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横浜開港祭 ザ ブラス クルーズ
ブラスバンド チャンピオンシップ2006

日時:2006年11月26日(日)開演13時
会場:横浜西公会堂ホール
レポート:広沢章夫(大阪ハーモニーブラス 代表

 国内では2005年に初めて開催されたブラスバンドのチャンピオンシップが、今年も横浜で開催されました。
 今回はこの4月に発足した「日本ブラスバンド指導者協会」が共催となり、参加団体も倍増、イベントとしても成長した大会となりました。また、今回は出演カテゴリが下記のとおり設定され、コンテスト部門においては課題曲は設定されず、事前テープ審査(予選)が実施されるなど、参加への間口を広げると共に演奏レベルの向上を図る取り組みが行われました。

【コンテスト部門】

A編成・・・楽器指定あり、20分以内の自由曲、金管奏者 30名以下
B編成・・・楽器指定あり、20分以内の自由曲、金管奏者 31〜60名
C編成・・・楽器指定なし、10分以内の自由曲、金管奏者 8〜60名

【フェスティバル部門】

楽器指定なし、演奏時間20分以内、総出演者80名以下。

※両部門とも金管楽器限定


 当日(本選)の審査員は開演前に発表・紹介された、山本武雄、富田悌二、山本真理子
の各氏。コンテスト部門への参加団体には、事前に細かな審査基準が送付されていて、これに基づいた採点により、各賞の決定とクリティーク(審査後団体別講評指導)が各団体に対して行われ、このイベントに参加する意義が高められています。

 今回のコンテスト部門では予選通過基準を最優秀枠内としたために4団体となっていました。本選出場を果たしたこれらの団体には日本ブラスバンド指導者協会 理事長賞 最優秀賞が贈られ、特に本選での優秀団体には神奈川県知事賞、神奈川県教育長賞が贈られました。


【コンテスト部門:A編成】

浜松ブラスバンド(指揮:山川 茂)

 トップのカテゴリである『A編成』で唯一の本選出場団体となった浜松ブラスバンドは、コルネット奏者 ・指揮者の岡本篤彦氏とトシ・トランペットアトリエ代表の亀山敏昭氏の呼びかけにより2004年に設立された世界標準編成のブラスバンドで、年間を通して活発な活動を展開されているバンドです。

 演奏曲は、持ち時間をいっぱいに使ってスパークの難曲「月とメキシコのはざまに」を演奏。この選曲だけでもバンドのコンテストにかける熱意が伝わってきます。この曲は、1998年のブラスバンド全英選手権の課題曲としてP.スパークに委嘱された作品で、難易度の高い文字通りコンテストピース 。各楽器のソロがとても多い曲ですが、各プレイヤーは無難に演奏するだけでなく音楽性豊かに表現 されていたのが印象に残る、完成度の高い好演奏で神奈川県教育長賞を受賞されました。

【コンテスト部門:B編成】

茨城県 水戸市立 笠原小学校金管バンド部(指揮:浅野正樹)

 コンテスト部門B編成唯一の団体として出場したのは、笠原小学校金管バンド部。3年生から6年生までの51名のバンド部員の内、4年生以上の38名で構成された英国スタイルのブラスバンドです。東日本吹奏楽大会では6年連続で金賞を受賞されています。
 偶然にも演奏曲は浜松ブラスバンドと同じ「月とメキシコ」。ただし、こちらはサイズを3分の一1に短縮したショートカットバージョン。この曲を小学生が演奏するとどうなるのか・・・想像もつかなかったのですが、演奏は非常に統率の取れた演奏で完成度の高いものでした。
 さすがに大人の演奏ほどのダイナミクスは無いものの、全員が暗譜、文字通り一 糸乱れぬ演奏はとても小学生の演奏とは思えないもので、見事、神奈川県知事賞を受賞。来年6月の横浜開港祭ザブラスクルーズへ「日本を代表するブラスバンド」(文部科学大臣表彰対象団体)として推薦されました。
 指揮者の浅野先生にお話を伺ったところ、「金管バンドの大人の演奏を聴く機会がほとんどないので、今日は大変良い機会となりました。事情が許せばまた来年も参加したいと思います」と語っておられたとおり、メンバーのみなさんが客席前方に陣取って、食い入るように各バンドの演奏を見ていたのが心に残りました。

【コンテスト部門:C編成】

埼玉県立 大宮光陵高等学校吹奏楽部(指揮:和田正行)

 音楽科が併設されている大宮光陵高等学では、練習施設環境に恵まれているそうで、吹奏楽部員は1、 2年生だけで100名を越える大所帯だそうです。金管楽器・打楽器メンバーの経験を積む目的でチャンピオンシップに参加されたとの事で、編成はトランペット、フレンチホルンを使った28名編成のブラスクワイエ。 R.V.ウィリ アムズの「イギリス民謡組曲(第1、3楽章)」を演奏されました。赤いジャケットのユニフォーム が華やかで、高校生らしいはつらつとした演奏が印象的でした。

