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21世紀の吹奏楽 第10回“響宴”
(昼の部)

 春のお彼岸の入りでもある3月18日の日曜日に、東京芸術劇場にて「21世紀吹奏楽“響宴”」が開催されました。今回は第10回という記念の公演として、1日2公演という、より盛りだくさんなプログラムになっておりました。数多くの委嘱作品を始め、選ばれた様々な作品が演奏されました。また、海外から客演指揮者を招いたり、真島俊夫氏によるポップスへの提言など、趣向を凝らした内容となっておりました。それでは演奏会を覗いてみましょう。まずは昼の部からです。

 まず最初は、川越奏和奏友会吹奏楽団の演奏です。
 1曲目は、飯島俊成作曲《奏楽V Symphonietta“Towards Spring”》です。三楽章形式の作品で、華やかなファンファーレ・緩やかなメロディー・5度音程を使った壮大なコラールからなる、1曲目に相応しい作品でした。演奏するには高い技術が必要ですが、難易度を感じさせない演奏でした。トランペット3本とトロンボーン3本のバンダが、より一層花を添えています。

 2曲目は、清水大輔作曲《I will...〜for Wind Ensemble〜》です。
低音の和声進行が静かに響きながら進んでいきます。トランペットのソロがあったり、金管の高音域が続いたりと、各パートに見せ場があると同時に体力的に難しい部分がありますが、わかりやすいメロディーが特徴の作品です。また、木管の音程をとるのが少しだけ難しいかもしれません。

 3曲目は、天野正道作曲《Concertino for Electric Violin and Electric Guitar》です。
 この作品は今回の委嘱作品で、ソリストとして筒木聡美さんと堤博明氏だけでなく、ドラムに阿野次男氏を迎えて演奏されました。プログラムノートによりますと、比較的長い序奏を伴う自由なソナタ形式によって書かれているそうです。ブラスの響きと弦楽器の響き、ロックの響きの融合によって新しいサウンドを作り出していました。ヴァイオリンのカデンツとギター・ドラムのソロなど、見せ場がたくさんあり、演奏者も聴衆も楽しめる作品でした。

 続いては龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部の演奏です。
 1曲目は、柳川和樹作曲《落夏流穂》です。タイトルの通り、京都など古都をイメージさせるところが印象的でしたが、全体的にフォルテになるとサウンドが平らになるのが少し残念でした。しかし、氏の持っているセンスは良いものがあり、今後が楽しみです。

 2曲目は、酒井格作曲《ちびクラと吹奏楽の為のちっちゃな協奏曲》です。
この作品も今回の委嘱作品で、ちびクラのソリストとして小谷口直子さんを迎えて演奏されました。酒井氏らしい美しいハーモニーに、Esクラのかわいらしいメロディーと音色がとてもマッチしていました。途中、Esクラのカデンツを挟み、躍動する楽章に移行しながら前半部分が出てきて終曲となります。作品が若干長く感じましたが、それを感じさせない、技術的にも音楽的にも難しいEsクラをみごとに演奏された小谷口さんは圧巻でした!

 3曲目は、中橋愛生作曲《玻璃ぷりずむ−吹奏楽のためのテクナル・ミニマリズム》です。
 第一印象は、西洋音楽分の日本調という感じの音楽だと思いました。5度音程のオスティナ−トによって印象づけられる“日本”は、氏の持つ独特な感性が垣間見られる作品です。技術的にも音楽的にも非常に難しい作品ですが、力のあるバンドでしたら良い演奏が出来るのではないでしょうか。


 休憩を挟んで、ヤマハ吹奏楽団浜松の演奏です。今回は客演指揮に、レイ・クレーマー、小澤俊朗の両氏を迎えて演奏されました。
 1曲目は、高橋宏樹作曲《行進曲「モーツアルトの時間」》です。モーツアルトの有名な作品が次々と出てくるのが魅力的な作品です。《フィガロの結婚》《交響曲第40番》《ピアノソナタK.545》《ホルン協奏曲》《交響曲第25番》《レクイエム》《アイネクライネナハトムジーク》と、どの作品も一度は耳にしたことがある作品が使われています。その親しみのあるメロディーが、高橋氏の雰囲気に合っていて、可愛らしく楽しい作品でした。

