吹奏楽マガジン バンドパワー 吹奏楽マガジン バンドパワー
吹奏楽マガジン バンドパワー
リレー・エッセイ >> エッセイ・インデックス
第7回 木原 塁氏
☆枠にとらわれず、もっと自由に音楽しようよ!☆
2000年6月

 村口先生からお話をもらってこちらに書かせてもらう事になりました。
が、はっきり言って僕の事を知っている人なんて数えるほどしかいないはず。細かい事はプロフィールを見ていただくとして、今回、お話を頂いてから実に4ヵ月以上経ってしまった。本当に申し訳ない。

 さて、僕はトランペット奏者で作・編曲などもやっていて、出版楽譜は3作ほどあります。そもそも編曲というものを初めてやってみたのが1回目の短大2年の時。母校の指導にあたり始めた頃だったと思う。
そのバンドのポップス・ステージでは毎年「ニューサウンズ」等から選んでいて、同じようなスタイルの曲が並ばないようにプログラムを組んでいたが、その年に限ってラテン系の曲が決まらなかった。
 ちょうどバンドの人数も減ってきて、市販の大編成用の楽譜を使うのが難しくなってきたところだったので「これも勉強」と思い、初めて編曲というものをやってみた。サザンオールスターズの「愛は花のように(Ole!)」だった。
それから、大体年に10曲前後作りつつバンドの指導などをしながら短大を2回、何とか卒業したわけだが、(編曲を始めた)当時に比べると、少しは小編成のバンドにも可能性が出てきているような気がする。
 僕がアレンジャーとして参加させてもらっている「THE WIND WAVE」のシリーズもそうだが、小編成でも演奏可能な楽譜がいくつか出版されてきている。喜ばしい事だ。しかし、小編成でも「演奏可能」なだけで、小編成ならではの個性が生きるものはまだまだ少ないなあ、と思う。
 将来、また吹奏楽人口が増えたとしても、例えばもともと人口の少ない町や村などは、ツチノコでも捕獲したりして、町起こしで人口自体が増えない限り、バンドの人数はそうは増えないだろう。と思うと、小編成用の編曲というものは永遠に必要なものであると思う。

◎小編成バンドのメリット
 小編成のバンドにも、大編成にはない魅力やメリットもあると思う。
一人ひとりの音が非常に重要になり、さぼれない。より正しい奏法が必要になるが、そのかわり、メンバーそれぞれの役割がはっきりするし、やりがいは大きくなる。個性も生きる。
ユニゾンはだいたい音をまろやかにする。その点では大編成に及ばないが、特にポップスにおいて、サウンドに切れ味を求めたりする場合、非常に表現しやすい。
楽器運搬が楽。
バンド内での派閥ができにくいので、分裂の危機が減る、などなど。

 デメリットと言えば、よそがやっている大編成用の楽譜を使うと穴だらけになるとか、使える楽譜が少ない、部費を含む予算のやりくりが大変という所だろうか。
 しかしポップス以外、特にオリジナル作品の名曲やクラシックの大曲などを演奏する場合、やはり50人前後欲しい所だ。
 スクール・バンドの人数の減少の理由としては、少子化の影響も勿論あると思うが、それだけでなく「吹奏楽離れ」というか「部活動離れ」というか、そんな事も原因の1つになっていると思う。
 吹奏楽をやっている多くの人達は楽しんでやってるだろうし、そんな自分やバンドを誇りに思ってる人もいるだろう。じゃあ外から、管楽器をやっていない人達から見たらどうだろう。どんなイメージなんだろうか。
 文化祭などでバンドを組んでライブをやる先輩とかは「かっこいい」そうだ (単にその先輩がかっこいいのかも知れないが)。同じようにステージで演奏する吹奏楽部は? かっこいい?面白そう? 自分もやりたいと思う? 練習大変そう? 難しそう?
 僕は色んな音楽が好きで、クラシックも好きだし、吹奏楽のオリジナル曲にも好きな曲は沢山ある。ジャズやラテンも好きだ。ロックだって聴くし、モーニング娘では吉澤ひとみが好きだ。安倍なつみも捨て難い。おっと話が変な方向にいきそうになった。
 とにかく。そんな大好きな多種多様の音楽に触れることのできる吹奏楽には、すごい魅力があると思うし、それをもっと一般の人達にも知って欲しいと思い続けている。

