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川越奏和奏友会吹奏楽団
第1回ファミリーコンサート

◎小串俊寿氏のサックスを最大限に生かしきった演奏が最高!
特に、天野氏の《コンチェルティーノ》は圧巻で、凄いの一言でした

 2005年のクリスマスの日に、川越市市民会館にて開催された「川越奏和奏友会吹奏楽団 第1回ファミリーコンサート」に行って参りました。今回、奏和にとって初めての試みとして開催されたファミリー・コンサートですが、ゲストにハッピーサックス奏者の小串俊寿氏を迎えるなど、プログラムはとても盛りだくさんで、他ではなかなか聴くことのできない演奏会でした。

 まずは演奏会の模様をお伝えする前に、川越奏和奏友会吹奏楽団についてご紹介したいと思います。1977年12月に発足され、「吹奏楽の活動を通して団員相互の親睦を深め、演奏技術の向上に努めるとともに、地域文化の発展に寄与する」ことを目的とし、広く市民の参加できるアマチュア吹奏楽団として活動を開始されました。
 1990年の第12回定期演奏会において、現音楽監督・常任指揮者である佐藤正人氏(尚美学園講師)を客演指揮に迎えたのをきっかけに、1992年より本格的に指導を受けています。以降、10回連続西関東吹奏楽コンクールに埼玉県代表として出場、全日本吹奏楽コンクール連続7回出場、5回の「金賞」と2回の「銀賞」を受賞する素晴らしいバンドです。定期演奏会をはじめ依頼演奏や上野の森バンドパーク・21世紀の吹奏楽〜響宴への参加など、幅広い活動をされています。


 演奏会は2部構成で、第1部「追悼アルフレッド・リード特集」・第2部「小串俊寿ハッピー・クリスマス・ステージ」となっており、司会は第2部でも語りとして出演されるナレーターの水野潤子さんによって進められました。それでは演奏会にふれてみたいと思います。

 第1部の「追悼アルフレッド・リード特集」

 最初の曲は《アルメニアンダンス・パート1》です。この作品はイリノイ大学バンドの依頼によって四楽章の組曲として作曲され、その一楽章にあたります。このパート1には5つのアルメニア民謡がつかわれており、冒頭は“あんずの木”、速くなってからシンコページョンのリズムにかわるところから“やまうずらの歌”、5/8拍子にかわったところから“ホイ、私のナザン”、ゆっくりとした3/4拍子の“アラギアズ”、最後2/4拍子“ゆけ、ゆけ”と移り変わりながらエキサイティングに終わります。力強いサウンドと華やかさ、特に、トロンボーンの伸びやかな音色がとても心地よく、1曲目から難しい作品を持ってきても、しっかりオープニングを飾れる演奏をされるのは、さすがだと思いました。

 2曲目は《アルメニアンダンス・パート2》です。

 この作品は、組曲の残りの楽章が該当します。ちなみに一楽章と出版社が違うため、二楽章から数えるのではなく、改めて一楽章から数えます。
 一楽章は、民謡“農民の訴え”をもとに作曲され、農民が山に向かって“風よ吹け、そして私の悩みを吹き飛ばしておくれ”と祈る歌です。
 コーラングレーの素朴なメロディーのソロは心に訴えるとても素晴らしいソロでした。全体的にゆったりとした3/4拍子は、とてももの悲しいく、うまくもの悲しく歌い上げ演奏されていました。

 二楽章はゴミダスの混声合唱とソプラノの独唱の楽譜から編曲されたもので、結婚祝う曲で、全体を6/8拍子で金管のリズムが曲を支配しています。中間部のSaxは素晴らしい演奏でした。
 三楽章は、農民の労働の歌をもとに作曲され、序曲の部分は西暦前にさかのぼる古い曲だそうです。トランペットのファンファーレから始まります。中間部の5/8拍子はゆったり演奏されていて、とても心地よかったです。
 全体的に打楽器がとても重要で、決め所で決まれば、さらに引き締まった演奏になると思います。
 ラストに向かってパワーが衰えることなく最後まで演奏されていたのは素晴らしいと思います。佐藤氏の情熱的なタクトとサウンドが聴衆を魅了していました。

