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第15回WMC世界音楽コンクール2005
(前編)

日時:2005年7月7〜31日
場所:ケルクラーデ(オランダ)
レポート:広瀬勇人(作曲家)
 ベルギーとドイツの国境に近いオランダ南部の小さな街「ケルクラーデ」に、4年に1度、世界中から数多くの管楽器関係者が訪れます。今回私が参加したのは1日のみですが、大会要項やプログラムを参考に、第15回世界音楽コンクール2005について、前編・後編の2回に分けてレポートしたいと思います。
大会プログラム表紙

■世界音楽コンクールとは?

「世界音楽コンクール World Music Contest」は、半世紀以上の歴史を持つ国際コンクールとして、吹奏楽を含む管楽器業界ではとても重要なイベントの1つです。1951年の第1回開催以来、その内容も規模も様々な変遷を経て、現在では4年に1度、ケルクラーデで開催されています。

 このコンクールは大きく分けて、アマチュアによる各種アンサンブルのコンクールと、プロによる大小様々な演奏会の2つに分かれています。

 アマチュア団体のコンクールでは、吹奏楽、ブラスバンド、ファンファーレバンド(※注)、マーチングバンド、打楽器アンサンブル、そして指揮者の各部門のコンクールが開催されます。私達が耳にする「世界音楽コンクール」とは、この中の吹奏楽部門のコンクールを指す事が多い様です。

 プロによる演奏会では、オーケストラから吹奏楽、室内楽、ソロまで、一流の演奏家が世界各国から訪れます。今回、日本からは東京佼成ウィンドオーケストラ(指揮:ダグラス・ボストック)が招待され、7月25〜26日にそれぞれ別のプログラムで演奏会が行われました。

 当レポートでは、特にこのコンクールの「吹奏楽」「ブラスバンド」「ファンファーレバンド」の各部門を中心にレポートしたいと思います。

(※注:「ファンファーレバンド」とは、金管、打楽器とサックスによる40〜90人程度の管打楽器アンサンブルの事で、オランダ・ベルギーでは吹奏楽と並んでとても盛んな編成です。ヨーロッパでは、多くの吹奏楽作品がこの編成の為に編曲され、出版されています。)


■参加国23ヵ国、138団体

 吹奏楽、ブラスバンド、ファンファーレバンド部門のコンクールには、今回も世界各国から多くの団体が参加しました。
 このコンクールは、各地域の予選を勝ち抜いた団体が出場する、というものではなく、参加申込みした団体は基本的に全て参加できる為、参加する団体の地域やレベルに多少ばらつきが出てきます。

 上記3部門のコンクールに参加した国とその団体数は、以下の通りとなりました。

筆者、会場前で

(国名) (参加団体数)
1. オランダ   42
2. ベルギー   25
3. ドイツ    13
4. スペイン   11
5. 英国      9
6. イタリア    7
7. シンガポール  6
8. オーストリア  4

 2団体:中国、フランス、ノルウェー、スロベニア、スウェーデン、スイス
1団体:クロアチア、デンマーク、エストニア、ハンガリー、リトアニア、ルクセンブルグ、ニュージーランド、日本、米国(合計23カ国138団体)

大人数の団体が海外遠征をするのはそれだけでも大変な事なので、参加団体はやはり開催国のオランダとその近隣の西欧諸国が多くなります。どんなに実力を持ったバンドでも、オランダまでの移動距離や遠征資金の調達、スケジュール調整など、実務面での難問をクリアしないと、参加はなかなか難しい事でしょう。

それでも東欧、北欧、アジアその他から遥々と参加してくる団体がこれだけ多いのですから驚きです。(マーチングバンド部門を含めると、参加国の数は更さらに多くなります。)

以上の事から、参加団体全てが必ずしも各々の国のトップバンドとは限りませんが、国際大会に出場するだけの実力と運営能力?を持ったバンドである事は確かでしょう。


■コンクールと課題曲

コンクールは、吹奏楽(H)、ブラスバンド(B)、ファンファーレバンド(F)という3種類の管楽器アンサンブル毎に行われます。この中でさらに、チャンピオンシップ(CA=最上級、Gr.6相当)を頂点に、1=上級(Gr.5)、2=中級(Gr.4)、3=初級(Gr.3)というように、演奏レベルによりディビジョンが分かれており、それぞれ別々に審査されます。

各部門のディビジョン1から3までは、それぞれ課題曲1曲と自由曲1曲の合計2曲の演奏を審査される一方、チャンピオンシップでは、90分(ブラスバンドは75分)の演奏会形式のプログラムで総合的に審査されます。

参加団体は、申し込む際にどのディビジョンで演奏するかを選択し、自由曲もそのディビジョンに合った難易度の曲を選択する事が義務付けられています(例外としてブラスバンド部門のチャンピオンシップは、大会本部から推薦された団体のみ参加する事ができます)。

以下は各ディビジョンの演奏制限時間、参加団体数、及び課題曲です。

●吹奏楽部門(H : Harmony Band)
HCA (90分)14団体、「ペンタトニック・テーマによる変奏曲」
          ロブ・ホールハイス
H1 (60分)25団体、「ダンサリーズ」ケネス・ヘスケス
H2 (50分)19団体、「日本の印象」ジェームス・バーンズ
H3 (40分)16団体、「エリコ」 ベルト・アッペルモント

●ブラスバンド部門(B : Brass Band)
BCA (75分) 7団体、「動く映像の音楽」 フィリップ・ウィルビー
B1 (30分) 7団体、「トリティコ」ジェームス・カーナウ
B2 (30分) 9団体、「サンクスギビングの音楽」ケネス・ダウニー
B3 (30分) 4団体、「ヒネモア」ガレス・ウッド

●ファンファーレバンド部門(F : Fanfare Band)
FCA (90分) 8団体、「デリヴェイション」マルコ・プッツ
F1 (60分) 17団体、「二つの流れのはざまに」フィリップ・スパーク
F2 (50分) 3団体、「Images d'Ete」ヨス・ムーレンハウト
F3 (40分) 9団体、「プレヴィジョン」ヤン・デハーン

審査は審査員3人によるカーテン審査で行われ、以下の10項目を各10点ずつ、合計100点満点で審査されます。

1.音程
2.音質
3.音のバランス
4.演奏技術
5.アーティキュレーション
6.アンサンブル技術
7.リズム
8.ニュアンス
9.ダイナミクス
10.演奏解釈

◎主な審査員
 ユージン・コーポロン、ジェームス・カーナウ(米国)
 マーティン・エレビー(イギリス)
 ヤン・ヴァンデルロースト、ノルベール・ノジ(ベルギー)
 ピエール・キュエイペル、ヘルト・バイテンハイス(オランダ)
 他

私が聴いていて面白いと思ったのは、例えばB2で好成績をあげたバンドの方が、B1でそこそこだったバンドよりも断然良い演奏だった事です。難しい曲にチャレンジするのも良いのですが、自分のバンドの実力に見合った曲でより良い演奏を聴かせるのも重要な事、と改めて感じました。

また、90分(75分)の演奏会形式で審査されるチャンピオンシップよりも、2曲の演奏で気軽に?参加できるディビジョン1の方に人気が集中した様です。

同レポート後編では、特に人気の高かった自由曲、コンクールの審査結果を中心にレポートしたいと思います。

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