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第4回 小長谷宗一氏
☆結局は、モラルに代表される人間性なのだ!☆
2000年6月

植田君、天野さん、五十嵐先生ときて私にきた。爆弾ゲームみたいなものかな? その4人が「豪華淫乱オフの会 in Tokyo」と称して食事会をした。
「豪華淫乱」は冗談にしても「オフの会」ということはお察しのようにインターネットが縁。植田君と天野さんが知り合うきっかけも、五十嵐先生と私が親しくなったのもネットのお陰なのだ。
 そんな中、植田君のBBS上でやり取りをしているうちに東京近郊の3人がオフろうという話になった。それを見ていた植田君がたまらず「おっとり刀で駆けつけて」状態で、出張にかこつけて前夜入りして実現。さすが鯖江藩筆頭家老の末裔の面目躍如といったところだった。
 いくらファンキーといっても堅気の国語の教師(植田先生)、垢でまみれたで賞…おっと失礼! 日本アカデミー賞と吹奏楽アカデミー賞のダブル受賞の大作曲家(天野さん)、見るからに真面目で誠実な印象の先生(五十嵐先生)そしてわけの分からない作曲家(小生)という4人が会おうというのだから素晴らしい。
 でも共通の話題がない…あっ!吹奏楽があったか。しかし、その日はとりとめのない話ばかりで、ただ楽しかったという記憶しか残っていない。
 強いて言えば「天野、ウドじゃなくて小長谷」でハッピーなコンサートやろうかと話したことぐらいかな。でもそれで良いのだろう。会議など目的をもって集まるのと違って直接利害関係のない人たちが集まり屈託のない話をするのはとても楽しい。その日も何だか久しぶりに底抜けに笑った気がした。

 写真はその日の最後にエントランスで撮ったもの。小林シェフを含め全員の「屈託のない笑顔」がなんとも素晴らしいではないか。
 こんなネットでの楽しい出会いもあれば、逆に人を中傷して不快な思いをさせた
り、はたまた犯罪に至ってしまうものまである。「不幸の手紙」のネット版といえるチェーンメールもそのひとつだ。私のところにも二度ほどあった。
 一度目は「鉄腕ダッシュ」でガセ。二度目は「AB型Rh(-)」の血液を探しているというもの。これはもともとは善意で始まったのだが思わぬ勢いで拡がりやがて静止が利かなくなってしまったのだそうだ。こんな調子で何か悪い風評でも拡がれば大変なことになりかねないという危険をはらんでいる。
 話は変わるが、以前作曲家の飯島俊成さんからのメールで私の「グランドマーチ」があるHPでMIDIファイルにして配信されていると知らせてくれた。早速開いてみると「この曲はとても素晴らしいのでコンピューターを使って音にしてみた。聞いて欲しい」とのコメントがあった。
 聞いてみると簡易な音楽ソフトで作ったのであろう、非常に貧粗な演奏が流れてきてとてもがっかりさせられた。同じようにリードやバーンズの作品もあり、しかも驚いたことにそれをダウンロードできるようにしていた。その上あたかもそのデータに自分の権利があるかのようにファイルをダウンロードした際には必ず連絡をするようにと書かれてあった。
 営利目的ではないし、然したる悪意も無さそうだが著作権上の問題があるので一応注意しておこうと次のようなメールを送った。


 私の「グランドマーチ」を気に入ってくれたとのこと、ありがとうございます。
 そのスコアをコンピューターに打ち込み、音にして楽しもうというのは分かります。私も音楽家ですので、それを人に聴いて欲しいという気持も分からないではありませんが、MIDIファイルにして不特定多数の人に配信してしまうというのは如何なものかと思います。このことについて出版社も私も一切許諾していませんので無許可で行なった貴方の行為は下記の著作権侵害にあたります。
 まず演奏データを作ったことは「複製権」を、次に音にして流したことは「演奏権」と「公共送信権」を、またダウンロードさせたことは「譲渡権」を侵したことになります。ご注意下さい。ついては速やかにこの行為をお止め下さい。


 数日後そのHPから私の曲は消えていたが、その他の曲はアップされたままだった。
 悪意はなく、知らないうちに法律を犯してしまうことを「未必の故意」というのですが、権利者を護る法律がある以上、権利を侵害したことは無知では許されないのです。
 コピーの問題も同様で、その為に不利益を被っている人が確実にどこかにいるのです。インターネットなどテクニカルな面が先行して法律の整備が後追いになっているが、これも悪用する人間が現れ、それを取り締まるという構図になってしまうからである。
 ネットによって見知らぬ人とコミュニケーションを取れるようになることは素晴らしいことだが、その向こうにいる人間をイメージできないと相手を傷つけたり、無礼なことをすることになる。わたしのHPにも一方的にリンクを申し出てくる人がいるが、私は基本的に顔を知らない人とはしないことにしている。
 インターネットという手段をより素晴らしいものにしてゆくのはモラルに代表される人間性なのだと思います。


───El.BassやSynth.を楽器として認知させたのは、
音楽性という人間性でした───

小長谷宗一



■ PROFILE ■

 

1949年 鎌倉に生まれる。
東京芸術大学器楽科打楽器専攻卒業。在学中より作曲を始める。
管楽器、打楽器のためのソロ曲やアンサンブル曲を多数作曲しているほか、
吹奏楽のための作編曲作品も数多く残している。
また同時にバレエ音楽やイベントのための作曲なども手掛けている。

主な作品としては
'81 テネシー工科大学チューバアンサンブルの委嘱による"イルージョン"
'86 環太平洋音楽祭記念曲"パシフィック・セレブレーション・マーチ"
'89 吹奏楽コンクール課題曲"風と炎の踊り"
'91 冬季ユニバシアード世界大会(札幌)の大会賛歌
'93 吹奏楽コンクール課題曲 "スター・パズル・マーチ"
   ウインドアンサンブルのための幻想曲"不思議な旅"
'94 シンフォニックバンドのための幻想曲"山の物語"
'95 交響組曲"鶴の港"(長崎原爆五十周年祈念曲)
'96 "紫式部幻想"(紫式部越前武生来遊千年祭)
'99 ウインドアンサンブルのための組曲"子供の街"
   "次世紀への前奏曲"(Prelude to the Next Century) などがある。
'00 「寓話」-小長谷宗一作品集-がキングレコードより発売される。

96年日本吹奏楽学会アカデミー賞(作編曲部門)を受賞。
現在吹奏楽学会常任理事や"21世紀の吹奏楽"実行委員会委員なども務めている。

■小長谷宗一 Official Home Page "Star Puzzle House"

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