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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第73回 吹奏楽部、野球応援の9か条

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

(不定期で更新しています。バックナンバーは最下段「目次ページへ」からお入り下さい)

 少し涼しい日がつづいても、やはり今年の夏も酷暑の連続のようで、この暑さの中、コンクールに出場している団体各位には、応援とともに。お見舞いを申し上げる次第です。
 ところで、夏は、高校の吹奏楽部にとっては、コンクールの季節でもあると同時に、野球応援の季節でもある。暑さの中、屋根のないアルプス・スタンドでの応援演奏は、まことにつらい。しかも、この酷暑だ。現に今年も、各地で、応援演奏中の吹奏楽部員が、熱中症で倒れて病院へ運ばれるとのニュースが、連日報じられていた。私も、高校時代は、毎夏、応援演奏に駆り出されていたので、そのつらさは、よくわかる。

 だが、つらいがゆえに、昨今の応援演奏は、本来のスタイルが守られず、ずいぶんといい加減なものになっているように感じる。

 そこで、本来、野球における吹奏楽部の応援演奏とは、どういうものか。以下、9か条に絞ってご紹介する。そろそろ、都道府県代表も決まる時期で、どこの吹奏楽部もコンクールに専心している時期だとは思うが、来年以降にでも、ぜひ、参考にしていただきたい。

 なお、以下の文章は、楽譜出版社「ミュージックエイト」社のサイトに掲載したものの、ダイジェストである。さらに詳しく知りたい方は、当該コラム全文を、直接、お読みいただきたい。
http://www.music8.com/01home/koramu/koramu1.php

【第1条】音を出していいのは「攻撃」の時だけ
吹奏楽部が楽器で音を出していいのは、自校チームが「攻撃」している時だけである。「守備」に回っている時は「声援」はかまわないが、絶対に楽器で音を出してはいけない。

【第2条】3アウトになったら、途中でも即演奏中止
攻撃中の自校チームが3アウトになったら、その瞬間、応援の持ち時間は終了である。たとえ曲の途中であっても、すぐに音を消さなければならない。

【第3条】「旗」は掲げたら最後、試合終了まで微動だにさせてはいけない
学校によっては、応援席に「校旗」「(応援)団旗」、もしくは、吹奏楽部の「部旗」を持ってくるところもあるであろう。
 だが、持ってきた以上、「1人」(応援団長や部長など)が、試合開始から終了まで、ずっと「両手」で持って掲げ続けなければならない。途中で別人に交代することもありえない。次第に疲れてきて、旗のポールが前に下がってくる。だが、「旗」の端を地面につけては絶対にいけない。旗は、常に中空に舞っていなければならないのだ。

【第4条】木管楽器を使用する以上、覚悟が必要
吹奏楽部を中心とする応援団は、ほとんどが、屋根のないアルプススタンドに陣取る。経験のある方なら分るだろうが、直射日光の下で、2〜3時間、楽器を演奏するなど、本来、やってはいけないことである。楽器がイッパツでダメになる。
 特に木管楽器で、胴管が「木」でできている楽器――クラリネット、オーボエ、バスーンなどは、確実に痛む。マウスピースの中に、まるで塩を吹いたようなカス(ツバに含まれる塩分や、微量の食べカスが、熱で瞬時に乾いてこびりつく)が出るばかりか、ひどい時は、あまりの熱と急速な乾燥で、胴管が割れることすらある。
 演奏しない守備の間は、必ず、楽器を日陰のもとへ置いておく。屋根のある席が遠い場合は、アルプス・スタンド後方あたりに大きなパラソルを用意し、守備の間は、そこへ置いて濡れタオルをかけておければ理想的だ。

【第5条】グラウンドへ向けて吹いてはいけない
よく、楽器をグラウンド上の選手たちに向けて吹いているバンドがある。実際、グラウンドで闘っている選手たちを応援するために吹いているのだから、そうしたい気持ちも分らないでもない。だが、考えてもいただきたい。演奏するのは自校が攻撃している時のはずで、ということは、演奏中グラウンド上にいるのは、ランナーでも出ていない限り、全員、相手校の選手である。その敵に向かって応援演奏をしても意味があろうはずがない。 実は応援演奏とは、敵チームの「応援スタンド」に向かって吹くものなのである。つまり、グランド上で選手同士が闘っているのと同様、我々は、応援スタンド同士で闘うのである。このことを分っていない吹奏楽部が多すぎる。我々の演奏、選曲、迫力、パワー、心意気――そういったものを、敵の応援スタンドに見せるのだ。
 だから特に朝顔楽器―トランペットやトロンボーンは、朝顔を敵スタンドに向けて吹くのを忘れないように。

