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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第114回
大河ドラマはなぜつまらないのか

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。

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 大河ドラマ『花燃ゆ』が、近年最低の視聴率でスタートしたという。 
 私も、以前は、サントラCDを聴くなどして、音楽の観点からあれこれと大河ドラマについて書いたものだが、もうすっかり、興味を失ってしまった。

 その嚆矢は、2009年の『天地人』だった。上杉家の「家老」直江兼続が主人公だった。この年、制作陣は、「脇役」を主人公にすれば、何でも描けることに、あらためて気づく。表舞台にいたわけではないから、かなりの部分を想像で描ける。かくして一家老にすぎない直江兼続が、戦国時代のあらゆる重要場面に登場するトンデモ設定が続出した(臨終間際の徳川家康から、わが子秀忠の行く末を託されるなど、いくらドラマとはいえ、あんまりだった)。

 この「脇役の視点で歴史を描く」手法は、以後もつづいた。

 2011年『江〜姫たちの戦国』は、二代将軍・徳川秀忠に嫁いだ浅井江が主人公だった。彼女を重要史実に立ち会わせるため、まだ幼児のはずなのに大人にしてしまうなど、メチャクチャな年齢設定で物語が進んだ。

 2013年『八重の桜』 も、およそほとんどの日本人は知らない、新島譲の妻が主人公だった。幕末から明治にかけての出来事が、彼女を中心に動いているような錯覚を覚えた。

 昨年の『軍師官兵衛』は、豊臣秀吉の側近・黒田官兵衛なる「脇役」だった。もうさすがに私は観ていないのだが、彼を際立たせるために、周辺人物(特に石田三成や豊臣秀吉)を無理やり悪役や愚者に仕立てる設定に違和感を覚える視聴者が多かったという。

 そして今年の『花燃ゆ』は、吉田松陰の「妹」。究極の「脇役」である。さっそく第一回から、武士が論争する場に、少女時代の主人公が立ち会っているという、驚くべき場面が登場した。そのうち、ペリーと幕府の仲介役は彼女だった、なんて設定が登場するのではないか。

 もう近年の大河ドラマのパターンは、わかってしまった。脇役の視点を通して、想像をふくらませて歴史を描くのが定石になったのだ。

 ジョージ・ルーカスは、1977年の映画『スター・ウォーズ』第一作のストーリーを構成するにあたって、神話学の権威、ジョーゼフ・キャンベルの英雄神話理論を参考にした。以後、あらゆるハリウッド映画が、キャンベル理論をもとに作られるようになった。シナリオ作家を目指すなら、まずキャンベル理論を学べという。

 そのうち日本でも、映画やドラマを作る前に、大河ドラマの「脇役視点理論」を学べということになるんじゃないか。


富樫鉄火(昭和の香り漂う音楽ライター)
FMカオン、毎週(土)23時〜「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティもやってます。パソコンやスマホでも聴けます。1月は、スーザ特集と、『サンダーバード』の作曲者、バリー・グレイ特集です。

(2015.01.08)


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