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川和みやび合奏団 
みやびな刻(とき)2006

◎同じ高校を卒業し、同じく音楽の道へと進んだ仲間達が集結!
奏者の「楽しさ」が伝わってくる心地よい演奏会

 2月25日、2月最後の土曜日に大和田雅洋氏が音楽監督を務める「川和みやび合奏団 みやびな刻2006」を聴きに行った。場所は横浜市営地下鉄「センター南」駅近くの横浜市都筑公会堂。大和田氏が指導していた川和高校OBによる演奏会で、団員のほとんどが音大の出身者で構成されている。

第1部〜個々の奏者の確かさ〜
 演奏会第1曲目はW.A.モーツァルト作曲「歌劇《フィガロの結婚》」だ。団員のほとんどが音大の出身者であり、個々の能力が高い奏者が多い、ということを1曲目から実感させてくれる。
  金管五重奏という少ない人数での演奏で、軽く、でも軽すぎて印象に残らないなんてことがない、微妙なツボを押さえた気持ちよい演奏を聞かせてくれた。
当たり前のことだけど、アンサンブルは個々の奏者の集合体で、個々の能力が高い奏者が集まれば、これまた当たり前のことで上手い演奏が生まれるものらしい。

 2曲目のクラリネット四重奏によるH.トマジ作曲の「3つのディヴォルメント」では、全員一緒に頭から吹く個所や、同じ音形のメロディーを吹くときなど、全員が同じ動きをする瞬間の快感を堪能させてくれ、3曲目の木管五重奏によるJ.イベール作曲「3つの小品」では、木管五重奏の柔らかい響きと、土曜日の午後のちょっとまったりとした時間にあいまって、とてもリラックスさせてくれた。

 第1部最後のA.ピアソラ作曲「Chin-Chin(乾杯)」は、S.Sax(大和田氏)、S.&A.Sax、T.Sax、Cl、B.Cl、Cbという変則的な編成で演奏された。ドライブ感がある主部→ゆったりとした中間部→主部の再現→ソロ部という構成で、身体が前のめりになるようなドライブ感が堪らない曲だ。中間部と最後のソロ部は大和田氏の独壇場、とにかく素晴らしい吹きっぷりなのだが、全体的にもっともっと前のりに曲が突き進んでいく、危うさみたいなものが欲しかった。


第2部〜親密な空気の心地よさ〜
 第2部は、20人の小編成バンドで指揮者を置かずに吹奏楽を行う、「室内吹奏楽」へと趣向が変わる。ビックバンドを想像する人もいるかもしれないが、聞こえてくるサウンドはあくまでも吹奏楽なのである。

  第1曲目の松尾善雄作曲「そよ風のマーチ」から、これぞ吹奏楽サウンドだ!と隣の席の人に言いたくなるぐらい、力強く軽快でノリの良い演奏に仕上がっている。
 
第2曲目のJ.スウェアリンジェン作曲「ロマネスク」でも、20人という人数を感じさせない演奏を聞かせてくれる。1つのパートに1もしくは2人しかいない編成だと、「ロマネスク」ようにゆったりと聞かせる曲は、奏者にとってとても怖いことではないか。1人が大きな失敗をするだけで、曲に必要な音がまるまる1つなくなってしまう。指揮者を置かない「室内吹奏楽」の難しさ、そしてその難しさを簡単そうに克服してしまう、個々の奏者の巧さを「ロマネスク」では見せつけてくれた。

 第3曲目は、大和田氏がソリストとして参加したJ.バーンズ作曲「アリオーソとプレスト」だ。この曲の演奏を一言でいうと、「大和田氏にバンザイ!」ということになる。抜群に巧いサックスソロ、特にバンドの音が消え、大和田氏のサックスのみになるカデンツァは鳥肌ものであった。

 演奏会最後は、川和高校出身の作曲家である榎本三和子によって、この演奏会のために作曲された「管楽合奏のための"Carnival"」、ちなみに当然世界初演の曲である。
 大和田氏がバンドの奏者として参加するこの曲は、シンプルでとにかく楽しい。全体での演奏、ソロ、また全体という曲の流れからは、同じ高校の出身者で演奏している親密な空気が伝わってくる。このバンドの人たちは、同じ高校の仲間で演奏できる楽しさを感じているだろうな、という感覚を聞いている側は感じることができる。個々の奏者の能力が高いからこそできる演奏なのだが、奏者が楽しんでいる演奏は聞いていて心地良いものだ。

アンコール〜誰が何と言おうと青春の曲は「宝島」〜
 アンコール1曲目は「ゆかいな仲間の行進曲」(坂本智作曲)。うん、愉快な仲間が行進しているな、と思わず頷いてしまう演奏であった。2曲目は、中高生で吹奏楽をやったことがある人ならほとんどが知っている、あの青春の曲「宝島」(和泉宏隆作曲/真島俊夫編曲)だ。 大和田氏が素晴らしいサックスソロを披露したのは言うまでもないことだが、トランペットとトロンボーンのソリがまた素晴らしかった。
 ソリが始まる前に、一瞬トランペットとチューバの奏者が目を合わせた(もしくはそう見えた)。この瞬間に気づいたあなたがチューバ奏者ならば、全国のチューバ奏者が一度は挑戦しようとしてだいたい惨敗に終る、あの宝島のソリをチューバで聞けるのでは!? という期待感が高まるはずだ。そして、期待に違わずチューバが加わったトランペット・トロンボーンのソリが目の前で展開された。しかも、むちゃくちゃ上手いのである。本プロだけでも大満足であったが、最後の最後に素晴らしいおまけがついた演奏会でありました。


■プログラム

第1部
・ 歌劇《フィガロの結婚》序曲 K.492
 / W.Aモーツァルト作曲/みやびブラスクインテット編曲

・3つのディヴォルメント/H.トマジ作曲
  I 誘い  II 仮面舞踏会(小さなジプシー)  III ロンド

・3つの小品/J.イベール作曲
  I Allegro II Andante III Assez lent-allegretto scherzando-vivo

・Chin-Chin(乾杯)/A.ピアソラ作曲/三宅裕人編曲

第2部
・そよ風のマーチ/松尾善雄作曲

・ロマネスク/J.スウェアリンジェン作曲

・アリオーソとプレスト 作品108/J.バーンズ作曲

・管楽合奏のための“Carnival”(委嘱作品・世界初演)
 /榎本三和子作曲

アンコール
・ゆかいな仲間の行進曲/ 坂本智作曲

・宝島 /和泉宏隆作曲/真島俊夫編曲

 

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