【第6条】水・後頭部・楽器の三つを保護せよ
熱中症で倒れる理由は、水分不足と、後頭部への直射日光である。人間は、体内から水分が失われ、しかも後頭部(特に、首の後ろあたり)に直射日光を食らうと、イッパツで熱中症になる。
 応援席に入ったら、まず、太陽の位置を確認しよう。もし、顔面を直撃する位置に太陽があれば、日焼け止めを十分塗って、顔を守ることは、言うまでもない。
 もしも後方から日光が襲ってくるとしたら、格段の注意が必要だ。帽子が必需なのは当然だが、その際、濡れタオルで後頭部と首の後ろを覆い、その上から帽子を被ること。タオルは15分もすれば乾いてしまうから、常にペットボトルの水などで濡らすようにする。とにかく後頭部と首の後ろに直射日光が当たらないようにするのだ。
 水分が必要なのは言うまでもない。
 真夏の野球応援では、「水分」「後頭部」「楽器」、この3つの安全を確保することが重要なのである。

【第7条】「打楽器」禁止だったらペットボトルを使え
近年、都心にある野球場では、「打楽器禁止」のところが多い。スネア&バス・ドラム、シンバルなどは、意外に遠くまで音が響き、近隣住民に対する騒音迷惑になるというのである。だが、打楽器のない吹奏楽部の応援演奏は、まことに味気ないものだ。そこで、意外とズッシリとした音が出て、それでいて遠くまで響かないのが「ペットボトル」による代用打楽器である。
 いちばん大きなペットボトル(2リットル)を、カラでたくさん用意する。円筒形よりは、直方体に近い形のペットボトルの方が、しっかりしているようだ。
 ラベルをはがし、周りをビニールテープでグルグル巻きにする。できれば、テープの色は、スクールカラーで統一した方がいい。これを1人2個用意し、フタを取って、飲み口の部分を持って(さかさまにして)拍子木のように叩き合わせる(周囲をビニールテープでしっかり巻いておかないと、叩いているうちに潰れてヘナヘナになる)。
 1〜2人(2〜4個)程度では、たいした音にはならないが、5人(10個)くらいになってくると、意外と迫力のある音がする。これで、少なくともバス・ドラムの代用にはなる。腕のある打楽器奏者だったら、これでちょっとした曲のスネア・ドラムの譜面なども叩けてしまうだろう。違反ギリギリだが、ペットボトルをスネアドラム代わりにして、スティックで叩いてもいいかもしれない。

【第8条】決め所は1・7・9回の攻撃開始時
これぞ、野球応援の基本ルールであるにもかかわらず、最近、めったに守られていないようだ。
自校が、1回攻撃、7回攻撃、9回攻撃に入る際は、「校歌」「応援歌」など、そのチーム(学校)の「オフィシャル曲」を演奏するものである。1回攻撃は、いうまでもなく自校にとっての試合開始、最初の応援である。7回攻撃は「ラッキー・セブン」、幸福を招く回である。9回攻撃は、最後のチャンスである。
 もちろん「校歌」「応援歌」でなくとも、長年、その吹奏楽部(学校)で、伝統的に歌われてきたり、演奏されたりしている曲でもいい。

【第9条】勝っても負けても、エールを忘れてはいけない
試合が終了したら、まず、負けた側の応援団は、全員、起立して、勝ったチームの応援団に向かってエールを送らなければならない。文言は、リーダーが先導する。学校によって違うだろうが、おおむね、こんな調子である。

「○○高校の勝利を讃え〜、今後の必勝を祈り〜、エールを送る〜! フレ〜フレ〜、○○! ソレッ、フレフレッ、○○……」

 これは、たいへんつらいエールである。負けた側が、勝った側を讃えるのだ。多くの女子は、泣き崩れて、声が出ないものである。だが、これだけは、キチンとやらなければならない。いわば「俺たちに勝った以上、これから先も、絶対に負けないで、勝ち進んでくれよ」とのエールである。
 勝った側は、このエールを受けたら、すぐに「返礼」しなければならない。もちろん、全員が起立して、負けた側の応援席を向く。

「△△高校の〜、今後の活躍を祈る〜! フレ〜フレ〜、△△!……」

 といった感じだ。
 このエール交換を終えて、初めて応援の終了である。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

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■ブラバン!甲子園 U-18/演奏:イチカシ吹奏楽部
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(2011.07.25)


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