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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第43回 しばたはつみ死去

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。



 1970年代の後半のことだったと思う。

 当時、東京都大学吹奏楽連盟の合同演奏会は、渋谷公会堂(現「渋谷C.C.レモン・ホール」)で開催されていた。終演後、ガクラン姿の4年生幹部たちを胴上げして、建物前の噴水に投げ込む「危険な儀式」が名物だった(これが原因で、そのうち、渋谷公会堂を借りにくくなったとの噂があった)。

 私も何度か選抜メンバーで出たことがあったが、ある年、客席でポップス・ステージを聴いていたら、突如、あまりにカッコイイ、ド派手な音楽で幕が上がったので、驚いたことがある(当時の吹奏楽コンサートは、各部ごとに、いちいち幕を上げ下ろしするのがほとんどだった)。

 あとで聞いたら、服部克久作曲の≪オーヴァチュア≫だという。そんな曲があったのかと運営事務局にたずねると、既成のビッグバンド曲を、どこかの大学の幹部が編曲したものだとのことだった。

 いったい、原曲は、どこにあったか。1975年にリリースされたLP『しばたはつみライヴ』の1曲目にある、インスト曲だった。

 この≪オーヴァチュア≫に乗って、しばたはつみがステージに登場、ものすごい拍手と歓声、曲の最後でアナウンスが「ハツミ、シバタ!」と告げると、間髪いれず、1曲目≪黒い炎≫が始まる。そのパンチある歌唱力、声量、そしてバック・バンドのものすごかったこと! CDになっていないのだろうか。ぜひもう一度聴きたい。

 日本で最高の、まさに「ポップス・シンガー」としかいいようがない歌手だった。その迫力に、吹奏楽界が興味をもったのも、当然だった。

 まさか57歳の若さで亡くなるとは。

 ご冥福をお祈りします。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

(2010.04.03)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。
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