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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第27回 冬季オリンピックと吹奏楽(6)
     フィギュア・スケートの音楽

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。



 フィギュア・スケートで使用される音楽の中には、すでに吹奏楽界でレパートリーになっている曲が多い。

 2006年のトリノ大会で荒川静香が使用して人気となった≪トゥーランドット≫の<誰も寝てはならぬ……>(プッチーニ)など、その典型で、すでにコンクール全国大会で、1995年に北海道札幌白石高校が初演している(ただし招待演奏)。

 浅田真央ちゃんの≪仮面舞踏会≫(ハチャトゥリアン)は、1991年に関西学院大学が初演しているし、鈴木明子の≪リヴァーダンス≫(ウィーラン)も、2001年に福光町立吉江中学(富山)が初演している。ともに、その後、人気曲として定着していることは、いうまでもない。

 数年前、ある女子フィギュアのジュニア選手の母親から、知人を通じて「音楽を制作してほしい」と頼まれたことがある。さる有名プロ・スポーツ選手のお嬢さんだった。

「曲を≪パイレーツ・オブ・カリビアン≫にしたいんですが、CDをもとに、規定時間内にピッタリ合うよう、編集してほしいんです。みんな、自宅のCDラジカセでそれらしいものをつくっているんですが、どうしても安っぽくなってしまうんです。曲のつなぎ目もきれいにできないし。ぜひ、ちゃんとした音楽スタジオで編集制作していただけませんか」とのことだった。

 いくつか、編集面や見せ場の希望をうかがって、素人作業ながら、知り合いのスタジオを借りて、エンジニアと一緒に、なんとかそれらしい音楽をつくりあげた。スフォルツァンドにあたる部分はダイナミックレンジを上げたり、いろいろな加工も施した。

 このとき「なるほど、フィギュアってのは、本格的にやると、手間とカネがかかるスポーツなんだなあ」と思ったものだ。

 幸い、この編集制作を気に入ってもらえて、引き続き「今度は富樫さんの好きな曲でつくってください」と注文が来た。

 そこで私は、≪GR≫(天野正道)からいくつか抜粋して、フィギュア用の音楽を編集制作した。もちろんクライマックスは<国際警察機構のテーマ>である。あの朗々としたメロディに乗って、可憐な少女が氷上を滑走、ラストをスピンで決めるなんて、カッコイイじゃないですか。

 そのお嬢さんは、あの2曲のCD-Rを持って海外へフィギュア留学したと聞いたが、いま、どうしているだろう。どこかで≪GR≫に乗って舞ってくれていることを祈るばかりだ。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

(2010.02.25)


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