 第1部最後の曲は《ロシアのクリスマス音楽》です。

 この作品は、コロラド州デンバーでの「アメリカとロシアの夕べ」のために委嘱されました。ロシア系教会のコラール集をもとに、その中のいくつかの主題でできています。曲は“子供のキャロル”“交誦歌”“村の歌”“教会の合唱”と続いてます。レの音を基本として派生していき、その後、ソとレの重音のオルガンポイントの上に壮大に展開していき、やがて低音群の安定したハーモニーの中から、コーラングレーのソロが悲しげにそして、とても素敵な音色で奏でられていました。
 コーダに向かう前に一度大きな盛り上がりをみせ、すぐに“PP”に落とし、そしてもう一度“ff”(tutti)になり、壮大にフィナーレを迎えます。金管・木管・打楽器それぞれのセクションに見せ場があり、技術的にも体力的にも精神的にも大変な曲でしたが、指揮者の情熱と団員の演奏に対する思いとが上手くかみ合って、とても素晴らしい演奏でした。

 休憩を挟んで第2部は「小串俊寿ハッピー・クリスマス・ステージ」です。

 まず最初の曲は、薫くみこ作/飯島俊成作曲《音楽と朗読で綴るウィンドバンドストーリー あのとき すきになったよ》です。

 この作品は、2005年に甲府ソノリテ吹奏楽団第20回定期演奏会委嘱作品として書かれた、語りと吹奏楽のための作品です。語りのテキストは同名の絵本、薫くみこさんの作品です。

「主人公である<わたし>とおしっこをもらしてばかりいる<しっこさん(本名きくちまりか)>の心と心が触れ合っていく様子を描いたものですが、単にいわゆる「いじめ」が書かれているだけでなく、疎外する側と疎外される側の孤独感や、いわれなき差別と被差別、あるいは偏見、そしてきっと誰もがもっている筈の暖かさや思いやりを描いているテキストだと思う」と、作曲者はプログラムノートで述べています。

作品は語りを中心に進んで行き、音楽が文と場面を盛り上げるエッセンスになっています。お話しも難しくなく、かつ音楽もとてもマッチしていて親しみやすい作品です。司会の水野さんの語りも、文章の雰囲気をしっかりと表現していて、かつ音楽の持つ雰囲気と声質がよく合っていて、とても楽しく聴けました。

 2曲目の前に、楽器紹介コーナーがあり、クイズを通じて楽器を覚えていく企画でした。小・中学生を中心に質問していき、クイズを早く答えられたらCDなどのプレゼントがあり、楽しく楽器を学んでいくことができました。
 
 さて2曲目は、天野正道作曲《アルトサックスとバンドのための「コンチェルティーノ」》です。
 この曲は、秋田県・御所野学院(中学校・高等学校)が小串俊寿氏をゲストとして迎え共演する際に委嘱されました。全体的にポップスの雰囲気をもつ調性ですが、場面は大きく分けて前半と後半の2部に分けられます。
 前半は「急−緩−急−カデンツ」、間奏を挟んで後半は「ノリの良いポップス−小コーダ−コーダ」という構成でした。

 小串氏のサックスは、高音域の繊細な音や細かく早いパッセージを、客席を圧倒する素晴らしいテクニックで演奏されていました。また途中のソプラノ・サックスとソロサックスの掛け合いがとても格好よかったです!
 楽曲もまさに小串氏にぴったりで、特にソロ・サックスはとても難易度が高い作品ですが、それこそが小串氏のサックスを最大限に生かしていると思いました。
 また、天野作品を指揮する佐藤氏は特に生き生きとしていて、作品・指揮者・ソリスト・バンドのアンサンブルは本当に素晴らしく、聴いていてとてもハッピーになりました!

