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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第12回 誰がJALを潰したのか

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。



 JALがこんなことになってしまった理由は、巷間の報道によれば「親方日の丸体質」とか「政財官なれあいの果て」とか「7つもある労組の対立」とか、様々に指摘されている。

 私は、週刊誌記者をやっていた若いころ、日航機の羽田沖墜落事故(1982年)や、御巣鷹山墜落事故(1985年)を取材したことがある。そのとき、会社側よりも、組合が取材対応に熱心で、「変な会社だなあ」と思った記憶がある。組合は、事故の原因を「会社側の労働強化」の方向にもって行きたかったようで、それゆえアピールに懸命だったのだろう。

 JALをモデルにした小説『沈まぬ太陽』連載中は、掲載誌を、全便に搭載させなかったそうだ。このときも「細かいことに敏感な会社だなあ」と思ったものだ。

 でも、今回の事態を、会社や組合のせいばかりにするのも、いかがなものか。

 まともに乗客もいない不便な土地に、次々と空港をつくらせて、JALを就航させてきた自民党政府と政財官の責任も重大だと思う。

 昨年、CD『ジャンヌ・ダルク〜グラステイル作品集』の録音が、北九州市立「響ホール」で行なわれた。ライナー・ノーツを書く関係で、レコーディングを見学させてもらうことになった。

 私は東京在住なので、このあたりの土地勘がない。てっきり「北九州市」にあるのだから、「北九州空港」の近くなのだろうと、東京(羽田)→北九州のJAL便で飛んだ。

 ところが、到着して驚いた。この空港、海の上にあるじゃないか。電車の駅もはるか遠くで、市内に到着するまでエラく時間を要した。こんなことなら、便数も電車アクセスも豊富な福岡便にすればよかったと後悔した。往復チケットだったので、帰路も北九州空港から乗ったが、昼間だというのに空港内はガラガラで、ゴーストタウンのようだった。

 そういえば、私の知人に佐賀市在住の者がいるが、彼は、いまでも上京するのに、佐賀空港を使わないそうだ。「場所が不便だし、便数も1日にたった4便。電車か直行シャトルバス経由で福岡空港を使うほうが早くて便利だ」と言っていた(佐賀空港はANA便のみらしいが)。

 こんな不採算空港を日本中につくりつづけておいて「あとはよろしく」、ダメになったら人員削減、年金減額では、JALだって気の毒だ。不採算空港を推進してきた政財官の連中が、まず責任をとるべきじゃないのか。

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

(2010.01.23)


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