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「ハリスンの夢」
収録CD
■シカゴ・ライブ/東京佼成ウインドオーケストラ(CD-0388)
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浜松交響吹奏楽団
第32回定期演奏会

日時:2005年4月24日(日) 14:00開演
場所:アクトシティ浜松 大ホール
レポート:織茂 学(ピアニスト) 
URL:http://www.k3.dion.ne.jp/~m-orimo/
◎新しいタイプの作品にもどんどんチャレンジして
 浜響吹の新しいサウンド、更なる音楽性、芸術性を
 追求していって欲しい
 音楽の街「浜松」。そこを拠点に吹奏楽界をリードするバンドの1つ、「浜響吹」こと「浜松交響吹奏楽団」。今年も4月最後の日曜日に、吹奏楽ファン注目を集める中、「浜松交響吹奏楽団」の定期演奏会が開催されました。
 2004年発売のCD「ライフ ヴァリエーションズ(CAFUA)」のリリースや委嘱初演等、常に新しい事に積極的に取り組んでいるバンドです。

 今回も演奏会は3部構成で、第1部は2005年の課題曲「マーチ春風」を始めとして、オリジナル・アレンジ作品合わせて4作品が、第2部は浜響吹にて音楽コーチ兼専属アレンジャーの遠藤幸夫氏による、浜響吹のために書き下ろされている最新編曲作品が、そして第3部は注目のプログラム、昨年に引き続きの天野正道氏の新作《Suite Symphonique“GAIA”より第一楽章「地球誕生から文明創世まで」》の初演という豪華なプログラムが組まれておりました。

 では早速演奏会をのぞいてみましょう。

 第1部、まず最初の作品は、ヨハン・シュトラウス作曲《喜歌劇「こうもり」序曲》(arr.遠藤幸夫)です。
 実は今回の《喜歌劇「こうもり」序曲》は、今回の演奏会のために遠藤氏が編曲されたスペシャルVer.です。バンドの特徴を熟知している方なので、安定感のあるサウンドを作り上げているのは素晴らしいと思いました。第3部の委嘱作品を迎える演奏会の幕開けに相応しい演奏でした。

 続いては、2005年の課題曲2でおなじみの南俊明作曲《マーチ「春風」》です。
 さわやかなでかわいいハーモニーとサウンド、そして思わず口ずさみたくなるメロディーです。途中でピッコロのソロが出てきますが、この音色が、春、小鳥のさえずりを表現していると思われますが、それを見事にかわいらしく、そして微笑ましく演奏されていました。

 3曲目は、樽谷雅徳作曲《絵のない絵本》です。
 この作品はアンデルセンの代表作の1つ「絵のない絵本」を題材に書かれています。作品には色々な仕掛けがあり、ウインドマシンやグラスハープに合唱などが用いられています。なかでも今回は合唱パートに、地元の静岡県立浜松北高等学校合唱部の皆さんをゲストに迎えて演奏されました。浜響吹の暖かいサウンドに、高校生の若々しいハーモニーが加わることによって、作品の持つアンデルセンの世界を上手く表現していました。

 第1部最後の曲は、ピーター・グレイアム作曲《ハリスンの夢》です。
 最初プログラムを見た時に、浜響サウンドや今までのプログラミングからは想像できなかったので、逆にとても楽しみにしておりました。
 皆さんもご存知の通り、作品の難易度を示すグレード表記で最大5のところを、“グレード7”という範疇外の数字がついている超難解の作品です。作品は大きく3つの場面に分かれており、技術的にも音楽的にもかなり高度の事が求められておりますが、「ハリスンの苦悩と航海の苦労、厳かで神秘的な情景、更なる開発に勤しむ工房」と、それぞれの場面を思い浮かべるに十分な演奏で、開演前に思った通り気持ちが引き込まれる演奏で、とても満足できました。


