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立正大学吹奏楽部
第40回定期演奏会

日時:2005年11月23日(水・祝)17:30〜
場所:川口リリア メインホール
レポート:織茂 学(ピアニスト)
http://www.k3.dion.ne.jp/~m-orimo/
◎シンフォニックあり、マーチングあり、
さらにはOB・OGとの合同バンドも飛び出した記念演奏会

 秋も深まり、山々が紅いマントを羽織るこの季節。11月23日勤労感謝の日に、川口リリアホールにおいて開催されました「立正大学吹奏楽部 第40回定期演奏会」に行って参りました。今回は40回の記念演奏会ということでOB・OGとの合同バンドを結成し演奏会の一部を担うという、記念の企画が組まれていました。

 まずは演奏会の模様をお伝えする前に、立正大学吹奏楽部についてご紹介したいと思います。1961年に創部され、44年の歴史をもっております。部員の皆さんは、部のモットーである「和と前進」を胸に活動を続けており、部員一同が「心から心へ」伝わる音楽を目指し、邁進していっています。音楽監督に尚美学園講 師・川越奏和奏友会吹奏楽団音楽監督兼常任指揮者の佐藤正人氏を迎え、東京都・大崎と埼玉・熊谷の両キャンパスにて練習されています。吹奏楽コンクール出場や定期演奏会に依頼演奏など、吹奏楽とマーチングの両方を中心に活動されています。

 演奏会は3部構成で、第1部「OB&OG合同バンド」、第2部「ステージマーチング」、第3部「シンフォニックステージ」となっており、司会は立正大学学生放送会の乙部奈津美さんにより進められました。それでは演奏会にふれてみたいと思います。

 第1部の「OB & OG 合同ステージ」最初の曲は、天野正道作曲《Thecelebration overture for rising 〜 flourish〜》です。
 立正大学吹奏楽部名誉顧問である福田正紀氏が退官されるのを記念して、作曲家・天野正道氏に委嘱された作品で、今回は第40回の記念の演奏会ということで再演されました。 曲中に「RISSHO」「FUKUDA」の文字による音列が当てはめられています。トランペットの華やかなファンファーレから始まり、ノリの良いリズムの部分と美しくしっとりしたメロディーの部分とのコントラストの美しさを感じ取ったあと、途中木管楽器だけの室内楽的な部分がとても気品あふれる演奏でした。最後に向けて再びトランペットとトロンボーンのバンダのファンファーレが華やかに演奏されました。第40回の記念演奏会のオープニング飾るに相応しい、そして何よりも「OB・OG合同バンド」で演奏されるにとても相応しい作品と演奏でした。

 2曲目は、C.オルフ作曲《世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より》です。
 この作品は1936年に作曲された「オルフ3部作」の1つで、今回は全曲の中から何曲か抜粋し、合唱なしの吹奏楽版で演奏されました。この作品は全体的に華やかな印象で、特に金管楽器の体力的な問題があると思いますが、OB・OG・現役生が一体となり、パワーが衰えることなく最後まで演奏されていたのは素晴らしいと思います。
 そんな中、金管中心のサウンドの中から可愛らしく顔を覗かせるFl.のソロがとても美しかったのも印象的でした。
 この作品を表現するに十分の迫力と力強いサウンドと、元々カンタータなので本来歌詞がついているメロディーの部分も、歌がなくても楽器だけでしっとりと歌い上げており、とても表情豊かに演奏されていました。佐藤氏の情熱的なタクトと、それに導かれてに出てくるサウンドが、視覚的にも聴覚的にも聴衆を魅了していました。

 休憩を挟んで第2部は「マーチング ステージ ショー」です。

 今回のテーマは『「和」〜戦国絵巻〜』ということで、日本の歴史における武士の時代をマーチングで表現していました。実は私はマーチング経験者(Esコルネット)なのですが、ドリルを見るたびにマーチングと再び接点を持ち、色々な形でコラボレーションできたらなぁといつも思ってしまいます。それはさておき、部員のみなさんのきびきびとしたドリル(動き)と、戦国時代を生き残る厳しさが相俟って、より一層戦国時代という常時緊張感に置かれていた時代を表現されており、とても引き締まった演技・舞台になっており、とても素晴らしかったです。
 また、川口リリアの舞台の奥行きが良く生かされ、ダイナミックなステージドリルが展開されていました。

