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尚美ウインドオーケストラ
第30回定期演奏会

◎この時期に、課題曲の「エッセンス」(鈴木氏)を聞けたことは、
  選曲時の大きな一助になっただろう・・・

 2月8日、尚美ウインドオーケストラの定期演奏会30周年という記念すべき演奏会へと足を運んだ。読者の皆も知っての通り、「尚美」は日本でもいち早く吹奏楽の専攻科を設置し、多くの奏者、吹奏楽指導者たちを世に送り出した東京ミュージック&メディアアーツ尚美のこと。ウインドオーケストラは、その管弦打楽器学科の学生からオーディションで選ばれた精鋭による楽団だ。

 配布されたパンフレットには、30年に渡る活動の歴史が掲載されている。日本はもとより海外(アメリカ、韓国など)へも活動の場を幅を広げ続け、第一線級の演奏をし続けるということの重みに敬服する。学校である以上、毎年新陳代謝が行われるにも関わらずに、である。

 前半は名曲ぞろいのコンサートだ。交響的断章(V.ネリベル)、アルメニアンダンス・パートT(A.リード)など、知ってる曲が並ぶので、観衆も大きな拍手を贈っていた。特に独奏のゲスト外囿祥一郎氏の妙技は、オーソドックスなソロピース「ヴェニスの謝肉祭」を新鮮に聴かせるものだった。

 後半は今年の課題曲クリニック。そう言えば、駅から会場に向かう道筋でも多くの学生が目についた。おそらく彼らも今年の夏を共に過ごす曲を聴きにきたのだろう。むしろこちらがお目当ての人も多いのでは・・・。
 鈴木英史氏による同じ作曲家の立場からの視点と、加養、小沢の両指揮者によるアドヴァイスを聞けた。それぞれ1曲にかける時間がやや短かかったのは惜しまれるが、課題曲も決まらない今のこの時期に、曲の「エッセンス」(鈴木氏)を聴けたことは、選ぶ時の大きな一助になるのではなかろうか。
 本日の話中で、私が一番共感をしたのは、「どうやって演奏するのかよりも、どう聴こえているかを考えながら」という加養氏の言葉。

 クリニックの詳細はこの場ではお伝えできません。それはその場に足を運んだ人間だけが聴くことのできる「生」の情報だから。今後このようなクリニックは、夏までに全国各地で各吹奏楽連盟などが主導して開催されるでしょう。自分の演奏・練習に一所懸命になるのも良いが、こういう場に足を運び、今自分達がやっている曲を客観的に知る機会を作って、理解を深めつつ取り組んでいってもらいたい。

 さて、この日は全体的に「さすが」というべき演奏をしていた。
 そこで少々気になる事も。奏者一本一本がしっかり演奏しているし、なかには特筆してよいくらいのメンバーも何人か発見できた。しかし、それだけに逆にバンドとしてのバランスを崩しかねない部分も垣間見えたのは少々残念だった。
 またこれは個人の好みの部分もあろうが、ミドルレンジで落ちついた良い演奏と見る向きもあるが、テンションの変化にややも乏しく、音楽の持つドライブ感などにも影響を及ぼしている気がした。
 私としては会場を突き抜けるようなパンチ力や、座席から背を離し身を乗り出さないと聴こえない(気がする)ようなピアニッシモとかが感じたかった気もする。

 さらなる発展の可能性を持つ、これからの尚美ウインドオーケストラに期待をしている1人の吹奏楽愛好者の戯言として、一つ苦言を呈したことをお許しいただきたい。


■プログラム

第1部 コンサート〜ユーフォニアム奏者外囿祥一郎氏を迎えて〜
 指揮 加養浩幸

 ○交響的断章(V.ネリベル)
 ○ヴェニスの謝肉祭(J.B.アーバン)
  ユーフォニアム独奏:外囿祥一郎
 指揮 小澤俊朗
 ○アルメニアンダンス・パートT(A.リード)
 ○組曲「惑星」より 木星(G.ホルスト/建部知弘)

第2部 吹奏楽コンクール課題曲2006クリニック (解説)鈴木英史
 指揮 加養浩幸

 ○課題曲T 架空のでんせつのための前奏曲(山内雅弘)
 ○課題曲U 吹奏楽のための一章(堀内俊男)
 指揮 小澤俊朗
 ○課題曲V パルセイション(木下牧子)
 ○課題曲W 海へ…吹奏楽の為に(三澤 慶)

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