 
 2曲目は、高昌帥作曲《Quadruple Quartet》です。
 この作品も今回の委嘱作品です。各楽器1本ずつ16人で演奏され、配置にもこだわりがあるのが特徴です。ジャズ風の作風かと思わせておいて、減音程を多用している現代的な作品でした。編成上、各楽器の演奏技術が要求される難易度の高い作品ですが、演奏効果があるとてもカッコいい作品でした。私も自分でアンサンブルを組んで、演奏してみたい作品でした!

 3曲目は、石毛里佳作曲《Muta in Concerto》です。
 今回ソリストとして、サックス・プレイヤーの須川展也氏を迎えての演奏です。四楽章形式で、各楽章1本ずつ「バリトン、テナー、アルト、ソプラノ」と順番に持ち替えて演奏します。タイトルの「Muta」は、イタリア語で「持ち替えなさい」という意味と、委嘱者の田村氏のニックネームの2つの意味からつけたそうです。
 バンドの難易度もやや高めですが、ソリストは4種類のサックスを使い分ける上に、楽曲自体の難易度も加わり、演奏するには約25分を演奏しきれる体力と、音楽的にも技術的にも高度なものを求められる作品です。須川氏の4種類のサックスそれぞれ素晴らしい演奏でした。

 昼の部最後の演奏団体は、フィルハーモニック・ウインズ大阪です。
 1曲目は、浪花英朗作曲《天空の檻》です。エジプトのミステリアスな雰囲気、いわゆるピラミッド内部をイメージさせる場面から始まり、通路を抜けて空へと舞っていく様子感じられる作品で、上が開けているような壮観な感じが印象的です。ピラミッドの構造のような緻密な音楽で、演奏するにはやや難しい感じがしますが、演奏効果が高いカッコいい作品だと思います。

 昼の部最後の作品は、福田洋介作曲《シンフォニック・ダンス》です。
この作品は、「世界の踊り」をテーマとして5つの作品からなっており、通して演奏すると約25分かかる大作ですが、各曲は単独演奏できるよう完結しており、全曲演奏できない場合でも、自分の気に入った曲を構成し演奏することも可能です。踊り=リズムの各形式を使用しているので、雰囲気がつかみやすく親しみやすい作品になっていると思います。

 (続く)

(2007.04.25)


■第10回“響宴” 昼の部プログラム

演奏団体:川越奏和奏友会吹奏楽団
指揮者:佐藤正人

1. 奏楽V Symphonietta "Towards Spring"/飯島俊成

2. I Will... 〜for Wind Ensemble〜/清水大輔

3. Concertino for Electric Violin and Electric Guitar/天野正道<委嘱>
  E.Vio:筒木聡美
  E.G:堤博明


演奏団体:龍谷大学学友会学術文化局吹奏楽部
指揮者:若林義人

1. 落夏流穂/柳川和樹

2. ちびクラと吹奏楽の為のちっちゃな協奏曲/酒井格
  Es.Cl:小谷口直子

3. 玻璃ぷりずむ―吹奏楽のためのテクナル・ミニマリズム/中橋愛生


演奏団体:ヤマハ吹奏楽団浜松
客演指揮者:レイ・クレーマー
指揮者:小澤俊朗

1. 行進曲『モーツァルトの時間』/高橋宏樹

2. Quadruple Quartet/高昌師

3. Muta in Concerto/石毛里佳
  Sax:須川展也


演奏団体:フィルハーモニック・ウインズ大阪
指揮者:木村吉宏

1. 天空の檻/浪花英明

2. シンフォニック・ダンス/福田洋介
  I) ルネサンス・ダンス
  II) タンゴ
  III) ホウダウン
  IV) 盆をどり唄
  V) ベリーダンス

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