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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第121回
武雄市図書館のTカード

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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 いま話題の武雄市図書館(佐賀県)に行ってきた。
 CCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ=蔦屋書店)に運営委託されている、“民営の公共図書館”である。館内には、スターバックス・コーヒー、蔦屋書店、DVD・CDレンタルコーナーなどが、開架図書スペースや閲覧机と同じ空間にある。スタバで買った飲料であれば、呑みながら閲覧してもいいらしい。よって館内にはコーヒーの香りが漂い、人々の会話や、食器の音が鳴り響いている。まさに“ツタバ図書館”などと称される所以である。だがわたしには、あの空間は「図書館」とは、思えなかった。“高級ブックカフェ”だと感じた。

 昨今の公共図書館の“充実ぶり”に関しては、言いたいことが山ほどあるのだが、この紙幅では無理なので、いまは触れない。

 それより奇妙に感じたのは、現地で聞いた、「Tポイントカード配布」問題だった。
 武雄市では、図書館の大人気ぶりに押されて、市内の全小学生に、「図書館利用カード」を配布することにしたらしい。もちろん目的は「小学生のうちから本に親しんでもらう」ことだ。ただし相手は子供なので、保護者の承諾書などが必要になるのだが、その書類を見ると、「図書利用カード」「図書利用カード(ポイント付き)」の、どちらかを選べ、と書いてあるのだ(もちろん、カードそのものを持たなくてもいいのだが、一見、これ以外の選択肢はないような雰囲気である)。

 「ポイント」とは、CCCが運営する「Tポイント」、つまり「Tカード」のことである。もともと武雄市図書館の利用カードには、Tポイント付きとナシの2種類があるのだが(図書館で本を借りるだけでTポイントが加算される。利用者の95%がポイント付きのカードを選択しているそうだ)、小学生にも、このTカードを持たせようというわけだ。出来上がったカードは、学校で、先生から直接渡されるらしい。

 いまや、民間と公共の境界にこだわっているようでは時代遅れといわれるかもしれない。だが、TSUTAYAやファミマ、ドトールなど、街中の店で使用できるカードを、公立小学校の教室で、生徒に配布する光景は、どこか違和感がないだろうか。
 しかも、Tカードが獲得する情報は一種のビッグデータである。プライバシーがどうのこうのと紋切り型のことは言いたくないが、子供のうちから、どこで何を買い、何を食べて、何を読んでいるかが、一介の民間私企業に把握されるとは、気味悪くはないだろうか。

 武雄市は、なぜそこまで、CCCにサービスするのだろう。ちなみに、“ツタバ図書館”を推進した樋渡啓祐市長は、昨年暮れに辞職。1月の佐賀県知事選に立候補したが、落選した。


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。4月は、「シリーズ戦後70年/日本の戦後復興」、そして「新発見! 19世紀イタリア巨匠の吹奏楽曲」です。

 

 

(2015.04.02)


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