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第2回 天野 正道氏
☆君たちは音楽の本当の快感を味わっている?☆
2000年 月

 てな訳で植田先生からバトンタッチしました、あまのです。植田ーおるがー殿からとBPからのお話となれば、もう絶対に断る訳にはいきませんですよ。

 で、何を書こうかとなるとまた大変な訳でして、というのは書きたいことがあまりにも多すぎて収拾がつかないのですよ、これが。吹奏楽とネットとの関わり合いとか、吹奏楽と地域社会とのつながりとか、吹奏楽と他ジャンル(嫌いな表現ですが)との融合とか、吹奏楽をもっとメジャーにするために如何に芸能界やマスコミ、政治家をダマすか、とか色々あるのですが(これに関しては私よりももっと凄腕の某先生にお任せして)、今回はー君たちは音楽の本当の快感を味わっている?ーというお代、あれ?違った、お題でタワゴトを書き連ねようかと思っています。

君たちは音楽の本当の快感を味わっている?

 ワシも約30年前からこの吹奏楽というものに毒され続けているのですが、この演奏形態は楽器をはじめてから比較的短期間でそこそこの合奏の快感を得ることが出来る、という長所があります。
 その点弦楽合奏なんかは大変ですよ、初心者ばかりの弦楽合奏はどんな曲を演奏してもリゲティがトーンクラスターばっかり使って書いた曲やフランクザッパが面白がってわざとチューニング狂わして作った曲のようになりがちですなぁ(失礼!)。そういう意味では、管楽器の合奏のほうが初心者にとって若干音程が取りやすいという事で少しは聴きやすい演奏が出来るのでしょうね。

 どんな楽器を使用しても音楽する上で一番大事なことは、それなりに演奏や合奏の快感を得ることが出来るか、と言うことでは無いでしょうか。
 では一体が何をどうするとそれらの快感を得ることが出来るのでしょう?
 誤解を恐れずに一言で言ってしまうと、「如何に演奏者が快感を感じるか、そしてそれを聴いてい方々にも分けることが出来るか」という事でしょう。
 これに関してはどんな種類の音楽でも同じです。(ごく一部のある種の目的の為に音楽する場合を除いて)。深刻な音楽にもそれなりの快感がありますしね。だからワシは音楽のジャンル分けがだいっきらいなの!Jazzやっててフロントホーンのソロが乗ってきてPianoとDrsがリズムフレーズで絡んできて一緒に達する瞬間やフルオケ相手に棒を振っていて盛り上がりの頂点に向かってrit.してフェルマータの次の和音がアインザッツも無しに棒振りもオケも寸分違わずそろって全員でイッてしまう瞬間もミニマルミュージックを延々5時間やっていて目玉が飛んでよだれが止まらなくなったときとか歌舞伎の義経千本桜観ていて弁慶が大見得きる瞬間とかもう最高じゃないですか!ハァハァハァ・・・

 でも、この快感を得るためにはあたりまえですがそれなりの準備が必要なのですよ。自分の演奏する楽器を何よりも愛して思い通りにコントロール出来るようにするとか、音色の追求やお互いのタイミングを揃えるとか、他の奏者の音を常に聴いてお互いを把握するとか、すなはち音楽以前の部分をしっかり押さえておくという事や(この辺の事は私より適切な方に書いていただきましょう)、演奏曲の楽曲分析をしながらその時代やスタイルの「不文律」をしっかり把握するとか(特にバロック時代の曲などはこれ無しでは成り立ちません)、その曲から如何に霊感をつかみ取るか、また自分の霊感を如何に引き出すかなど、まだまだその他にも色々あるのですよ。
 アマチュアにとってはある意味では本番よりもこの準備期間のほうが有意義かもしれません。特にスクールバンドに於いては長期間掛けて皆で作り上げていく、という作業は人間形成の上で本番以上に重要なことの一つではないでしょうか。

 このある種面倒な作業をちゃんとするかしないかで快感の度合いは天と地との差になって出てきます。そして天国の快感を一度味わってしっまたらもう最後、絶対に後戻りは出来ませんよ。所謂プロの中でも一流と呼ばれている人種は、この天国の快感をコンスタントに聴衆に伝える事が出来る連中のことなんです。そしてこのことは一流のアマチュアにも当てはまります。
 一流と二流以下の差はこんな事なんですよ実は。このことが解ればコンクールだろうが、小さな演奏会だろうがまったく同じく快感を感じることが出来ますし、ワルシャワフィル振っていても中学生のバンド振っていても、演奏者が前記の事を理解して実践していれば同じ快感を得ることが出来るのです。そしてそれは確実に聴衆にも伝わり、その結果会場全体が快感の渦に巻き込まれて世界中から争いや殺し合いが無くなる、てな訳です。メデタシメデタシ。

 また音符並べや屋は演奏者にこのきっかけを提供するのですから、自分の作品に霊感と快感を思いっきり込めなければいけません。そして曲書いている間や実際に音が出た瞬間は思いっきり快感感じても良いですが(ワシを含めて曲書きながらヨダレ垂らしているアブナイオヤジは多い)、その後は努めて冷静になって演奏者や聴衆がイッてしまう瞬間を見届けるべきでしょう。
え、何故って?それはねぇ・・・・・

あまの


■ PROFILE ■

 

秋田市生まれ。国立音楽大学作曲科首席卒業、武岡賞受賞。同大学院作曲専攻創作科首席修了。
 在学中よりクラシック、現代音楽はもとよりジャズ、ロック、民族音楽から歌謡曲まで幅広い活動をはじめる。
 卒業後オーストラリアに赴き日本人で初めてC.M.I.(Computer MusicInstrments)をマスターし、日本におけるコンピュータミュージックの第一人者の一人となり、CD国内初制作のアーティストとなる(CBS SONY)。その後、多くのアーティストのアルバム、映画、アニメ、ヴィデオの音楽、数多くのCM,TVの音楽制作をする。
 また、ボリビア王国からの依頼による日本の音楽の紹介、タイ国王作品の編曲、1992年から現在まで続いているポーランド国立ワルシャワ交響楽団での自作曲の録音指揮、Warsaw String Quartet、Warsaw Brass、Trio Classicよりの委嘱、UNTAC委嘱による「平和への祈り」、パデレフスキフェステイバルよりの委嘱、ミュンヘン国際音楽コンクール打楽器部門の作品やクリピンスキ国際クラリネットコンクールの課題曲を委嘱されるなど、現在中欧を中心に活動している。
 吹奏楽の分野では20数年前から三善晃、矢代秋雄、黛敏郎作品などを編曲し、当時の吹奏楽界に新たな旋風を巻き起こす。1999年管楽合奏コンテストで藤村女子中学・高等学校吹奏楽部が演奏した「Expiation」がグランプリ、文部大臣奨励賞を受賞。
 アニメの分野でも海外のフルオーケストラを起用するなどして、それまでのアニメ音楽の概念を覆し、アニメ作品に於ける海外録音の火付け役となる。
 その他今まで作品を提供、プロデュース、共演した中にはロンドン交響楽団、ニューヨーク室内管弦楽団、ヴェルサイユ室内管弦楽団、新日本フィルハーモニーオーケストラ、東京交響楽団、原信夫シャープ&フラッツ、東京ユニオン、ステイービーワンダー、ニールラーセン、オフラハザ、冨田勲、矢沢永吉、布施明、鼓童、
喜多郎、伊武雅刀、など各ジャンルにわたる内外のアーテイストが数多くいる。

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