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アルスノヴァウインドシンフォニー
第8回定期演奏会

日時:2005年3月21日(月・祝)14:00〜
場所:さいたま市文化センター 大ホール
レポート:織茂 学(ピアニスト) 
URL:http://www.k3.dion.ne.jp/~m-orimo/
◎シンフォニックなサウンドを強みにしている数少ないバンドの1つ
 前日の響宴の興奮が覚めやらぬ中、2005年3月21日(月・祝)にさいたま市文化センターにおいて開催されました「アルスノヴァウインドシンフォニー第8回定期演奏会」に行って参りました。今回のプログラムは、他のバンドの演奏会では中々お目に掛かれないプログラム構成が特徴で、聴き応え十分なラインナップでした。

 まずは演奏会の模様をお伝えする前に、アルスノヴァウインドシンフォニー(以下ANWS)について少しご紹介したいと思います。
 1993年に埼玉の一般バンドとして発足して、今年で12年目を迎えるバンドです。主な活動として、定期演奏会やファミリーコンサートの開催、吹奏楽コンクールやアンサンブルコンテストへの出場など、「挫けず決して妥協せず」をモットーとして、さいたま市を中心に地域に根ざした活動を行い続けています。
 また、団には専属の編曲家・三井英健氏がおり、団の特徴を上手く掴んだ編曲もここのバンドの特徴の1つです。

 演奏会は2部構成とごく普通に行われている演奏会形式でしたが、先にも書きました通り、プログラムに特徴がありました。
 ごく一般的な演奏会の構成を料理で大まかに例えると、「前菜→オードブル→メインディッシュ→デザート」という順番、つまり「軽めの作品から始まって大曲で演奏会を締め、アンコール」と言う風になりますが、今回の演奏会は「メインディッシュのみ」という、一風変わった演奏会でした。

 では早速、演奏会にふれてみたいと思います。
 皆さん、是非お腹一杯になって下さいね。


 まず第1部最初の曲は、A.リード作曲《エル・カミーノ・レアル》です。
 1曲目としてはかなりハードな選曲で、この日のプログラムを考えると団員の皆さんのペース配分が真っ先に心配になってしまいましたが、演奏を聴いて杞憂に終わりました。「急−緩−急」それぞれにメリハリのある演奏で、細かいパッセージなど1つ1つきちんと確認できていた演奏でした。この日の演奏会が良い演奏会になりそうな予感がした演奏でした。

 2曲目はD.R.ホールジンガー作曲《スクーティン・オン・ハードロック〜3つの即興的ジャズ風舞曲〜》です。
 副題にもあるようにジャズの雰囲気を持った作品で、「急−緩−急」で構成されています。パワフルかつリズミックに演奏するには、テンポを作るパートに他のパートが乗り遅れず、そして、それを維持する相当の体力とが必要ですが、ANWSの皆さんは心地よいスピード感を持って演奏されていました。

 3曲目はS.メリロ作曲《スピーチ・オブ・エンジェルス》です。
 メリロと言えば《ゴットスピード》等、スピード感のあるノンストップ気味な作品が多いかと思いますが、この作品はどちらかというと大人しい作品です。メリロの違った一面に触れることの出来る作品の1つだと思います。プログラムノートにも書いてある通り、最初は鍵盤打楽器などが幻想的に奏で、徐々に金管を加えて荘厳な雰囲気につつまれながら、中間部の激しい部分へと移っていき、最後はゆったりと壮大になり終幕します。
 前の2作品も良い演奏でしたが、この作品は、ANWSのサウンド〜音色と響きを大切にするサウンド〜にとても合っていて、とても素晴らしい演奏でした。

 第1部最後の作品は、C.T.スミス作曲《フェスティバル・ヴァリエーションズ》です。
第1部のトリを飾るのにふさわしい作品です。各パートそれぞれに難しいパッセージが用意されており、特に冒頭やコーダのホルンのファンファーレが音域が広く難しいパッセージだが、これは当時のワシントン・バンド(USAF)の首席ホルン奏者が大学時代のスミスのライバルであったことから、ワザと難しく書いたことはもはや伝説になっています。
 第1部を演奏してきたANWSの皆さんには休憩前の最後で難曲が用意されていましたが、「今までの練習の成果」と「演奏会を成功させるぞ」という意気込みが、第1部のトリを飾るに相応しい演奏でした。


