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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第131回
バーンズ来日〜「アルヴァマー」から「ナタリー」まで

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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 6月の「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」(FMカオン、毎週土曜日23時)で、ジェイムズ・バーンズの特集を放送した。その中で、日本で最初の《アルヴァマー序曲》の録音(汐澤安彦指揮、東京佼成ウインドオーケストラ/1981年)を紹介した。いわゆる「超スピード演奏」として話題になった音源である。作曲者の指定が「四分音符=132」(約8分半)のところ、ほぼ「四分音符=160」(約6分半)で演奏しているのだから、尋常なスピードではない。

 この音源が、我々の前に初めて登場した同曲の“模範演奏”だったので、多くの吹奏楽部が、このテンポにならって演奏した。以前、「題名のない音楽会」でご一緒した、活弁家・声優の山崎バニラさんも、中学時代、クラリネットでこの曲を演奏したそうだが、「コーダで、指が回らなくて悔しかったですよ」と語っていた。やはり、あの音源に刺激されてのスピード演奏だったらしい。
ところが、後日、上記FM放送を聴いてくれた人に会ったら(彼は、吹奏楽はまったく知らない)「初めて聴いたので、速いのか遅いのかわかりませんが、あれで十分、かっこいいじゃないですか」といわれた。

 指揮の汐澤安彦さんは、概してスピード演奏の多い指揮者だが、それによって、曲のエネルギーというか、魅力も倍増させてしまうのも確かなのだ。《アルヴァマー序曲》が、これほど日本で定着したのも、あのスピード演奏が強烈な印象を残したからだと思う。その後、本来のテンポで演奏すると、なんとも生ぬるく感じてしまったものだ。
 その後、バーンズの名前は一挙に日本に広まったが、ほぼ同時期に《祈りとトッカータ》も紹介されたと思う(福工大付属高や、愛工大名電高の名演が忘れられない)。 ところが、こちらは、まるでゴジラの出現を思わせるような深遠な曲想だった。ずいぶんいろんなタイプの曲を書くひとだなあ、と感じた記憶がある。90年代に入って、交響曲第3番(ナタリーのために)を初めて聴いたときは、とにかく泣いてしまった。生後数か月の娘さんを亡くされた、その悲しみと超克を、吹奏楽で、こんなふうに描けるなんて、すごい作曲家だと大感動した(ちょうど同時期に、自分に娘が産まれたせいもあった)。

 そのバーンズが、現在、来日中で、この4日(土)に、シエナ・ウインド・オーケストラを指揮する(ゲストコンマスは須川展也氏)。先述の《アルヴァマー序曲》をどんなテンポで指揮するのかも気になるが、やはり、《アルヴァマー》から第3番までの、幅広い音楽を聴けることが楽しみだ(また泣いてしまいそう)。
 アルフレッド・リードなきいま、アメリカ吹奏楽界の親分的存在として、まだしばらく踏ん張っていただきたい!(一部敬称略)


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。
6月は、「シリーズ戦後70年/マーチでつづる戦後史」と「輝け!第2回昭和ブラス歌謡大行進!」です!

 

(2015.07.02)

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