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【コラム】

富樫鉄火のグル新
第3回 大河ドラマ『龍馬伝』の音楽

ツィッターほど短くもなく、ブログほど個人的でもない、
同じような話題をグルグルめぐるけど、基本は最新の話題。グル新。



 毎年、NHK大河ドラマの第1回を、「今年の曲は吹奏楽に向いているだろうか」と、ドキドキしながら観る。昨年の『天地人』(大島ミチル)は見事に吹奏楽ドンピシャで、全国各地で演奏されていた(私がナマで聴いた中では、豊島区吹奏楽団の定演が最高だった)。

 今年の『龍馬伝』の音楽は佐藤直紀。『ALWAYS 三丁目の夕日』『ウォーターボーイズ(シンクロ BOM-BA-YA)』『海猿』などが吹奏楽版になって演奏されている。

 NHK大河ドラマのOP曲は、毎年、NHK交響楽団が演奏する。今年の『龍馬伝』は広上淳一の指揮。だが、今回は、吹奏楽で演奏するには少々やっかいかもしれない。主旋律が「女声ソロ・ヴォーカル」なのだ。

 歌っているのはリサ・ジェラルド。アイルランド系オーストラリア人で、80〜90年代、「デッド・カン・ダンス」なるグループに所属し、クラシックと民族音楽を合体したような、不思議な音楽を奏でていた(近年、紙ジャケCDで復刻されている)。その後はヴォーカリスト兼作曲家として独立し、映画『グラディエイター』などの音楽に参加している。そんな「越境マルチ歌手」が『龍馬伝』OP曲を歌っているのだ。

 NHK大河ドラマOP曲に、オーケストラ・サウンド以外の響きが加わったのは、1980年『獅子の時代』(音楽:宇崎竜童)におけるエレキ・ギターが最初だった。
  93年『琉球の風』では、初めて「歌」がOP曲となった。谷村新司の《階(きざはし)》だ(劇伴は長生淳)。
  2000年『葵 徳川三代』(音楽:岩代太郎)では海外アーティストが初参加した。指揮シャルル・デュトワと、ケンブリッジ・キングズ・カレッジ合唱団。紀行コーナーではイラーン・パイプ(アイルランドの民族楽器)のディヴィ・スピラーンも加わった。
  01年『北条時宗』(音楽:栗山和樹)では、モンゴルの女声歌手ノロヴバンザドが参加。
  02年『利家とまつ〜加賀百万石物語〜』(音楽:渡辺俊幸)のOP曲は、同年、石川県根上町立根上中学校が演奏し、コンクール全国大会へ進出。見事、金賞を獲得した(編曲:後藤洋)。これが、コンクールに初めて登場した大河ドラマ音楽だった。
  03年『武蔵 MUSASHI』では、ついに史上初の海外作曲家、巨匠エンニオ・モリコーネが起用された。
  04年『新選組!』(音楽:服部隆之)では、オペラ歌手のジョン・健・ヌッツォがソロを歌い、これも吹奏楽ドンピシャで各地で演奏されたが、当のジョンが、一昨年、覚醒剤で現行犯逮捕されて、ミソを付けてしまった。
  09年『天地人』の大島ミチルは、大河史上初の女性作曲家であった。

 かように大河ドラマは、音楽もそれなりの波乱万丈なのだ。そして今年の『龍馬伝』は、リサ・ジェラルドの歌唱である。

 曲は2分45秒。全編、ミニマム的なリズムが支配している。リサは前半とラスト部で主旋律を歌い、ラストは唐突に終わる。昨年の『天地人』のような「ブラス色」は皆無。だが、私みたいなオヤジ世代には、デッド・カン・ダンス時代を再び聴くようで、ちょっと懐かしいサウンドだ。

 この曲が、吹奏楽で、どんな響きになるのだろうか。少なくとも、ミュージック・エイト、月刊「バンド・ジャーナル」付録、「ニュー・サウンズ・イン・ブラス」などは出版を検討しているはずだ。どこが最初に出すのか、リサの声をどのように処理するのか、楽しみだ。

 余談だが、日本管楽合奏コンテストは、声楽や電子楽器とのコラボも許されている。どこかの団体が、オリジナル通り、女声や打ち込みを加えて文京シビックで演奏してくれないだろうか。

※『龍馬伝』サントラCDは、1月27日にワーナーより発売されます。OP曲は着メロサイト各社よりDLが始まっています。

■ワーナー・ミュージック・ジャパンHP(試聴あり)http://wmg.jp/artist/satonaoki/PKG0000006572.html

富樫鉄火(吹奏楽大好きの音楽ライター)

(2010.01.07)


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