茨城県 高萩市民吹奏楽団(指揮:武藤隆行)

『ブラスクワイエ』として、非常にのびのびとした演奏を披露された高萩市民吹奏楽団。50名による 大編成、しかもトランペット、トロンボーンが全員前を向き、圧倒的な音量でJ.ウィリアムズの「 オリンピックファンファーレ&テーマ」を演奏。コンテストという状況を忘れて楽しめる演奏でした 。実力あるバンドの金管プレイヤーが、金管バンドの1スタイルとして吹奏楽だけにとどまらない活動を楽しまれているという印象を受けました。


 コンテスト部門においては、出場した4団体それぞれが前向きに自らのバンドに刺激を受けることを目的 としてコンテストにチャレンジし、良い刺激を受けられたのではないかと思います。
 残念ながらメインイベントである本選A編成への出場が1団体しかなかったことは今後の課題ではありますが、昨年は同等のカテゴリへのエントリーがなかったことを考えると、浜松ブラスバンドのチャレンジ精神に拍手を贈りたいと思います。

 ブリティッシュスタイルのブラスバンドは1つの完成された編成であり、通常、ブラスバンドといえばこの編成を指し、世界的には吹奏楽以上に盛んな演奏形態であるので、ぜひ多くの団体が国内では唯一のコンテストであるこの大会を目指してほしいと願います。
 近年増えつつあるらしい、広い意味での金管バンド( ブラス・クワイエ)としては、今大会においても4団体が参加し、それぞれの良さを披露されました。これら伝統的な英国スタイルではないスタイルの金管バンドも一堂に会する場として、日本ならではのチャンピオンシップの方向性が前回と今回のこのイベントで提示されたのではないかと思います。主催者の「まず裾野(英国式金管バンド)を広げ、時が共に歩くようになれば、TOP(25名編成コンテスト)を目指す」との言葉に夢を感じました。


【フェスティバル部門】

洗足学園音楽大学 ブリティッシュブラス(指揮:福田昌範)

 洗足学園音楽大学では、約30年前より履修過程に英国スタイルのブラスバンドを取り入れられていて 、この形態の音楽に対して積極的に取り組まれています。全学年で100名以上の履修者がいる中、今回 は有志による標準編成バンドで、フェスティバル部門に参加、3曲を演奏されました。

 

KMA金管バンド(指揮:露木 薫)

 国立音楽院の授業で金管バンドの勉強をした仲間たちのグループとの事で、32名で構成される英国スタイルのブラスバンド。トロンボーンが6人だったほかは、標準の編成で2曲を演奏されました。

 

国立音楽大学金管バンド(指揮:山本英助)

 国立音楽大学の学生と卒業生を中心に30名を超えるメンバーで編成されたブラスクワイエ。7月にフィンランドで演奏してこられたそうです。テナーホーンがフレンチホルンに置き換わったスタイルで、 2曲を演奏されました。


 フェスティバル部門においては、軽めの金管バンド楽曲がプログラムされ、それぞれのバンドが持ち味を出して演奏されました。コンテスト部門との対比として、エンターテイメント性のある演出も期待していたのですが、今回は3バンドとも音楽大学の学生による演奏で、かなり大人しい(優等生!)印象でした。ブラスバンドにおけるレパートリーは非常に幅広いので、今後フェスティバル部門においては、コンテストとは違った楽しめる演出も研究していただければと思います。

 イベント全体を通して感じたこととしては、出場団体が倍増したにもかかわらず各バンドの演奏レベルが確実に昨年よりかなり上がっているということでした。このイベントは、大げさに言えば「少子高齢化、生涯学習」というテーマを持って運営に当たられていて、学校教育の中での音楽やコンクールではなく、金管バンドであればどんな編成でも参加できるスタイルをとり、また小学校で金管バンドを経験したプレイヤーが大人になっても楽しめる地域のバンド創設を推奨しています。そのために指導者協会を立ち上げ、コンテストを開催するという二段構えを取られており、今回参加団体の演奏レベルが上がったということは、少しずつ、確実にこの思いが芽を出しかかっているのかな、と思います。

 また、ステージが狭く、リハーサル・ルームも取れなかったという状況下、ザブラスクルーズの運営スタッフが段取り良く采配されていたのを見て、スタッフの意気込みを頼もしく思うと共に、イベントの継続性を強く感じました。すでに2007年は11月23日の開催(調整中)が予定されており、さらに盛り上がることを期待しています!

(2006.12.09)

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