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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第79回 普門館雑感(2)

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

(不定期で更新しています。バックナンバーは最下段「目次ページへ」からお入り下さい)

 普門館での全国大会のことを書いていると、よく「音楽ライターやってると、スンナリ入場できていいですね」などと、まるで、私が招待でもされているかのように言われることがある。
 これはとんでもない話で、私も、毎年、壮絶な苦労をしてチケットを入手しているのである。今回は、そんな「全国大会チケット」にまつわる放談を。

 もちろん私も、チケットぴあの抽選に参加しているが、当たったことはない。結局、毎年、知り合いの吹奏楽関係者から何とか譲っていただいているのが現状だ。そのほとんどは、ご本人の都合が悪くなったり、出場団体が複数枚確保したうち、たまたま行けなくなった人が出た、その分を回していただくことが多い。
 ある年など、完全にあきらめていたら、当日朝の5時頃、都内で最終調整をしている某出場団体のトレーナー氏から電話があり「OBが一人、来られなくなったので、余りが出ました」とのこと。寝惚けまなこで飛んでいって、朝6時に某駅前で受け取ったことなどもあった。

 そんな中で、私の知人で、毎年、ヤフー・オークションでチケットを確保している吹奏楽ファンがいる。話を聞いていると、どうもオークションにおけるチケット入手は、独特の世界のようである。
 世間には「ヤフオク・マニア」と称される人たちもいて(私も、よくヤフオクで古書やCDを入手する)、彼らにとっては、こんな話、当たり前のことだろうが、初耳の方も多いと思う。しばし、彼の話を聞いていただきたい。

「ヤフオクに出品される普門館チケットは、ほとんどがセブンイレブン発券のチケットぴあです。つまり、チケットぴあの抽選に参加し、当たったものを、ヤフオクに出品しているわけです」

 しかし、チケットぴあの抽選で当たるとは、尋常なワザとは思えませんが。

「出品者には、2種類いるようです。いわゆる“チケット代行業者”と“個人”です。これらは、出品者のプロフである程度わかりますが、取引が成立して、チケットが送られてきた時、差出人名を見れば、さらにハッキリします。会社名の場合と、個人名の場合があるからです。
 で、業者は、おおむね、ネット申し込みの専用ソフトなどを使うのか、とにかく数多く申し込み、当たりの確率を高くしているようです。同じ出品者が複数出品していることがありますが、彼らのプロフを見ると、ほとんどが会社名、つまり“チケット代行業者”です。

 これに対し、個人の場合は、専用ソフトを使っている人もいるようですが、どうやら、仲間たちのネットワークを使い、みんなで申し込んで当たりの確率を上げている人が多いみたいです。
 なぜそれが分るかというと、セブンイレブン発券の場合、券面の隅に、申込者の名前や、発券店舗名が、小さく印刷されているんです。それを見ると、出品者名と全然ちがう名前になっていることがほとんどです。
 また、チケットが送られてきた際、差出人(出品者)の住所を見ると、発券店舗と全然ちがう場所だったりすることもよくあります。以前、東京都内の出品者から送られてきたチケットを見たら、大阪のセブンイレブンの店舗名と、出品者と全然ちがう名前が印刷されていたことがありました。おそらく、地方にも仲間がいて、各地からネット抽選に参加しているのでしょう」

 なるほど……しかし、そうやってオークションに参加して、いったい、いくらまで吊り上がるものなのですか。

「これがたいへんで、私の場合、最初は熱心にオークションに参加していました。私の入札に対して、ライバルが、つまり、私より高値をつけた入札者が出た場合、すぐにケータイに連絡が来るように設定しておいて、その場合はさらにその上の額を入れる……といったことを、やっていたものです。
 しかし今はもう、こういうことは、やめました。
 要するに、これやってると、仕事どころじゃなくなるんですよ。だって、入札すると、ほぼ瞬時に、さらに高値で誰かが入札してくることがあるんです。そのあまりの速さに、おそらく、高値入札が入った場合、瞬時に自動的に対応入札するソフトかシステムを使ってるか、常にウォッチングしている仲間がいるんじゃないでしょうか。一種の自作自演、サクラを使ったヤラセです。そうやって、ある程度の値頃感の額まで吊り上げておいたところでストップするみたいです。これじゃあまるで、イタチごっこですよ。入札→ちょっと高値で誰かが入札→こっちもちょっと高値で再入札→誰かがまた……の繰り返しなんです。

 で、いくらくらいになるかというと、大体、2枚連番一組で、15,000〜20,000円くらいのところで落札しているケースが多いみたいです。正規料金が1枚2,500円ですから、3〜4倍くらいですか。時々、30,000円くらいに吊り上がっているのを見たこともありますが」

 で、今は、もう「やめた」ということですが……。

「ああ、そうそう。つまり、まともにオークションに参加して、高値入札があるたびに対応していたのでは、仕事している時間がなくなっちゃう。基本的に私など、会社勤めですから、夜、自宅に帰ってからしか、じっくり対応できませんし。
 そこで今は、“即落札”のチケットばかり買うようにしています。
 要するに、出品者が、オークションで値段を吊り上げるつもりがない、最初から落札金額を明示しておいて、この額でよければ入札してくれ、最初に入札してくれた人に、すぐその場で売りますから……という出品方法です。
 これだと、他者と競い合う必要がありません。まあ、これじゃあ“オークション”とはいえず、単なる“買主求む”ですが、おそらく出品者も、金額を吊り上げて儲けを大きくしようなんてつもりはなくて、せいぜいアルバイト感覚、適度な利益があればそれでいい、という意識みたいです。
というのも、この“即落札”の出品者は、少なくとも、今まで私が接してきた範囲内では、全員が“個人”出品者で、しかも、女性です。その上、ほぼ例外なく、チケットを送ってくる封筒(ゆうパックなど)の中に、『ぜひ普門館を楽しんできてくださいね』みたいな、ていねいな一筆メモが入ってるんです。
 これらから、“即落札”の出品者は、比較的、良心的な人が多いことがわかります。この場合の金額も、だいたい、オークションの落札額とほぼ同じですね。結局、どっちで入手しても、ほぼ同じ額なんですよ。
 だから私は、近年は、最初から“即落札”に入札して、ゆっくり購入しています」

 しかし、それにしても、安い額じゃないですよね。

「そうですか? まあ、学生さんにしてみたらバカ高い額に思えるでしょうが、ある程度の年齢に達した社会人の、年に一度の楽しみとして考えたら、実に安いもんですよ。よく、地方から泊まりがけで、東京見物を兼ねて来ている“元吹奏楽小僧”オヤジがいますが、彼らにしてみたら、こんな安い娯楽はないと思いますね。ヘタな観光地で過ごすより、ずっと安上がりですよ。東京ディズニーランドへ一泊二日で行くより、安いんじゃないですか。マニアにとっては、普門館で過ごす1日は、ディズニーランド以上の、至福の時でしょうし」

(2011.12.01)


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