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■2007年全日本吹奏楽コンクール全国大会ライブ盤
 
 
 

全日本吹奏楽コンクール全国大会:職場・一般の部

日時:2007年11月4日(日)
会場:長野県民文化会館
レポート:ブリュンヒルデちなみ(BP特派員)

行ってきました全国大会(職場・一般の部)!

 全国大会・高校の部の興奮と感動から約2週間。予想通りBP編集長・小太郎氏からの電話。

「あのさあ、ちなみちゃん、もちろん今年も、大人の部の全国大会、行ってくれるよね〜?」
「うっ。ミーハー・レポートでよければね」
「けっこう、けっこう。ちなみちゃんのために、必死でチケットも入手したし、原稿のための関連ネタも、いろいろ集めておいたから」
「で、今年の会場は?」
「長野」
「げっ。長野?」
「そ。長野新幹線使えば、東京駅から90分で着いちゃうんだよ」
「ということは、言うまでもなく…」
「そ、日帰りでね!」

 何だか、昨年(宇都宮)と似たパターンだわね。日帰りでサッと行けるから……と言われて、出かけて行ったんだわよ。確かに、私が子供の頃は長野新幹線なんてなかったから、家族で善光寺に行った時なんか、1泊2日で大騒ぎだった記憶があるわ。あの頃に比べたら、夢のようね。

 で、(少しばかり)おなじみ、元吹奏楽部のユーフォ吹き、いまでは単なるミーハー・オバサンのブリュンヒルデちなみ、昨年に引き続き、全国大会「職場・一般の部」に行ってまいりました。前日の土曜日には同じ会場で大学の部が開催されていたけど、相変わらず土曜日もヒイコラ仕事の私は、日曜日の職場・一般の部に日帰りで行ってまいりました。

 大学の部も含めて、全結果は、BPトップページからもリンクされている、ワールドフェイマスTBTさんのHPでご確認ください。ちなみに大学の部では、近畿大学、創価大学、神奈川大学といった有名強豪校が金賞を獲得していました。

職場の部最大の話題は……

  会場の長野県民文化会館は、長野駅から徒歩15分ほど。周辺は広々とした公園で、すでに紅葉真っ盛り。散った枯葉が足もとでサクサク音を立てておりました。彼方には山並みが見えて、都会のど真ん中にある普門館とはまた違ったムードを醸し出していて、いかにも「大人の全国大会」って感じ。

 まずは職場の部。

 前にも似たようなこと書いたけど、今年、日本全国から、コンクールに参加した職場バンドはたった「25団体」(連盟の加盟数は98団体)。そこから、全国大会まで進んできたバンドは7団体。つまり「25分の7」=出場確率28%。これに対して、中学の部は日本全国から2567団体参加で(加盟数7058団体)、そこから全国大会行きが29団体。「2567分の29」=出場確率1.1%。

 28%と、1.1%……まあ、比較しても仕方ないんだけど、ホント、職場バンドって少ないのねえ。

 でも、考えようによっては、それだけ職場バンドは顔ぶれが一定しているはずで、そうなると当然、強豪バンド常連大会になるわけだから、ある意味、ハイレベルな戦いになるような気もするのよ。

 今年、職場の部で最大のミーハー話題は、ヤマハ吹奏楽団浜松(静岡)の指揮者が、須川展也さんってことね。何しろ、吹奏楽界のスーパースター、東京佼成ウインドオーケストラのコンマスで、日本を代表するサクソフォーン奏者。その須川さんが、コンクールで指揮者デビューするのよ。ヤマハ吹奏楽団も、日本を代表する楽器メーカーとしてのプライドがあるはず。何しろ昨年は、まさかの銀賞だったから、今年こそは、スーパースター須川さんを迎えて起死回生を目指したのも、よく分るわ。

 だけど、そんなことより私は、須川さんの指揮ぶりのほうに大注目。だって、確かに須川さんて実力派サクソフォーン奏者だけど、あくまで「奏者」であって「指揮者」ではないと思うのよ(いままで指揮・指導をされていたのかもしれないけど、少なくともコンクールは今回が初めて)。

 東京佼成WOの奏者からは、すでにサックスの仲田守さんが、アンサンブル・ドゥ・ノール(北海道)の指揮・編曲者としてコンクールではおなじみになっている。それだけに、須川さんだって、並みの意気込みじゃなかったはずよ。

 で、その「指揮者」須川さんだけど、これがなかなか素晴らしかったのよ! もちろん私は客席から後ろ姿を見ていただけだけど、かつて演奏者の立場だった私からすれば「ああ、ああいう感じで指揮してくれたら、楽しく演奏できるだろうなあ」って思える、そんな指揮ぶりだったのよ。しかもオシャレよ〜。左袖だけが肩から下、真っ白で、あとは全身黒尽くめという、いったいどこでああいう服を売ってるのかと思わせるカッコよさなのよ。

 結果は、見事金賞! やったね須川さん! これからは、サクソフォーンもさることながら、指揮ももっとやって〜!

さすが「マーチの阪急」!

