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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第119回
「リブロ池袋」閉店の衝撃

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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池袋の西武百貨店に入居している大型書店「リブロ池袋本店」が6月で閉店するとのニュースは衝撃だった。

 かつてのリブロの面白さといったら、なかった。音楽書単行本の棚に、哲学書や文庫本が一緒に並んでいる光景は、目からウロコが落ちたものだ(今では当たり前だが)。シューマンの名評論集『音楽と音楽家』(岩波文庫)など、文庫売場で品切れだったのが、音楽書売場にはちゃんとあって感動した記憶がある。「ぽえむぱろうる」なる詩集専門の店内コーナーもあって、寺山修司のCDやビデオも置かれていたのも忘れられない。

 「向かいのジュンク堂池袋本店に負けた」「大型書店チェーンもいよいよ縮小か」など、閉店理由は様々に語られているが、本当のところは、どうなのか。長年の付き合いである、中堅出版社の営業マン氏が解説してくれた。
「リブロ池袋は決して不調ではありません。堅実な売れ行きを示していました。
 リブロは、昔は西武百貨店の一部門でしたが、現在は、大手取次・日販の傘下であり、西武とは無関係です。
 それに対し、入居先の西武百貨店は、セブン&アイ・ホールディングスの傘下。要するにセブン‐イレブンの子会社みたいなものです(だから、地下食品売場に、セブン・プレミアムのコーナーがあるんです)。セブンの会長・鈴木敏文氏は、大手取次トーハンの出身。セブン系列で売られる出版物はトーハンが扱っている。ということは、構図として、トーハン系の建物にライバルの日販系企業が入居していることになるわけです。このねじれ現象は、いつか火を噴くのではないかと囁かれていました。なにしろ、トーハンと日販は、出版流通のシェア争いで、長年、仁義なき戦いを繰り広げていますから。
 それがついに沸点に達したわけで、賃貸契約の期間満了にあたって、西武は更新を拒否したようです。どうしても、大家(西武=トーハン)が、店子(リブロ=日販)を追い出したように見えてしまいます。
 リブロは、池袋で代替地を探すようですが、果たして、約1000坪ものスペースが、そう簡単に見つかるかどうか。おそらくかなり縮小しての再スタートになると思います」

 どうやらリブロ池袋は、取次戦争の犠牲者らしい。ビジネスとは、かように冷酷なものと言われればそれまでだが、最近の、自分の思い通りにならなければ、すぐ強硬手段に出る風潮とどこか似たようなものを感じてしまい、「昭和の香り漂う音楽ライター」としては、ため息をつくばかりである。


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。3月は、シリーズ「戦後70年」沖縄の戦中戦後、そして、《レ・ミゼラブルの魅力》です。

 

 

(2015.03.06)


※本稿の著作権は富樫鉄火が、出版権・公衆送信権はバンドパワーが独占しています。両者の許諾なく、出典元表記のない引用や、引用の範囲を超えた複写、コピー&ペーストを固く禁止します。
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