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大阪市音楽団
第95回定期演奏会

日時:11月22日 (木) 19:00開演
会場:ザ・シンフォニーホール
レポート:樋口幸弘(ウィ
ンドナビゲーター)

◎これぞ、プロフェッショナル!! 完璧なまでに磨き上げられたアンサンブルとプログラミングの妙で圧倒的成功を収めた大阪市音楽団第95回定期演奏会

 2007年11月27日、大阪のザ・シンフォニーホールで催された、小松一彦指揮、「大阪市音楽団第95回定期演奏会」を聴いた。

 プログラムは、第1部に、アメリカのクロード・トーマス・スミスとウォーレン・フランク・ベンソン、スイスのオリヴァー・ヴェースピという、現代ウィンド・ミュージックの粋をつくしたオリジナル曲がズラリと並び、対照的に第2部では、クラシック音楽の大家、2007年が生誕150周年のイギリスのエドワード・エルガーと、日本でも人気が高まってきたハンガリーのベーラ・バルトークの作品を聴かせるという意欲的な構成。この内、ヴェースピは、楽譜出版前に大阪市音楽団が提供を受けた最新作品であり、バルトークは、この演奏会にために新たに書き下ろされたトランスクリプションだった。

 会場は、いつものようにほぼ満席状態。その期待に応えるように、演奏も、ホルンのユニゾンで始まる1曲目の『フェスティヴァル・ヴァリエーションズ』からハイ・テンション。この作品の委嘱者であるアメリカ空軍ワシントンD.C.バンドと同じくチェロも加えた鮮やかな演奏に、聴衆の目も耳も早くも釘付け状態。

 2曲目の『孤独な踊り子』は、ベンソンの代表作の1つにも拘らず、なかなかいい演奏にめぐまれない作品でもある。この日の演奏は、打楽器奏者でもあった作曲者の意図を汲み取った快演で、小気味のいいパーカッションが繰り出す刻みにのり、作品の求める“静なる興奮”がステージ上で見事に表現されていた。

 第1部を締めくくった本邦初演、ヴェースピの『シンフォ二エッタ第2番』は、この日最高の演奏の1つ。3楽章構成で、2005年作曲という新作ながら、ヴァーグナー、ブルックナー、レスピーギなどと同じ土壌の、ヨーロッパのクラシック音楽の伝統の中から生み出された作品であり、ウィンド・ミュージックの新時代到来を意識させるものだった。指揮者も演奏者もともに作品に深く共鳴しているのを強く感じさせた演奏であり、たまたま日本を訪れていたこの作品の出版社 Beriato Music の社長ベン・ハームホウトスも、その音楽的感動の大きさに“ファンタスティック”を連発していた。

 第2部の1曲目は、イギリスの大作曲家エルガーの『セヴァーン組曲』。「ウースター城(序奏)」〜「トーナメント(トッカータ)」〜「大聖堂(フーガ)」〜「騎士領にて(メヌエット)」〜「コーダ」という5曲からなるこの組曲の原曲は、エルガー最晩年の1930年に全英ブラス・バンド選手権のために書かれた作曲者唯一のブラス・バンド作品。この日は、アルフレッド・リードによるウィンド・バンド版での演奏だったが、曲のタイトルとなった川の流れのように、ゆったりと構えた上品な表現は、生誕150年を彩る好演の1つとして人々の記憶に残ることだろう。

 プログラムのラストを飾るバルトークの組曲『中国の不思議な役人』は、何かと物議をかもし出してきた問題作。この演奏会のために新しく書き下ろされた森田一浩のトランスクリプションは、ブリリアントでかつスリリング。難易度超Aクラスのソロ・ワークも鮮やかに決まって、指揮者と奏者が完全に一体となった信じがたいほどのドライブ感でクライマックスへ。演奏後、指揮者に促されてステージへ進んだ編曲者も大きな拍手に包まれた。

 アンコールも、同じくバルトークの『ルーマニア民族舞曲』から(山本教生編)とエルガーの行進曲『威風堂々第1番』(アルフレッド・リード編)と、なんともゴージャス。

 終演後、自身もバンベルク交響楽団(ドイツ)の首席トロンボーン奏者として数々のパフォーマンスを演じてきているハームホウトスも、『間違いなく、自分が聴いた最高のコンサートのひとつだ。ヨーロッパの連中も、日本でこんなすばらしいコンサートが行われているとは知らないだろう。』と手放しで絶賛。今聴いたばかりの演奏に2人で何度も頷き合いながら、心地よい興奮の中、会場を後にした。

(2007.11.27)


大阪市音楽団第95回定期演奏会プログラム

【第1部】
フェスティヴァル・ヴァリエーションズ(クロード・トーマス・スミス)
孤独な踊り子(ウォーレン・ベンソン)
シンフォ二エッタ第2番(オリヴァー・ヴェースピ) - 本邦初演 - 

【第2部】
セヴァーン組曲(エドワード・エルガー)アルフレッド・リード編
組曲『中国の不思議な役人』(ベーラ・バルトーク)森田一浩編


(C)2007、Yukihiro Higuchi / 樋口幸弘

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