  もはや日本の職場バンドの「歴史」になりつつある阪急百貨店吹奏楽団(大阪)。「マーチの阪急」とまで呼ばれ、マーチを演奏させたら日本で最高と言われているバンド。課題曲 I ≪ピッコロ・マーチ≫は、実に自然で、それでいて質実剛健。さすがだったわ。

 とにかく、最上段に並んだ4人の打楽器奏者(ティンパニ、SD、BD、シンバル)が、素晴らしいのよ! 実に手馴れた感じで、「マーチ? はいはい、じゃ、いっちょやってみせまひょか」みたいな雰囲気で、サラリとやるんだけど、強弱、テンポ、音色、どれをとっても「安心感」のひとことなの。しかも、いかにもベテランという感じのお父さんたち。やっぱ、大人の部はいいわねえ。私みたいなオバサンは、落ち着いて見ていられるわ。
  実は阪急は、自由曲で、ウェーバーの歌劇≪オベロン≫序曲を演奏したんだけど、こちらも打楽器は、その4人だけなのよ。最近は、鍵盤打楽器やドラだのチャイムだのと、どこのバンドも盛りだくさんで、6〜7人の打楽器奏者を揃えているバンドも当たり前だけど、阪急は、最初から最後まで、打楽器はこの4人だけなのよ。もちろん、多くの打楽器を必要としない曲にしているせいもあるんだけど、ティンパニ、SD、BD、シンバルって、吹奏楽における打楽器の基本中の基本でしょ? 何だか阪急は、吹奏楽の基本で堂々と勝負しているような感じがして、すごく潔い感じがしたわ。

 2曲とも安定感のある正統派の演奏で、見事金賞! おめでとうございます!

 ちなみに演奏開始前のアナウンスで「阪神百貨店吹奏楽団」と読み上げられたのは、許してあげてくださいね(あとで、訂正アナウンスもあったし)。

 そのほか、安定したクラシック本流曲(ドヴォルザークの≪スラブ舞曲≫)でホッとする演奏を聴かせてくれたNEC玉川(神奈川)、少人数で大栗裕≪吹奏楽のための神話≫を面白く聴かせてくれた新日鉄室蘭(北海道)が私の印象に残りました。

「W金賞」指揮者、誕生か?

  さて、いよいよ一般の部です。いわば、日本で最高のアマチュア・バンドを決定する、今年のコンクール最後の決戦場。

 今年は、土気シビック(千葉)、創価学会関西(大阪)、浜松交響(静岡)といった強豪バンドが3出休みなので面白くないという意見もあったらしいけど、私は、そうは思わなかった。こんなに面白いコンクール、ないと思った。並みのコンサートなんかより、ずっと楽しめたわ。オリジナルあり、クラシックあり。新作あり、新編曲あり。現代風の曲あり、古典的な曲あり。しかも、ほとんどが大人数で迫力も満点。やっぱ、日本のアマチュア吹奏楽は、この一般の部にこそ、最前線があるんだと、心底から感じたわ。

 まず、ミーハー話題からいくと、2団体を指揮する人が、3人もいたこと。

※福本信太郎さん……川口市アンサンブル・リベルテ(埼玉)と、相模原市吹(神奈川)。
※佐藤正人さん……秋田吹と、川越奏和奏友会(埼玉)。
※佐川聖二さん……リヴィエール(東京)と、グラールWO(神奈川)。

 このうち、W金賞を獲得する人って、いるのかしら……そう考えたら、ワクワクものだったわ。

 しかし、佐藤正人さん、お気の毒よ〜。だって、ほかの2人は、適度に2団体の出番が離れていたり、途中休憩があったりしたからいいけど、佐藤さんだけは、5番目と8番目なのよ。5番目に秋田を振って、大急ぎでステージから去って、おそらくもう出番を控えて最終準備中の8番目・川越奏和のもとへ行くんだから。息も切れたんじゃないかしら。ほんとうにお疲れ様って言いたくなった。

 でも、その甲斐あって、見事、佐藤さんの振った団体は、どちらも金賞! スゴイわね〜。いっぺんに2つも金賞を取るなんて。しかも、川越奏和の自由曲は、ラヴェルの≪左手のためのピアノ協奏曲≫! 「ピアノ協奏曲」よ! いったい、どういうことなのかと思ったわ。これって、戦争で右腕を失ったピアニストのためにラヴェルが書いた協奏曲だそうよ。それを吹奏楽でやるって……?

