校で音楽科の教員をされている「ばんばん」こと坂東佳子先生のアイデアです。この作品を書くにあたって、もっとも最初に浮かび上がったメロディーは、練習番号[E]と[O]の部分です。奈良と言ったら真っ先に浮かぶのが、やっぱり奈良公園の鹿たちな訳で、この部分は、可愛らしい小鹿たちが戯れる様子を思い浮かべています。2番目に思いついたメロディーは、練習番号[B]そして"Tempo primo"からの部分です。流れるようなこのメロディーが表しているのは、奈良の美しくのどかな田園風景。または、そこを吹きぬける風のようなものでしょうか?
 さて、ここまで来た時点で私はちょっと行き詰まってしまいました。この時点で私が考えていたタイトルも「鹿」という、キーワードは入れておきたいなぁと、漠然と考えていたに過ぎません。そこで、「ばんばん」から飛び出してきたアイディアが「大仏と鹿」というタイトルです。そうだ、大仏さんを忘れちゃいけないよね、というわけで生まれたのが練習番号[D]からのメロディーです。Timpaniのトレモロを伴ってTrumpet奏者全員によって奏することのメロディーはそれぞれの場面をつなぐ時には必ずといっていいほど現れますが、これは何を表しているのでしょう?
 メロディーを思いついた時にはそれほど深く考えたこともないのですが、これは実際に奈良で生活する人々のエネルギーみたいなものじゃないかと感じるようになりました。大仏や奈良公園の鹿たちは、確かに奈良になくてはならないキャラクターですが、奈良が世界でも、最も魅力のある街の一つであるのは、その街で働き、暮らす人たちがいるからだと思います。
 と言うわけで、一番最後に出来たメロディーが結局この曲の主役になってしまいました。以上、4つのメロディーがいろいろと変容されてこの曲を構成しています。どんなストーリーになっているかは、是非みなさんでイメージを膨らませていただきたいと思います。演奏する人の数だけ、この曲のストーリーが生まれることを心より望んでいます。


02. 演奏のヒント


Allegro vivaceの8分の3拍子は♪=144または152くらいが適当だと思います。4分の4拍子になっても8分音符の長さは変わりません。中間部はややテンポを落としてゆったりと演奏して下さい。
 157小節以降のTubaパートを演奏するのは、まだ楽器を始めたばかりの若いプレーヤーには困難かもしれません。やむを得ない場合は下の譜面を演奏して下さい。二つの音符が書いている箇所は、奏者が二人以上いるときは両方の音符を、一人の時は下の音符を演奏することをお薦めします。ただ、オリジナルの跳躍が多く含まれるパッセージは「子鹿が戯れる様子」をイメージしており、曲の終わりに向かって楽しい気分を盛り上げるのに大切な役割を果たしているので、最初から諦めずに是非挑戦してみて下さい!

 打楽器パートはTimpaniを含めて5人の奏者で演奏するように書いてあります。打楽器奏者が4人しかいない場合は、基本的にはPercussion 4のパートを省略することになります。ただ、練習番号[ I ] [L] [M]にあるBass Drum,[E] [J]のTriangle,[M] [N]のWood BlockはPercussion 1または2の奏者が演奏するようにして下さい。
 Timpaniパート、[D] 5小節目でのチューニングは楽器によって間に合わない場合があるかもしれません。その場合は[D]10小節目のLow Fを1オクターブ高いFで代用する方法があります。ただし、この方法は1st Trumpetとの間に発生する連続5度が強調されるので安易に変更することは勧められません。

(奈良吹奏楽連盟版スコアより)

 
 
 
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