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アルス ノヴァ ウインドシンフォニー
第5回ファミリーコンサート

◎「弱」のサウンドをクオリティー高く演奏する
アルス・ノヴァのアンサンブルに大感激!

 冬の訪れを待つ11月最後の日曜日に、蕨市民会館大ホールにおいて開催されました「アルスノヴァウインドシンフォニー(以下ANWS)第5回ファミリーコンサート」に行ってまいりました。今回のプログラムは、春の定期演奏会とは一味違うプログラミングで構成され、指揮者で音楽監督の井山英之氏のフリューゲルホルンのソロも用意され、聴き応え十分なラインナップでした。
 演奏会は2部構成で行われ、曲目ごとに井山氏がトークをしながら演奏会は進められていきました。それでは早速、演奏会にふれてみたいと思います。

 第1部最初の曲は、P.スパーク作曲《オリエント急行》です。
 1883年に誕生したオリエント急行は、パリ〜イスタンブールを5日間を結んだ超豪華列車です。トロンボーンとホルンの華やかなサウンドから始まり、フリューゲルホルン・オーボエ・サックス等のメロディーを伴ったサウンドが、列車の車窓の先に広がるそれぞれの情景を表現しており、楽しい列車の旅と今日の演奏会という楽しい旅とを重複連想させる、ANWSの優雅で素敵な演奏で幕があがりました。

 2曲目はアイルランド民謡《ロンドンデリーの歌》です。
「戦いに出て行く息子の後姿を見送りながら、ひとり歌う母親の愛情」を表した、哀愁を帯びたメロディーと雰囲気を持つ作品です。心地よい緊張感を保ちつつ、しっとりと歌い上げており、特に中低音域群のハーモニーに木管・フルート・ソロとサックスの掛け合いが良い響きを奏でていて、とても良かったと思います。

 3曲目はバンドの演奏はちょっとお休みして『ショート ショート アンサンブル』。まずは吹奏楽で使われている楽器を紹介していくコーナーです。
 メンバーはいったん舞台袖に待機し、井山氏の紹介の後、トップバッターのフルートから「木管→金管→打楽器」の順に各楽器のメンバーが舞台に登場し、それぞれ短い作品を演奏して、会場のお客様に楽器の名前と音色を覚えていただこうという企画でした。各楽器が取り上げるアンサンブル作品は耳なじみの作品ばかりでしたので、会場のお客様はよりわかりやすかったのではないかと思います。

 第1部最後の作品は、E.エルガー作曲《行進曲「威風堂々」第1番》です。
 イギリス第2の国歌とも言われている部分を中間部にもつこの作品は、著作権が切れるのを待っていたかのように、TVやCM、演奏会で取り上げられるようになりました。エルガーの代表的な作品の1つで、全5曲の中で最も有名で演奏されている作品です。私の好きな作品の1つですが、力強いサウンドと親しみやすいメロディーを正にタイトルの通り堂々と演奏されており、第1部の終わりを飾るに相応しい作品と演奏でした。


 休憩を挟んで第2部最初の作品は、J.ウィリアムス作曲《『スターウォーズ・トリロジー』より「帝国のマーチ」》です。
 映画「スターウォーズ・シリーズ」といえば、世界的に熱狂的なファンをもつ作品ですね。その映画のサウンド・トラックより、今回演奏された「帝国のマーチ」はTVなどでよく使用され、たとえ映画の内容を知らなかったとしても、聴けば「あっ、あれか!」と思うインパクトの強い作品だと思います。第1部最後の《威風堂々》の力強さを引き続き保ちつつ、さらに重々しい金管群のメロディーが邪悪な感じを表現していて、とてもおどろおどろしい感じが出ていて、とても良い演奏でした。

