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東京都アンサンブルコンテスト(全国大会予選)

日時:2008年2月3日(日)
会場:東京・府中の森芸術劇場どりーむホール
レポート:ブリュンヒルデちなみ(BP特派員)


 のぞいてきました、アンコン東京都大会
  〜いまやアンコンは「打楽器の時代」?〜

 どうも最近、私のことを「のぞき屋」と呼んでいる人がいるらしいわね。コンクール会場を「のぞき」に来ては、好き勝手なことを書いているというわけよ。

 確かにそう呼ばれても不思議じゃないし、いまさら反論もしないわよ。こうなったら、徹底的に「のぞき」まくってやるわよ……というわけで、さらに「のぞき屋」の本領発揮、今度はアンコン都大会を「のぞいて」来ました。3月20日(木)のアンコン全国大会出場団体を決める、東京最終決戦の様子です。

●予選参加は、中学「387」、高校「258」!
  その前に……今回、私、都大会以前の、中学と高校の「予選」も、ちょっとばかりのぞいてきたので、それを書いておくわね。「あんたも暇だねえ」の声が聞こえそうだけど、どうせ私は「のぞき屋」ですから。
  会場は、どちらも都大会と同じ、府中の森芸術劇場。

 まず、高校予選は1月5日(土)、6日(日)の2日間。毎年、こんな時期なんだけど、それにしてもよくぞまあ、お正月早々にやるものと、驚くわよね。アンコンに本腰入れている学校は、毎年、暮れも正月もないんじゃないの? ご家族も大変よねえ。もう少し別の時期に開催できないものかと思うけど、きっと、会場の都合でどうにもならないんでしょうね。何しろ、今年なんか、計「258グループ」が参加したのよ(当日辞退も含めて)。とうてい、一会場での開催は無理。府中の森芸術劇場は、館内に3つホールがあるので、それを2日間全部使って同時進行で進むのよ。

 ホールは、まず2000人収容の本格的コンサートホール「どりーむホール」で、金管系と打楽器系が演奏。
  次に500人収容の、パイプオルガンがある室内楽専用ホール「ウィーンホール」で、木管系が演奏。
  ここまでは、いいのよ。問題は、最後の、500人収容の「ふるさとホール」よ。ここも木管系なんだけど、このホール、本来が音楽をやるとこじゃないのよ。お芝居とか落語とかをやるホールなのよ。だから、客席両側には、座布団に座って観る「桟敷席」があるのよ。当然、音楽演奏向きの残響も、ほとんどない。ここで演奏させられるチームは可哀想よ。残響なしだから、音がストレートに聴こえちゃって、本来もっときれいな響きのはずなのに、スカスカに聴こえちゃうのよね。よくコンクールやアンコン前って、残響のあるところで最後の詰めを行なわない? 体育館とか、あるいは本格的にホールを借りて練習する学校もあるはずよね。せっかく、そういうところで練習してきても、本番であれじゃあ、意味ないと思うのよね。
  もちろん、審査員は、そんなことに関係なく、純粋に「音楽」を聴くはずだけど、ほかの2ホールとのあまりの環境の違いに、驚いちゃったわ。
  でも、そうまでしないと、2日間258グループの出演は無理なのね。

 そんな形で開催されるから、全部聴くのは不可能なんだけど、私が聴いた中で印象に残ったのは、民族服の制服で登場した東京朝鮮高級学校の演奏。2グループ出演で、木打7≪ウリ・ハッキョ〜夢へと続く道〜≫(崔進郁)=銅賞、木5≪フェオリ〜旋風〜≫(李相大)=銀賞。どちらもおそらく母国の作曲家の作品だと思うんだけど、驚くほどいい曲なのよ! しかもとても懐かしい響きがするのよ。子供の頃、どこかから聴こえていたような、優しい、それでいてい厳しさもあるような、そんな曲だった。多くのグループが、欧米の横文字作曲家の難しい曲をやっている中で、堂々と自国の音楽を演奏するのは、とても素晴らしいことだと思ったわ。ちょっと泣きそうになっちゃった。

 そして、中学の予選は、1月26日(土)、27日(日)の2日間。同じ会場で。これまたすごい参加数よ。計「387グループ」!(当日辞退含む)。

 時期的には1月末で、年明けから十分余裕もあるんだけど、今度は、この日程だと、次の都大会(2月3日)まで、1週間しかないのよ。これもまた、上位を目指す学校にとっては、いいような悪いような、なんとも微妙な時期よねえ。

 この中学予選でも、やはり「ふるさとホール」での演奏は、いかがなものかと思ったわ。しかもこちらは、金管系も、このホールで演奏するのよ。残響なしで、音がスカスカ。可哀想だったわ〜。

●中学「打楽器」はすべて金賞!
  さて、そんな大量出場の予選から、中学22グループ、高校15グループが都大会に進出。これに大学、職場、一般も加わって、2月3日(日)、府中の森芸術劇場「どりーむホール」で、東京都アンサンブルコンテスト(全国大会予選)が開催されたわけ。今回は、さすがに全編成・全部門が「どりーむホール」での開催で、ホッとしたわ。

 この日は、東京には珍しく大雪! 電車も遅れ気味だったし、特に打楽器の搬入はたいへんだったと思うわ。少し開会が遅れるのかと思ったら、情け容赦なく、定刻どおりの開会・進行。