 3曲目は《ナポリ民謡セレクション》です。
 ナポリ民謡の中でも最も有名なこの作品は、明るい太陽と青い空の美しさ・輝か
しさを恋人に例えた“オー・ソレ・ミオ”、恋人への想いを切々と歌う“帰れソレントへ”、ベスビオ火山に登山電車が開通した際、CMソングとして歌った“フニクリ・フニクラ”の3曲を、後藤洋氏がアレンジした作品です。
 力強いサウンドを保ちながら、小串氏のサックスがそれぞれのメロディーを時にはしっとりと、時には楽しく歌い上げていました。

 4曲目は《ラテン・フィエスタ》です。
 この作品は“闘牛士のマンボ”、タンゴの古典的名作“エル・チョクロ”“エル・クンバンチェロ”の3曲を、鈴木英史氏がアレンジした作品です。
 ラテンの賑やかかつ情熱的な雰囲気とサウンドを、小串氏のサックスとともに激しく演奏されていました。

 最後の作品は、M.ハムリッシュ作曲《追憶のテーマ》です。
 スロー・バラードのこの作品は、甘く切ない雰囲気を持った作品です。その雰囲気を、小串氏の艶やかでしっとりとした見事なサックスで、客席を魅了していました。
 今回、小串氏が演奏した作品は、4曲ともそれぞれ雰囲気の違う作品でしたが、それぞれの作品が持つ色をとても大切にして演奏されていました。特に天野氏の《コンチェルティーノ》は圧巻で凄いの一言でした! 会場にいらしたお客さんも、きっと「ハッピー・クリスマス」になったに違いありません!

 客席からのたくさんの拍手に応じて、アンコール2曲が演奏され、演奏会は幕を閉じました。

 今回初のファミリー・コンサートでしたが、定期演奏会とは違った雰囲気を持った演奏会で、とてもよかったと思います。今回のプログラムのように、様々なスタイルの作品にも力をいれ演奏活動されている川越奏和奏友会吹奏楽団。邦人作品をはじめオリジナルからアレンジ作品まで、幅広くそして意欲的に取り組まれており、なおかつ、実力も兼ね備えた素晴らしいバンドだと思います。
 今後も、音楽監督で常任指揮者の佐藤正人氏の下で、指導を受け、更なる飛躍されることを楽しみにしております。これからも川越奏和ならではの演奏活動に注目です!

■川越奏和奏友会吹奏楽団HP
http://sound.jp/kswe/

■川越奏和奏友会吹奏楽団
 第30回定期演奏会

【日時】5月21日(日)14:00開演
【会場】所沢市民文化センターミューズ アークホール
【プログラム】
・2006年度吹奏楽コンクール課題曲より
・Man on the Moon
 〜Difficulty So,It Challengers byJ.F.K:清水大輔
・交響組曲“GR”(新版)「地球が静止する日」:天野正道、他


■プログラム

第1部/追悼 アルフレッド・リード特集
・アルメニアンダンス パートI
・アルメニアンダンス パートII
  I.農民の訴え
  II.結婚の舞曲
 III.ロリからの歌
・ロシアのクリスマス音楽

第2部/小串俊寿ハッピー・クリスマス・ステージ

・音楽と朗読で綴る ウィンドバンドストーリー あのとき すきになったよ/飯島 俊成
・アルトサックスとバンドのための「コンチェルティーノ」/天野 正道
・ナポリ民謡セレクション/Arr.後藤 洋
  オー・ソレ・ミオ〜帰れソレントへ〜フニクリ・フニクラ
・ラテン・フィエスタ/Arr.鈴木 英史
  闘牛士のマンボ〜エル・チョクロ〜エル・クンバンチェロ
・追憶のテーマ/M.Hamlish(Arr.K.Urata)

アンコール
・吹奏楽のための「第一組曲」より ギャロップ/A.リード
・クリスマスメドレー/Arr.鈴木 英史




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