 2曲目は《ディズニー・メドレーIII》です。
 今回のメドレーは、『ピノキオ』より「星に願いを」、『バンビ』より「4月の雨」、『ピーターパン』より「右から2番目の星」、『わんわん物語』より「ベラ・ノッテ」、『眠れる森の美女』より「いつか夢で」、『くまのプーさん』より「くまのプーさん」、『メリー・ポピンズ』より「お砂糖ひとさじで」という選曲になってました。サックスやユーフォニアムのソロやセクションごとにスタンド・プレイありと、思わず踊りだしたくなるメドレーでした。
 客席のお子さんもとても楽しそうでしたし、何より団員の皆さんもとても楽しそうに演奏していました。

 3曲目はB.バカラック作曲《アルフィー》です。
 この曲は1966年製作のイギリス映画『アルフィー』のテーマ曲をして作曲されました。1996年に放送されたTVドラマ『協奏曲』でも使われていたそうです。今回は、指揮者の井山氏がフリューゲルホルンのソロを演奏しました。日本で唯一のバストランペット奏者としても知られている井山氏のフリューゲルホルンの演奏は、やわらかくそして美しい音色と、メロディーを甘く艶っぽい歌いあげ、客席を魅了していました。

 4曲目はJ.コスマ作曲《枯葉》です。
 昨年惜しまれつつ亡くなられたA.リードの編曲で、同氏の追悼の意も込めて演奏されました。秋から冬へと移り変わるこの季節に相応しい作品で、もの悲しい雰囲気ながら重厚なサウンドをもった素敵なアレンジ作品です。団員の皆さん、一人ひとり、リードに対する様々な思いがあるかと思いますが、たくさんの素晴らしい作品を残し、吹奏楽界に偉大な功績を残された同氏の偉業を称え、そして、哀悼の意を込めて演奏されていました。改めまして謹んでお悔やみ申し上げます。

 演奏会のトリを飾る作品は、R.ホワイティング作曲《ハリウッド万歳》です。
 ファミリー・コンサートのトリを飾るこの作品は、『世界まる見え!テレビ特捜部』のテーマ曲としておなじみですが、元は1983年製作のアメリカ映画『聖林(ハリウッド)ホテル』のために書かれました。
 冒頭部はオール・スタンディング・プレイで、華やかに演奏されました。パワフルなトランペットとトロンボーンのサウンドがとても格好よく、それが最後まで響き存在感を放っていたのがとても好印象の演奏でした。ファミリー・コンサートのトリを飾るに相応しい選曲と演奏でした。

 春の定期演奏会とは一味違う趣向を凝らした楽しい演奏会は、満席の会場からの沢山の笑顔と拍手に包まれて終演を迎えました。もちろんANWSの皆さんは客席の期待に応えるためにアンコールを2曲演奏し、演奏会の幕がおりました。


 シンフォニックなサウンドを持つANWS。楽器を演奏するにあたり、強弱の「強」を出すのは比較的簡単なことですが、「弱」のサウンドをクオリティー高く演奏するのはとても大変なことであります。ましてソロではなく吹奏楽という編成のアンサンブルではなおさらです。でも、それができるANWSは、このとても素晴らしい部分を生かして、これからも音色と響きを大切にしていって欲しいと思います。


■プログラム

第1部

・オリエント急行/P.スパーク
・ロンドンデリーの歌/アイルランド民謡(Arr. P.グレインジャー)
・ショート ショート アンサンブル
・行進曲「威風堂々」第1番/E.エルガー

第2部

・『スターウォーズ・トリロジー』より「帝国のマーチ」/J.ウィリアムス
  (Arr. D.ハンスバーガー)
・ディズニー・メドレーIII/(Arr.真島 俊夫)
・アルフィー/B.バカラック(Arr.真島 俊夫)
  ソロ:井山 英之(Flugelhorn)
・枯葉/J.コスマ(Arr. A.リード)
・ハリウッド万歳/R.ホワイティング(Arr.岩井 直溥)

アンコール

・ホワイトクリスマス
・ストリート・パフォーマーズ・マーチ/高橋 宏樹




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