 まず中学の部から始まるんだけど、私がいちばん感じたのは、アンサンブルの世界は「打楽器の世界」になりつつあるのでは……?ということね。

 これは、すでに予選の時から感じていたんだけど、中学の打楽器アンサンブルのレベルの高さ、楽曲の豊富さ、出場グループの多さは、このところ上向き一方じゃないかしらね。
  たとえば中学予選では、打楽器のみで編成されたグループが「26」も出たのよ(高校予選では「31」)。そこから4グループの中学が代表金賞で都大会に出たんだけど、結果は、「4グループとも金賞」、そして1グループが代表金賞(全国大会行き)。

 その代表金賞は、小平市立小平六中。打5で、安倍圭子≪ザ・ウェーブ〜マリンバ・コンチェルティーノ≫っていうのを演奏したんだけど、もう、唖然呆然、ビックリ仰天よ。実は私、このグループ、予選でも聴いたんだけど、その時から私みたいな素人でも「都大会行き、間違いなし」と思ったわ。

 この曲、要するに「マリンバ協奏曲」なのよ。マリンバ・ソロを中心に、ほかの4人が、様々な打楽器で「ミニ・オーケストラ」的にバックをつとめるのね。私なんか初めて聴く曲だから、あとでBP編集部に調べてもらったら、数年前に、マリンバ奏者の安倍圭子さん自らのソロで、オランダで初演されたそうよ。

 もちろん曲は超絶技巧の連続。マリンバ奏者は、終始、両手にダブル・マレットで、まるで「ドラリオン」を観てるみたいな迫力だったわ。ぜひ、あの演奏を、もう一度、全国大会で「観て」「聴いて」みたいもんだわよ。

 それと、惜しくも代表を逃した葛飾区立常盤中学の打5≪ジャンヌ・ダルク≫も感動的だったわ〜。BP読者ならおなじみ、あの冨田篤さんの本『息を聴け』で、熊本県立盲学校が演奏していた曲よ。これもまた、よくこんな難曲を中学校が演奏するもんだと思ったわ。後半、デリケートに演奏される部分なんか、ジーンと来ちゃった。打楽器だけで、よくも、ああいう微妙な優しさみたいなものが表現できるもんね〜。打楽器部門で、あそこまで会場内をシーンとさせたのは、ここだけだったわよ。
  ちなみにこの≪ジャンヌ・ダルク≫は、高校の部で都立片倉高校も演奏して、金賞を受賞していたわ。ここもすごい名演でした。グラステイルさんの曲、人気あるのねえ。

 あと、中学では、打5の天野正道≪ペンタゴン≫を演奏した青梅市立吹上中学、打8の宍倉晃≪フリーダム≫を演奏した小平市立小平三中も金賞。
  中学の打楽器はすべて金賞受賞で、しかも全国大会行きも出た。だからいまやアンコンに関しては「打楽器の時代」みたいな感じ。来年以降、打楽器アンサンブルは、さらに人気が出るかもね。

 あと中学の部では、もう一団体、コンクール全国大会でもおなじみ、足立区立第十四中学が代表金賞。金8で、アンコンで大人気のリチャーズ≪高貴なるぶどう酒を讃えて≫を見事に演奏してました。

●フルート編成も絶好調
  高校の部で驚いたのは、都立杉並高校のフルート八重奏、天野正道≪ソナチネ≫。「木管」八重奏じゃないのよ、「フルート」八重奏よ。ピッコロ、フルート、アルトフルート、バスフルートの4種類を使うのよ。私なんか、通常のピッコロとフルートくらいしか見たことないから、アルトやバスなんて、目を丸くしちゃったわよ。あんな楽器、クラブで購入して所有してるのかしら。それともレンタルかしら。所有だとしたら、この曲以外で使う機会、あるのかしら……そんなことまで気になっちゃったわ。

 でも、なんとも不思議な響きで、魅力的だったわ。珍しいものを見せていただき、しかも素晴らしい演奏でした。代表金賞、おめでとうございます。

 あと、一般の部で、やはりフルート5の、ヴォーター≪アダージョとスケルツォ≫を演奏した東京清和吹奏楽団も、きれいだったわ〜。全員女性で、まさに「天使の響き」(ちょっと言い過ぎかしら)。でも、そういいたくなるほど美しい音色だったわ。ほとんどプロの音色に思えたわ。代表は逃したけど、見事、金賞でした。

 全体の結果、代表金賞(全国大会行き)は、以下のとおり。

【中学】
足立区立第十四中学:金8/リチャーズ≪高貴なるぶどう酒を讃えて≫
小平市立小平六中:打5/安倍圭子≪ザ・ウェーブ〜マリンバ・コンチェルティーノ≫

【高校】
都立片倉高校:木6/トマジ≪春≫
都立杉並高校:フルート8/天野正道≪ソナチネ≫

【大学】
東海大学:管弦打8/プレトリウス≪テレプシコーレ舞曲集≫

【職場】
NTT東日本東京:クラリネット8/ネリベル≪コラールと舞曲≫

【一般】
世田谷おぼっちゃまーず:クラリネット7/チャイコフスキー≪バルカローレ≫

 全国大会は、3月20日(木)、埼玉市民文化センターで開催されます。たぶん、ほかの支部でも、続々、代表が決まっている時期だと思うけど、どこも素晴らしい演奏を期待していますよー!

全日本吹奏楽連盟HP  http://www.ajba.or.jp/
※アンサンブル・コンテストほか、コンクール関係の情報はこちらをチェック

(2008.02.12)



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