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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第28回 浅田真央とキム・ヨナ

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。



 アメリカの吹奏楽指導者で作編曲家のポール・ヨーダー(1908〜90)が、1979年に来日した際、吹奏楽コンクール全国大会・中学の部を聴いて、こんな感想を述べている(全日本吹奏楽連盟会報「すいそうがく」34号=1980年1月発行より)。

「中学時代にこんなむずかしい曲をやってしまったら、彼らの将来にはどんな作品が残されているのでしょう」

「木管楽器のセクションでは身体を動かしている中学生を見ましたが、たしかに大人のすぐれた奏者にはそういう動作の人もいますが、それは音楽的な表現に必要な内面から出てくるものでなければならないのです。中学生のそれは、単にまねであって、一人一人の内面的な要求や必要からおこったものではないように思えました」

(ちなみに、この年ヨーダーが聴いたのは、チャイコフスキーの交響曲第4番第4楽章、ラヴェル《ダフニスとクロエ》、ドビュッシー《海》などだった)

 バンクーバー五輪、フィギュア女子を見ていて、この言葉を思い出した。

 同じ19歳で、あのちがいは、何なのだ。色香満点のキム・ヨナと、少女の面影を十二分に残す浅田真央。

 結果は、色香のキム・ヨナが、前人未到の点数でぶっちぎりの金メダル。完全なトリプル・アクセルに、色香が勝ったのだ。もちろん素人目に見てもキム・ヨナのほうが優れていたし、浅田真央はフリーで小さなミスもした。だから、あの順位は、当然だと思う。

 それにしても、あのキム・ヨナの点数は、何なのだ。そして、あの色香、ほんものに見えるか。どこか、生意気な19歳が背伸びしているような、つくりものの雰囲気がなかったか。

 フィギュア・スケートって、技術で点数を競う「スポーツ競技」じゃなかったのか。トリプル・アクセルを決めても、ニセ色香ではるかに上の点数を取れるのなら、アイス・ダンスやアイス・ショーと、どうちがうのか。

 現にキム・ヨナは、早くも引退→プロ転向の噂がある。ポール・ヨーダーの言葉をキム・ヨナに聞かせたい。

 そして、それでも文句一つ言わず堂々としていた浅田真央を、朝青龍や腰パンにいちゃんは、少しは見習ってほしい。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

(2010.03.01)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。
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