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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第94回 清水大輔の新曲初演も!
大人も楽しめる、シエナの「吹奏楽ミュージカル」

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 来たる7月20日(土)、21日(日)の2日間、東京・日比谷の日生劇場で、シエナ・ウインド・オーケストラによる「アリスの吹奏楽コンサート〜世界の太鼓を打ち鳴らせ〜」 と題するコンサートが開催される(各日とも11:00と15:00の2回公演)。私とバンド・パワー編集部も少々お手伝いしているのだが、自信をもってお勧めできる、とても楽しい舞台なので、簡単にご紹介しておきたい。

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 日生劇場は、毎夏、「日生ファミリーフェスティヴァル」 と称して、家族向けに、クラシックやバレエ、人形劇などの「舞台作品」を催している。子供のうちから「舞台」「劇場」に親しんでもらうことを目的に、たいへん手の込んだ内容が格安で提供されている。

 その中には「これが子供向けとは、なんて贅沢な!」といわれるプログラムもある。たとえば今年は「親子で楽しむ歌舞伎」 があって、なんと、尾上菊之助が初役で『鷺娘』を演じるのだ。歌舞伎ファンだったら垂涎驚愕、歌舞伎座でも見られない演目が実現するのだから、たまらない。

 そしてクラシック公演のほうは、3年に一度、「吹奏楽」をモチーフにして、シエナ・ウインド・オーケストラが演奏をつとめている。これが、タイトルこそ「吹奏楽コンサート」なのだが、実態は「ミュージカル」で、歌手・役者・指揮者、そしてシエナのメンバーたちまでが「登場人物」となって、全2幕の「不思議の国のアリス」を演じるのだ。特に指揮者の松沼俊彦さんは、毎回、タクトを振りながら「チェシャ猫」を見事に演じており、まさに世界でただ一人の「演じる指揮者」として大人気である。

 つまり、この舞台は、役者や歌手はまだしも、忙しいシエナのプレーヤーや指揮者までもが、物語に加わって舞台を進行させるのだ。それだけに、準備は一年半前からスタートする。リハーサルも、通常のコンサートの数倍もの時間がかかる。通常のコンサートとは比べ物にならないくらい時間と手間がかけられているのだ。

 で、今年がその「吹奏楽ミュージカル」の年で、テーマは「世界の太鼓を打ち鳴らせ」。つまり「打楽器」がテーマなのである。ふとしたことで「不思議の国」に迷い込んだアリスが、ウサギやチェシャ猫の助けを借りて、世界中の打楽器を訪ね歩くことになる「音楽物語」である。

 演奏曲目は《アフリカン・シンフォニー》《春の猟犬》《バーナムとベイリーのお気に入り》のようなおなじみ吹奏楽の名曲から、クラシック名曲、ポップスなど様々な曲が演奏される。つまり、既成曲を並べることで新作ミュージカルになってしまっているわけで、いわば『マンマ・ミーア!』みたいなものである。

 そして、毎回、オリジナルの委嘱新作が初演されることも話題になる。今回の新作は、清水大輔氏の《Beat The World》。世界各国のリズムや打楽器をモチーフにした元気いっぱいのオリジナル曲である。

 公演全体は、確かに、子供たちに「音楽」「吹奏楽」「リズム」に興味を持ってもらうことが目的なのだが、これが大人が見てもちょっとジーンときてしまう、なかなかよくできた舞台なのだ。筆者など、毎回、ラストでホロリとさせられてしまう。

 というわけで、これを子供だけに楽しませるのは、まことにもったいない。吹奏楽ファン、シエナ・ファンはもちろん、「舞台」「ミュージカル」に興味のある大人なら、誰でも楽しめる。暑い毎日がつづくが、それこそ2時間ばかり「夢の国」に行くつもりで、童心に返るのも悪くないと思う。毎回満席になる人気公演だが、まだ若干の余裕があると聞いているので、ぜひ、大人だけでも(もちろん家族連れでも)行かれてはいかがだろう。絶対にガッカリさせられないだけの舞台であることを保証します。

●アリスの吹奏楽コンサート〜世界の太鼓を打ち鳴らせ〜
http://www.nissaytheatre.or.jp/fam/fam2013/index.html#AlicePage 
指揮:松沼俊彦(チェシャ猫)
演奏:シエナ・ウインド・オーケストラ
出演:鵜木絵里(ソプラノ)、小関明久(ウサギ)、那俄性哲(ジョーカー)、金子あい(ハートの女王)

会場:日生劇場(地下鉄「日比谷」駅下車)
日時:7月20日(土)11:00、15:00
7月21日(日)11:00、15:00
料金:S席大人4,000円/子供2,000円
A席大人3,000円/子供1,500円
※子供料金は中学3年生以下対象。

【問い合わせ】日生劇場 03-3503-3111


(2013.07.16)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権・公衆送信権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。
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