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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第124回
よみがえるニニ・ロッソ

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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 前回は岩井コンサートにちなんだ「よみがえる」話だったが、今回も同じ「よみがえる」話である。
 一昔前の日本人に、もっともなじみ深いトランぺッターは、誰だろう。ジャズだったらマイルス・デイビスか。クラシックだったらモーリス・アンドレか。ポップス系だったらメイナード・ファーガソンか。いまの吹奏楽部員には、エリック・ミヤシロか。
 だが、やはりこのひとにはかなわないはずだ。その名はニニ・ロッソ(1926〜94)。 
 ニニは、イタリアのトリノ生まれ。5歳から教会のブラスバンドに所属し、トランペットを吹いていた。第2次世界大戦に従軍中もトランペットを抱えていた。
戦後は、映画音楽作曲家ニノ・ロータのサウンドトラックで大活躍した。『道』(ジェルソミーナのテーマ)『甘い生活』『太陽がいっぱい』……これらで聴けるトランペットは、すべて、ニニの演奏である。
 代表曲《夜空のトランペット》(原題「静寂」)は、1964年にレコード発売され、ヨーロッパ中でチャート1位を獲得した。慰問コンサートでイタリア軍施設を訪れた際に聴いた消灯ラッパをもとにした曲だ。日本では、この曲にしびれてトランペットを始める中高生が続出した。
 ニニの初来日は1967年。以後、28回に及んだ。一回の来日で全国数十か所をまわった。障碍者施設や老人ホームもボランティアでまわり、小学校ブラスバンド部に指導にも訪れた。LPとCDは、日本だけで累計800万枚(!)を売った。
 最近話題となった、クリント・イーストウッド監督の映画『アメリカン・スナイパー』のエンド・ロールに、《夜空のトランペット》の一部(イタリア軍の消灯ラッパ)が流れた。クレジットをよく見ると、映画『続・荒野の1ドル銀貨』のサントラ(エンニオ・モリコーネ)を使用したとある。この映画は1965年の公開だ。《夜空のトランペット》発売の翌年である。モリコーネは、ニニのレコードを聴いて、この消灯ラッパの旋律を取り入れたのかもしれない。
 そんな《夜空のトランペット》が、5月10日(日)の「岩井直溥エバーグリーン・コンサート」で、ひさびさに演奏される。前回ご紹介した《シング・シング・シング》に次いで、これもまた「みがえる」名曲だ。いうまでもなく、岩井さんは、若いころ、ジャズ・トランぺッターとして大活躍した。その岩井さんのアレンジである。そしてソロは……これは当日のお楽しみ! なぜ日本人は、ニニのトランペットをあんなに愛したのか、その理由が、わかるかもしれない。
(参考資料:朝日新聞2010年6月12日付「うたの旅人」)


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。5月は、下記の予定です。
■シリーズ「戦後70年」/ナチスドイツの最期〜ベルリン陥落
■岩井サウンドよ、永遠に〜岩井直溥 没後1周年
■第5週土曜日は「ノンストップ・ウインド・ミュージック」

 

 

(2015.05.01)


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▲スタートレックのテーマ(arr.岩井直溥)
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