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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第117回
北欧ブームの白眉

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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 今年はシベリウスの生誕150年。コンサートも多いようだし、ナクソス・ミュージック・ライブラリーの「《フィンランディア》聴き倒し!」では、100種類もの同曲が聴ける。

 先日は、日本記者クラブで、駐日フィンランド大使館主催の「シベリウス生誕150周年記者会見」があった。アニバーサリーで「記者会見」が開かれる作曲家なんて、シベリウスくらいじゃないか。そういえば、最近、やたらと「ムーミン」を見かける。アニメやパペット映画などが続々公開され、作者トーベ・ヤンソンの展覧会評伝なども、目白押しだ。

 要するに日本人はシベリウスやフィンランドが大好きなのだ(村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の後半の舞台もフィンランドだった)。

 フィンランドだけではない。「北欧」は、私たち日本人にとって、たいへん身近なキイワードになりつつある。北欧映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル」は、今年も満席続出だった。
出版界もたいへんな「北欧ミステリ・ブーム」である(昨年秋には、北欧5か国大使館の共同主催による「北欧ミステリ・フェス」が開催された)。ベストセラーとなった『ミレニアム』三部作(スウェーデン)、集英社文庫の翻訳小説の柱となりつつある「エリカ&パトリック事件簿」シリーズ(スウェーデン)、限定公開の映画も大人気だった「特捜部Q」シリーズ(デンマーク)ガラスの鍵賞(北欧5か国のミステリ賞)を『湿地』『緑衣の女』で2年連続受賞したアーナルデュル・インドリダソン(アイスランド)……等々、枚挙に暇がない。1970年代に登場した北欧ミステリの先駆け、「刑事マルティン・ベック」シリーズも、現在、新訳が進行中である。どれも単なる謎解きに終わらず、社会問題が背景にある点が特徴だ。

 そんな昨今の北欧ブームの白眉が、文芸評論家・新保祐司の随筆集『シベリウスと宣長』(港の人)だと思う。『古事記』を研究した本居宣長と、フィンランドの叙事詩『カレワラ』を音楽化したシベリウスを並べて論じ、宣長の「敷島のやまとごころ…」にシベリウスを聴く。著者はその両者に「清潔」を見出している。なぜ日本人が北欧に惹かれるのかを、「感覚」として、わからせてくれる。ぜひ多くの方々に読んでいただきたい。

 そういえば、これは都市伝説の類かもしれないが、フィンランド人には「蒙古斑」が出ると聞いたことがある(やはり蒙古斑が出るハンガリーから、かつてフン族が移住したからだ、というのだが…)。だとすると、フィンランドは、日本とどこかでつながっているのだろうか。(敬称略)


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。2月は、シリーズ「戦後70年」〜「吹奏楽で聴く『アンネの日記』」と、「がんばれ!大阪市音楽団」です。

 

 

(2015.02.10)


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