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ゆめはっとジュニアウインドオーケストラ
第3回定期演奏会

◎アコーディオンと吹奏楽、奇跡のコラボ!

 最近は、吹奏楽が、様々なプロのソロ・プレイヤーと共演するコンサートが多い。この1月に福岡で開催されたシエナ・ウインド・オーケストラのコンサートでも、T-スクェアのサックス&EWI奏者・伊東たけしをゲストに迎え、たいへんな盛り上がりだったそうである。だが、そういったゲストのほとんどは「管楽器奏者」である。バックが管打楽器なのだから、当然の話だろう。

 ところが、1月28日(日)に、福島県南相馬市で開催された「ゆめはっとジュニアウインドオーケストラ」(YJWO)の第3回定期演奏会に登場したゲストは、世界的アコーディオン奏者・作曲家のcoba(コバ)であった。「アコーディオンと吹奏楽……?」 私は、最初、なかなかピンとこなかった。

 YJWOについては、しばしば、このBPでもレポートしているので、ご存知の方も多いだろう。南相馬市(旧・原町市)の文化振興事業団が主宰する、20歳以下限定の青少年吹奏楽団である。故アルフレッド・リードを音楽監督に迎え、2004年に華々しくスタートしたことで注目を浴びた。

 以後、リードの死後も、音楽監督・矢澤定明や、在京の一流プロ奏者によるパート指導・参加の協力を得て、見事に活動を存続させている。

 毎回のゲスト・プレーヤーも話題で、昨年は、谷啓(トロンボーン)と中川喜弘(トランペット)を迎え、青少年バンドとは思えない、高水準のエンタテインメント・ショーを見せてくれた。

 そして今年のゲストが……何と、アコーディオン奏者のcobaだったのである。

 最近の若い方々が、アコーディオンにどんなイメージを持っているのか不明だが、私の小学生時代は、学校にアコーディオンを弾ける先生が何人もいて、ちょっとした機会にすぐに弾いてくれたものだった。社会科見学などに行く時も、貸し切りバスの中でアコーディオンを伴奏に、みんなで大声で歌ったものだ。いわば、いまの「カラオケ」みたいなものだった。

 cobaについては、顔と名前が一致しなくても、曲はどこかで聴いたことがあるはずだ。TV番組「おしゃれカンケイ」の音楽や、多くのCM、映画などに彼の曲が使われている。ヨーロッパを感じさせるしゃれた感覚と、まるで人間の息吹で演奏されているような微妙な響きは、一度聴いたら忘れられない。

 だが、いくらアコーディオンが、クラリネットやサックスに似た「リード楽器」(空気を送り込んでリードを振動させて音を出す)だといっても、バックは「吹奏楽」である。音量からして、比較にならないはずだ。果たして、あのしゃれた感覚が、生み出せるのであろうか……。

 だが、心配は杞憂だった。cobaは、アコーディオンをPA(スピーカーによる拡声効果)につなぎ、席数1000強のホールを、床下から震わせて度肝を抜いた。そこにあらわれた音は、小学校時代に聴いたアコーディオンの音ではなかった。まるでホール全体がパイプオルガンで、その中にいるような、とにかく初めての感覚だった。それでいて、微妙な指使いのタッチや蛇腹の動きは、管楽器に注ぎ込まれる「息」そのもののようで、そのうち、我々聴衆は、アコーディオンなる楽器の内部にいるような錯覚にさえ、とらわれたのである。
 そして、それをサポートするのが、管打楽器で構成された吹奏楽なのだから、そのド迫力と興奮たるや、たいへんなものだった。

 cobaの人気曲≪アグア・モネグロス≫≪過ぎ去りし永遠の日々≫、そしてアドリブ・ソロ、最後は、≪ディープ・パープル メドレー≫での共演。この日の共演は、吹奏楽の新たな可能性を確実に切り拓いたと思う。現に、ゲスト参加していたプロ奏者の中には「こんな素晴らしいコラボになるとは思わなかった。うちのバンドのゲストに来てもらえないかなあ…」とさっそく思案している人もいた。吹奏楽は、まだまだ、いろんなことがやれるのだ。

 このような企画が、プロ・バンドではなく、東北の、公営の青少年アマチュア・バンドから生まれたことに、改めて驚く。

 YJWOは、発足からまだ3年。人数も十分とはいえない。新規加入メンバーの中には、小学生低学年と思しき可愛らしい子たちもいて、なかなか中心戦力にはならないであろう。だが、その現状に甘えることなく、常に最先端と最高のものを追い求める姿勢は、凄まじいものがある。そんな環境の中で練習を続けている小学生や中学生が長じて、YJWOの核になり始めた時、いったい、どんなバンドになるのだろうか。

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