 休憩を挟んで第2部は、O.レスピーギの2大作品《リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲》と《バレエ音楽「シバの女王ベルキス」》です。
 レスピーギは私も好きな作曲家の一人でとても楽しみにしていました。第1部の演奏を聴きながら、ANWSはとてもシンフォニックなサウンドを持ったバンドで、オケのアレンジものなどのサウンドを求める作品が合うのではないかと思っていたのですが、その直感は見事に的中しました。
 まずは《リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲》です。レスピーギと言えば「ローマ三部作」が大変有名ですが、この《リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲》も有名な作品の1つです。リュートの素朴な感じで暖かみのある音色と、4曲それぞれ微妙に違う舞曲(3拍子系)のテンポ感を再現するのはなかなか難しく、曲の雰囲気を作るだけでもとても大変な作品ですが、バンドのサウンドを上手くひとつにまとめて演奏されていて、聴いていてとても心地よかったです。

 オール・メインディッシュ・プログラムの最後は《バレエ音楽「シバの女王ベルキス」》です。
《リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲》とは一変して、激しさと神秘的な雰囲気を兼ね備えた作品です。編曲は、レポート冒頭でもご紹介したANWS専属のアレンジャー三井英健氏。当日の司会の方も仰っていたのですが、謎に包まれたアレンジャーだそうです。詳しい事はANWSのHPにアクセスしてみて下さい。

 メインディッシュな作品がここまで続いて、流石に団員の皆さんも疲れが見えていましたが、オーケストラの響きを常に意識し続けることに加え、ANWSの特徴を掴んだ三井氏のアレンジが、「再現音楽」として表現され、とても良い緊張感を持った演奏をされていました。
 おそらく団員の皆さんはこのスーパープログラムを完奏することで、何か新しいものが得られる・得ようと信じて、最後まで気を抜かない素晴らしい演奏をされていました。聴衆もこの演奏に応えるように、たくさんの拍手でANWSの皆さんを称えていました。このスーパープログラムをこなした後にもかかわらず、客席の期待に応えてアンコールを2曲演奏し、演奏会の幕がおりました。
 

 シンフォニックなサウンドを持っていて、それを強みにしている数少ないバンドの1つANWS。このサウンド感を出すのはなかなか難しいと思うので、とても素晴らしいと思います。
 ホールのサイズやバンドの人数、作品など全体のバランスを考えると、若干強弱の幅が狭く感じてしまうのが残念ではありましたが、このサウンドや音色を生かしつつ、フォルテ・フォルテシモの幅が広がると、より立体的な演奏・サウンドになると思います。音量の「強弱」、特に「強」を手にした時、新らしいANWSが誕生すると思います。

■アルスノヴァウインドシンフォニーHP http://arsnova.qee.jp/


【プログラム】

第1部
○エル・カミーノ・レアル/A.リード
○スクーティン・オン・ハードロック〜3つの即興的ジャズ風舞曲〜/D.R.ホール
ジンガー
○スピーチ・オブ・エンジェルス/S.メリロ
○フェスティバル・ヴァリエーションズ/C.T.スミス

第2部
○リュートのための古い舞曲とアリア 第3組曲/O.レスピーギ(Arr.森田一浩)
  1.イタリアーナ/2.宮廷のアリア/3.シチリアーナ/4.パッサカリア
○バレエ音楽「シバの女王ベルキス」/O.レスピーギ(Arr.三井英健)
  1.ソロモンの夢/2.戦いの踊り/3.夜明けのベルキスの舞/4.饗宴の踊り

アンコール
○ヨークシャーバーランド/J.バーンズ
○第一組曲よりギャロップ/A.リード

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