 続いて第2部は、ポップス・ステージです。
 今年も第2部の曲を全て編曲されているのは、浜響吹専属のアレンジャーの遠藤幸夫氏です。
 第1部の「こうもり」でも触れましたが、遠藤氏のバンドを更に引き立てるアレンジ・オーケストレーションは本当に素晴らしく、バンドの皆さんはとても信頼し、安心して楽しく演奏されているというのが客席に伝わってきます。今回も作品によってはサックスを始め、トランペット・ユーフォニアム・フルート・オーボエ等の管楽器、そして何と言ってもピアノと、それぞれの楽器にソロ=見せ場があり、また選曲が話題の映画やドラマなどのサントラから選りすぐったものだったので、耳馴染みのある作品が更に会場を一体化させ、老若男女が楽しむことができました。
 当日のプログラムノートによると、なかでもハリーポッター・シリーズは第29・30回の定期演奏会に続いて3回目だそうで、「第3回浜響吹によるハリーポッターの世界にようこそ!」ということで、聴衆はその世界へ浜響吹さんによって心地よく誘われていきました。

 第3部は、今回の委嘱作品、天野正道作曲《Suite Symphonique“GAIA”より 第一楽章「地球誕生から文明創世まで」》です。
「第30回定期演奏会」にて第三楽章が初演されて以来、2年の時を経て今回第一楽章が初演されました。第三楽章の初演は残念ながら私は聴くことが出来なかったので、今回の第一楽章をとても楽しみにしていました。当日のプログラムノートによると、「この楽章は迷惑な人類が文明を持つ直前までの地球、そういう一番幸せな部分を表現しています」と書かれています。

 私が感じたのは、キラキラと光るものが集まり1つの集合体、つまり地球を形成していく様子を、キラキラした粒子(=分子のようなもの)を1つひとつの音で表現し、何億年という時間をかけて1つの塊=地球の核の部分(クリスタルのような神秘的な結晶)になる様子を表現していると感じました。
 これを楽曲演奏に置き換えると、奏者は各楽器がその粒子、つまり音の断片を演奏しているため、作品の全体像が掴みにくい所を、指揮者が1つにまとめ上げ、1つの形に形成していきます。指揮者も奏者も精神的緊張感を最も必要とする作品で、指揮者の浅田氏とバンドの皆さんがもの凄い集中力で演奏されており、客席もその神秘的な緊張感に包まれ、地球の誕生を目の前で見ている様な感覚になりました。このような素晴らしい演奏ができるのには、ただただ脱帽です。聴衆だけでなく奏者も引き込まれたに違いありません。全曲完成がとても気になる作品、演奏でした。

 こうして会場全体が神秘的な雰囲気に包まれながら、アンコールが2曲が演奏され、幕を閉じました。

 今回のプログラミングにより、従来の浜響吹サウンドに新しい息吹が加わり、昨年以上に安定した素晴らしいサウンドを奏でておりました。今までの浜響吹さんのレパートリーではない《ハリソンの夢》ようなタイプの作品を、これからも取り上げていって、浜響吹の新しいサウンド、更なる音楽性、芸術性を追求していって欲しいと思いました。
 今後の新しいレパートリーにも注目ですし、“GAIA”の第一、第三楽章が出来上がった今、作品の続きも気になるところです。
 やはり今後も、浜松交響吹奏楽団から目が離せません!

浜松交響吹奏楽団HP http://hswo.jp

【プログラム】

第1部
・喜歌劇「こうもり」序曲/ヨハン シュトラウス(arr.遠藤幸夫)
・マーチ「春風」/南 俊明
・絵のない絵本/樽谷 雅徳
   賛助出演:静岡県立浜松北高等学校合唱部
・ハリスンの夢/ピーター グレイアム

第2部
・ストライク アップ ザ バンド/ジョージ ガーシュイン(arr.遠藤幸夫)

「ハウルの動く城」より
・人生のメリーゴーランド/久石 譲(arr.遠藤幸夫)
・世界の約束/久石 譲(arr.遠藤幸夫)

平成ヒット ラブソング
・LOVE LOVE LOVE/中村 正人(arr.遠藤幸夫)
・瞳をとじて/平井 堅(arr.遠藤幸夫)

・ハリーの不思議な世界へようこそ/ジョン ウィリアムズ(arr.遠藤幸夫)

第3部
・Suite Symphonique“GAIA”より/天野 正道
  第一楽章「地球誕生から文明創世まで」(委嘱初演)


アンコール
・星の船/西邑 由記子
・バーナムとベイリーのお気に入り/カール キング




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