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大阪小バス倶楽部
第19回定期演奏会

◎石田忠昭のアンサンブル曲や編曲作品は、関西のみならず、
  日本のユーフォ界の貴重なレパートリーと成りつつあるようだ

 2007年4月13日、伊丹アイフォニックホールに於いて開催された大阪小バス倶楽部の第19回定期演奏会に足を運んだ。当日は、開演前から雨がちらついたが、今年も大勢の客で開演前から会場は大盛況である。
 第19回を数えたこの演奏会において、メンバーも増え、またそれぞれに様々な環境の変化もあったと思われるが、ユーフォニアムの可能性の追求、個々演奏家としての能力の研鑽などの初心を忘れることなく、関西のみならず、全国のユーフォニアム奏者にメッセージを伝え続けるチャレンジ精神には敬服する。
 第2回の演奏会から欠かさず足を運んでいるが、昔に比べソロ、アンサンブル共にレパートリーの幅が広がりを見せて居るのが見て取れる。
 元々個人では、なかなかソロの発表の場を持つ事が難しいユーフォ奏者が集まって開いた演奏会で、当初はメンバー全員がソロを演奏していたが、人数が増えたため、近年ソロの発表は毎年数人づつとなっている。
 その反面、昔ではできなかったような大編成のアンサンブルを、メンバー自身の作・編曲で演奏するようになり、ユーフォ界に新たな可能性を発信してくれているように思える。

 オープニングはエリック・エワイゼンの「グランドキャニオン・オクテット」。元々アリゾナ州立大学ホルンアンサンブルのため書かれた曲だが、今回はその後改訂されたトロンボーン版での演奏となった。アリゾナ州にあるグランドキャニオンの持つ色彩の豊かさと堂々とした力強さを表現する3つの楽章のうち、ロンド形式の第三楽章を楽しむことができた。

 2曲目は木村寛仁氏のソロでP・スパークの「ハーレクイン」を聴くことが出来た。世界のユーフォニアム奏者を熱狂させた「パントマイム」「パーティーピース」に続く話題の作品を、初CDをリリースしたばかりの木村氏が演奏するとあって、聴衆の期待度も上がっていたが、叙情的な歌の導入と変奏から短いカデンツアを挟んでの快速な部分など、過去の2作品に比べさらに高いヴィルトーゾの要素を含んだこの曲を、持ち前のハートフルな音色と確実なテクニックで完璧に吹きこなした木村氏に会場の聴衆は魅了されていた。

 3曲目は松谷晃伸氏によるV・コスマの「ユーフォニアム協奏曲」。激しく、そして叙情的なスペインのリズムと旋律が用いられたこの曲は、今年1月のユーフォニアム・キャンプで第1楽章のみ聴くことができたが、今回は全楽章の完全版を演奏するとあって期待を胸に訪れた聴衆に、さらに磨きをかけたテクニックとアグレッシブな演奏で見事応えた松谷氏であった。

 休憩の後はアンサンブルのステージとなった。

 1曲目は普段から「和楽」というカルテットでも活動している中西勲氏、小西恒夫氏、長嶺範隆氏、石田忠昭氏の4人によるアンサンブルで、石田氏の出身地である島根県の民謡「関の一本松」という出雲地方に伝わる民謡を氏自らが自由な変奏曲の形に編曲したもので、コラール風な部分やポップス的な要素を含む部分も有って、民謡が主題であると言うことを忘れるくらいモダンな作品に仕上がっていた。
 石田氏はこれまでにも自作のアンサンブル曲や編曲作品を小バス倶楽部に提供し、発表してきたが、今ではそれは関西のみならず、日本のユーフォ界の貴重なレパートリーと成りつつあるようだ。

 最後は昨年の「ポーギー in Quarter」に引き続き「小バス劇場」と銘打っての、伊藤康英氏編曲による「カルメン in 15minutes」を上演。全4幕を演奏すると約150分もかかるところを、有名な曲は逃さず、しかもオペラの話のポイントをしっかりと押さえ、手際よく15分にまとめたこの曲は昔、ユーフォニアム・カンパニーの演奏で聴いたことがあったが、そのお洒落で洗練された演奏とは違い、(勿論演奏は素晴らしい物であったが)関西人丸出しの、コテコテで、受けてナンボのパフォーマンスに会場は爆笑の渦に包まれていた。関西出身ではないはずの三宅孝典氏も衣装もバッチリきめて、ノリノリでドン・ホセを演じていた。また、中西氏は艶のある音色で、妖艶な恋多き女性カルメンに成りきっていたように思われる。個々のキャラクターが妙にプレイヤーと重なって、感情移入しながら曲に聴き入ってしまう・・・そんな楽しい演奏であった。

活動を始めた頃は20代だったメンバーのほとんどが今や40代を越えた歴史あるアンサンブルであるが、これからも様々な活動で日本のユーフォニアム界を牽引していってもらいたいと思うと同時に、次回の第20回記念定期演奏会に、どんなパフォーマンスを見せてくれるか、新たな期待が膨らむ演奏会であった。

【出演】
池田勇人 石田忠昭 大西範子 木村寛仁 小西恒夫 中西勲 長嶺範隆 松谷晃伸 
三宅孝典(ユーフォニアム)

浅川晶子 山川亜紀(ピアノ)

【カルメン in 15minutes」キャスト】

カルメン/中西勲
ドン・ホセ/三宅孝典
ミカエラ/池田勇人
エスカミーリョ/小西恒夫


(2007.05.24)


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