◎「コンサートの魅せかた」には、もっと可能性があるはずだ
 色んなバンドの演奏会に出かけて思った事がひとつ。
 コンサートの形式、選曲、演出など、どうも吹奏楽特有のやり方の枠にはまってしまっている事が多いのではないか。多くのバンドは僕が中学生、高校生だった頃と変わらない事をやっている。
 僕が中学生だった頃はギターを弾けるヤツも学年に数人しかいなかったし、ダンスをやってるって言うヤツもほとんどいなかった。海外では普通に存在していたかもしれないが、とにかく情報が少なく、そういう事をやる事が「特別」だったのかもしれない。時代の流れというものか、今はそういった事に関しての情報は溢れる程ある。周りを見ると「楽しそう」なものがいっぱいだ。そんな中で10年前と変わらない事をやっていれば、多くの人はよそを向いてしまうのも当然かも知れない。
 こういった「コンサートの魅せかた」には、もっと可能性があると思う。
 行進曲やクラシック、オリジナル曲などは絶対に外せないところ。人によっては興味を持つ事が難しいかもしれないが、選曲次第だと思う。現代曲のような曲と一般の人でも聴きやすい曲、そのバランスが大切だと思う。
 これらの曲だけでプログラムを組むバンドもある。オーケストラのコンサートに近いプログラムの組み方だ。それはそれで良いし僕も好きだが、どちらかというと、吹奏楽やクラシックが好きな人向けのプログラムに思える。
 一番色んな可能性があるのがポップス・ステージだと思う。
 吹奏楽のコンサートを聴きにいってよく思う事だが、なぜ1曲ごとに司会が入る? なぜ、みんな静かに座ってる? 特に中高生が普段聴くようなアーティストやバンドのライブではそんな事はありえない。
 騒ぎすぎもまずいけれど、手拍子以外にも踊ったり、時にはかわいいあの娘(?)の名前を叫んだっていいじゃないか。
 選曲や演出も、一般社会で受け入れられている物との接点が、あまりにもないと思うのだ。だからといって、安易に流行っているものを取り入れたりするのもどうかとは思うが。
僕は照明・演出等のアイデアを練る時、オリタノボッタ氏の参加していた「米米CLUB」や「サザンオールスターズ」などのアーティストのライブを参考にしたりする。普通の「吹奏楽」のコンサートにはないアイディアが沢山あるからだ。
 編曲に際しても、Misiaのスキャットをコピーして挿入した事もあった。R&B系のリズムを用いた曲の時だ。曲によっては、ピアノのソロやバイオリンやブルースハープ、A.ギターやディストーションをかけたE.ギターを入れたこともある。バンドのメンバーがそういった「技」を持っているなら、それも可能性の1つだろう(バイオリン、E.ギター、E.ベースの並んでいるステージは、本当にカッコ良かった!)
 先日の演奏会でジャコ・パストリアスの曲をやった時はロック系のベースをやっている高校生がかなり楽しんでいってくれたようだ。
 演奏が第一とは言え、見せる要素も少なからず必要だし、それはどんなものからでも取り入れる事ができる。「吹奏楽」であることにこだわるのも当然あるが、それ以前に音楽であるはずだ。聴き手の中でもより多くの人達が楽しめるようなコンサートを作るバンドが増えてほしい。ロック小僧たちが「一緒にやりたい」と思うくらいになればいいなと思う。ディープ・パープルもオーケストラと共演したりした事だし…。
長々と偉そうに書いてしまった。所詮若僧の意見かも知れないが、とにかく発展が止まらないで欲しいという願いからの事なので、どうかご容赦いただきたい。

木原 塁


■ PROFILE ■

 

 東京都出身。洗足学園短期大学音楽科管楽器専攻およびジャズ専攻卒業。
トランペットを富田悌二、原朋直の各氏に師事。大学在学中より吹奏楽指導を始め、同じ頃、編曲を独学にて学びはじめる。
1999年より国立音楽大学の卒業生を中心としたジャズ・ビッグバンド「Project H. Bigband」にプレイヤー兼アレンジャーとして参加。2000年秋に始動したブラスポップス・バンド「THE WIND WAVE」にアレンジャーとして参加。
現在「THE WIND WAVE」 アレンジャー・チーム「The Wind Mill」に参加。吹奏楽指導や演奏活動を続けながら、ホームページにてレッスン・編曲などの依頼も受け付けている。
イースター・ミュージック・パブリッシャーより「マンテカ」「スペイン」の2曲が発売中。5月27日、同出版社より「キャラバンの到着〜映画『ロシュフォールの恋人たち』より」(M.ルグラン作曲/三菱ランサーCM曲)が販売開始。

■Link
・Louis' Home Page
・THE WIND WAVE
・Easter Music Publisher

>> ニュースインデックスページに戻る
吹奏楽マガジン バンドパワー
吹奏楽マガジン バンドパワー
jasrac番号 吹奏楽マガジン バンドパワー