 休憩を挟んで最後第3部は「シンフォニックステージ」です。

 まず最初の曲は、八木澤教司作曲《吹奏楽のための詩曲「はてしなき大空への賛歌」》です。この作品は2003年に千葉県市川市立新浜小学校吹奏楽部の委嘱作品として作曲されました。
「空は平和の象徴でなくてはいけません。でも子供たちが空を見上げても、戦闘機が飛んでいる国もあるのですね。とても悲しいことです…。争いごとがなくなれば…。世界中の子供たちに大空に夢を持ち続けてもらいたい。はてしなき大空に平和の祈りを込めて…」と同校顧問の田川伸一郎先生の思いが全面的に曲想に反映されておりだけに、とても素晴らしい作品となっております。ちなみにこの作品の一年前に作曲された同校の委嘱作品《吹奏楽のための音詩「輝きの海へ」》は対になる作品です。
 今回は、学生指揮者の遠山智史さん(社会福祉学科・4年)の指揮により演奏されました。若々しい演奏がとても好印象で、来春4年生は大学を卒業し、素晴らしい未来が待っている社会という名の大空へはばたいて行く様子を祝福しているかにも感じました。

 2曲目は、A.リード作曲《パッサカリア》です。
 シャコンヌと密接な関係をもつバロック音楽の一形式です。ともに遅めの3拍子で、この形式の特徴は「固執低音」と呼ばれる短い旋律が何回も反復する精巧な変奏です。パッサカリアという呼称は、スペイン語の「パッサー(passar)=歩くこと」と「カレ(calle)=踊り」に由来し「路上の踊り」を意味しており、実際18世紀まで踊られていました。
 作品は、フレーズの持続力を求めている様で、息つく暇がないくらいに引き込まれて行ってしまう作品です。更に、佐藤氏の見事な指揮とバンドが一体になり、重厚でかつ緻密なサウンドが、作品の技術的な素晴らしさをより一層引き出していて、「一体どうなっているのだろう?」と言う「ゾクゾク・わくわく感」が私を支配していきました。最後の方のホルンがとてもかっこいい動き・演奏でした!

 最後の作品は、矢代秋雄作曲・天野正道編曲《「交響曲」より第四楽章》です。
 この作品は日本フィル・シリーズの第1作目であり、楽譜には「日本フィルのために」と献辞され、1958年6月9日の日本フィル第9回の定期演奏会・渡辺時雄氏の指揮にて初演されました。
 天野正道氏の編曲によるこの作品の吹奏楽版を、2005年の夏の吹奏楽コンクールにても演奏されており、この難曲を一所懸命に練習し、完全に自分たちのものにした素晴らしい演奏でした。途中、フルート+ファゴット+コントラバスによるメロディーラインにクラリネットの和音がとても不思議な感じをうけ、それとは相対して緊張感につつまれながら粛々と曲か進んでいくコントラストが、私の耳と目は釘付けになりました。
 元々の作品の芸術性の高さと、それを更に引き出している天野氏のアレンジの素晴らしさは、オーケストレーションの重要性を改めて考えさせられる作品と演奏でした。精神的にも体力的にも集中力をもの凄く必要としていますが、大学生の演奏とは思えない芸術的完成度の高い演奏には、ただただ脱帽です!第40回の記念演奏会を締めくくるにとても相応しい演奏でした。

 客席からの沢山の拍手に応じて、アンコール2曲が演奏されました。2曲目の「赤とんぼ」の時に流れる演奏会終了のアナウンスが、名残惜しさをより一層感じさせる演出のまま、幕を下ろしました。

 吹奏楽だけでなくマーチングにも力をいれ活動されている立正大学吹奏楽部。昨年私もゲストとして出演させて頂きましたが、邦人作曲家の委嘱作品をはじめオリジナルからアレンジ作品まで、幅広くそして意欲的に取り組まれており、若さあふれる素晴らしいバンドだと思います。今後も、音楽監督で日本トップのバンドディレクターである佐藤正人氏の下で指導を受け、そして練習を重ね、さらに飛躍されることを楽しみにしております。
 また、今回初の「OB & OG 合同バンド」という企画は、先輩・後輩と1つのステージを務めることで、交流を深め、そして改めて築き上げていき、今後の部活動への大きな支えとなってくれるに違いない、とても良い企画だと思います。

 これからの立正大学吹奏楽部のますますのご発展をお祈り致しますと共に、来年以降のさらなる演奏活動にも期待致します!

立正大学吹奏楽部HP http://hello.to/rissho/


■プログラム

第1部/OB & OG 合同ステージ

○The celebration overture for rising 〜 flourish〜/天野 正道
○世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」より/C.オルフ


第2部/マーチング ステージ ショー

○「和」〜戦国絵巻〜


第3部/シンフォニックステージ

○吹奏楽のための詩曲「はてしなき大空への賛歌」/八木澤 教司
○パッサカリア/A.リード
○「交響曲」より第四楽章/矢代 秋雄(Arr.天野 正道)

アンコール

○吹奏楽のための「第一組曲」より ギャロップ/A.リード
○赤とんぼ

 

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