 聴いてビックリ。要するに、ピアノ独奏部分も含めて、ひとつのウインド・オーケストラ曲に仕立て上げてるのよ。舞台上には確かにピアノ奏者もいたけれど、別に、普段イメージするピアノ協奏曲みたいなソロ演奏をするわけじゃないの。驚いたわ〜。そして、すごくよかった! 吹奏楽界にまた1曲、ラヴェルの新スコアが登場したって感じがしたわ。

 福本さんは、リベルテが金賞。デ=メイの≪エクストリーム・メイク・オーヴァー≫という、チャイコフスキーの名旋律をあれこれ使った、壮大な曲なの。もうクライマックスなんかスゴイ迫力、舞台左右に2台のチャイムを置いてキンコンカンコン叩きまくって、私なんか心臓が飛び出すかと思ったわ! 演奏終了後、客席はあまりの興奮にざわついたまま。すぐにロビーに走って、当日録音CDを買う人がたくさんいたみたいよ。

 佐川さんは、グラールで金賞! これまたとんでもない曲なのよ〜。天野正道≪ファントム・ドゥ・ラムール≫(愛の亡霊?)っていう、委嘱新作らしいんだけど、なんていうのか、ありとあらゆる種類の音楽が渾然一体となって、怒涛の叫びを上げながら転がっていくような大迫力スペクタクルなのよ。驚いたわ。天野さんの曲って、いつもスゴイけど、またまた驚くべき新作を送り出したって気がしたわ〜。

ビックリ仰天の演奏!

  そのほか、驚いたのはウィンドアンサンブル・ドゥ・ノール(北海道)。ワーグナーの≪ローエングリン≫第3幕からの抜粋を演奏したんだけど、トランペット奏者が9人よ! いったい、何だってあんなにたくさんいるのかと思ったら、クライマックスで分かったわ。舞台左右に2人ずつのバンダ・トランペットが立って、ファンファーレのようなフレーズを演奏するのよ。それで終わりかと思ったら甘いのよ。いったんこの4人が席に戻ると、今度は別の5人が、アイーダ・トランペット(ファンファーレ専用の、長〜いトランペット)を持って、下手側に勢揃いして、またまたド派手なファンファーレを吹くのよ。もう、唖然呆然、とてつもない演奏だったわ。指揮・編曲は、東京佼成WOのサックス奏者として有名な仲田守さん。銅賞だったけど、この日いちばん、驚かされた演奏だったわ。12月の東京佼成WOの定期演奏会でも、このスコアが演奏されるみたいなので、行ってみようと思ってるのよ。あれをプロが演奏したら、いったい、どういうことになるのかしら。

 佐川さんが指揮したもう1団体、結成1年目で全国大会まで来たリヴィエールは、前に東京都大会のレポートでも書いたけど、委嘱新作、鈴木英史≪大いなる約束の大地〜チンギス・ハーン≫という、ユニークな曲で登場。残念ながら銀賞だったけど、とても楽しめました。

 あと、タイムオーバーで失格になっちゃったけど、春日井WO(愛知)の、リヒャルト・シュトラウス≪ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら≫は、とてもじっくりした演奏で、落ち着いて聴けたわ。しかし、春日井WOは、前にも同じ曲で出ていて、金賞を取ってるはずだけど、何で今回はタイムオーバーなんかになっちゃったのかしら。抜粋部分が違ったのかしら……。

今年の「最大功労・金賞」は……

  というわけで、今年は佐藤正人さんのW金賞が話題になったけど、実は、表彰式では、佐川聖二さんが「長年出場指揮者表彰」(いままでに5団体を指揮して、15回出場!)を受けて大忙しでした。何しろ2つの指揮者賞を含めて3回も表彰されるもんだから、舞台上で行ったり来たり、大変なのよ。客席に向かって一礼された時は、会場中から大きな拍手と歓声があがって、佐川さんの偉業を讃えてた。今年の一般の部の表彰式は、ほとんど佐川さんの独り舞台だったわ〜。

 でもね、実は、今年最も表彰されるべきは、私は、作編曲家の天野正道さんだと思った。だって、一般の部に、天野さんの作編曲スコアが3つ登場したんだけど、全部「金賞」なのよ!

※三善晃≪竹取物語≫より(秋田吹奏楽団、佐藤正人指揮)……編曲、「金賞」!
※ラヴェル≪左手のためのピアノ協奏曲≫(川越奏和奏友会、佐藤正人指揮)……編曲、「金賞」!
※天野正道≪ファントム・ドゥ・ラムール≫(グラールWO、佐川聖二指揮)……作曲、「金賞」!

 私個人の、今年の「最大功労・金賞」を、天野さんに差し上げたい思いだわ。

 ――というわけで、今年のコンクールも終わりました。

 すでに来年の課題曲も発表されていて(来年から、マーチ曲とそれ以外との区別がなくなるみたいね)、ネットで一部聴けるせいか、早くも「どの曲がいい」とか話題になってるみたい。

 来年の大人の部の会場は大阪だそうです。地の利もいいし、大都会だから、混雑しそうねえ。

 すばらしい音楽を聴かせてくださった出場団体のみなさん、ほんとうにありがとう。そして、ご苦労様でした。

 それではみなさん、来年は大阪でお会いしましょう(てか、私のことなんか、誰も知らないか)。

(2007.11.07)

■全日本吹奏楽連盟のHPで2008年の課題曲(一部)が聴けちゃいます
http://www.ajba.or.jp/kadaikyoku.htm


■2007コンクールのレポート、募集中!

「こんなステキな演奏に出会えた」「このバンドのこんなところがすばらしかった」などなど、コンクールを聴きに行って(または出演して)感じたアナタの素直な感想を聞かせてください。皆さんからの投稿、お待ちしています。

【メール送り先】kotaro@band-p.co.jp

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