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ウィーンブラスアンサンブル

日時:2004年10月21日(木) 19:00開演
会場:横浜みなとみらいホール 大ホール
レポート:K.W.
 今日は待ちに待ったウィーンブラスの来日公演でした。ウィーンブラスアンサンブルといえば、ご存知ウィーン・フィル・ハーモニー管弦楽団とウィーン国立歌劇場管弦楽団の金管楽器奏者と打楽器奏者のトップメンバーによって構成される凄腕のアンサンブル集団で、今回は2002年に引き続き2回目の来日公演となりました。

 この日を待ち遠しく思っていたのはやはり私だけではなかったようです。早くあの美しい響きに魅了されたいという気持ちの表れなのか、みなとみらいホールの入口は開場前から長蛇の列ができてにぎわっており、ウィーンブラスの日本での根強い人気を感じさせました。

 この演奏会のオープニングを飾ったのはウィーンゆかりのモーツァルトによる『歌劇「魔笛」より』でした。序曲の出だしのE♭ドゥアーのすばらしい音色が会場いっぱいに響き渡った瞬間、「うわぁ、うまいなぁ。」と思わず笑みがこぼれてしまいました。
 曲全体を通して、流れるように美しくアンサンブル力の高さを実感しましたが、中でも夜の女王のアリアではかけあいが本当に1本で吹いている様に聴こえてびっくりしました。

 続いてはバッハの3つのコラールが演奏されたのですが、やはりウィーンの持ち味はコラールなどの美しくゆったりとした曲調ではよりいっそう発揮されるなぁ、と思いました。特に1つ目のコラール「主よ、人の望みの喜びよ」は、よく聴くおなじみのフレーズだからこそウィーンブラスのすごさが実感できたように思います。
 メロディーを邪魔することなく全ての旋律が聴こえてきたことで今まで聴き流していた旋律にも自然と耳が傾きました。今まで何度もこの曲を聴きましたが、間違いなく今日の演奏が一番すばらしい、と思いました。
 ユニゾンの正確さなどはもちろんのこと、マイナーの和音に本当に切なさ、寂しさが込められていて、ウィーンブラスが演奏するとこんなにも優雅で繊細な感じが出るんだなぁ、と思いました。

 続いて演奏されたマスカーニの『歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲』も繊細な曲調が見事に表現されていて、細かいミスが少しくらいあってもそれを凌ぐすばらしい響きにうっとりしました。

 第一部最後の曲はビゼーの歌劇「カルメン」組曲でした。今回は金管合奏用に編まれた組曲から、アラゴネーズ、アルカラの竜騎兵、ハバネラ、衛兵の交替、ジプシーの踊りが演奏されました。まさにスペインを感じさせるすばらしいアラゴネーズに始まったカルメン組曲は、どの曲もまるで情景が目の前に浮かび上がってくるようで、大満足の演奏でした。ハバネラの緩急の表現のつけ方も絶妙でした。この組曲の中で私が一番感動したのはジプシーの踊りで、正確さに加えて熱のこもった演奏に思わず涙がでそうになりました。
 カルメン組曲が終わって休憩に入ると、聴衆の間で第一部の演奏を絶賛する会話があちこちで聞かれました。後半の演奏にますます期待が膨らんでいるのがよく分かりました。

 第二部の初めの曲はエンリコ・クレスポの「ブラスの魂」でした。副題にもあるように10人によるファンファーレの力強さと華やかさがすばらしく、まさにブラスの魂という名にふさわしい演奏でした。

 続いては世界初演のKOMAという曲が演奏されたのですが、私にはヴィジョンが見えにくくて解説を見るまで何を表現しているのかが分かりませんでした。
 解説によると、この曲は時間や人間生活が一時的に静止した状態を音楽的に表現しようとしたもので、タイトルKOMAは時間的な間隔だけでなく人間の昏睡状態comaまたは仮死状態をも表しているそうです。解説を読むとなるほど納得するところもあり、ウィーンブラスのメンバーたちはちゃんと聴かせるのは難しいと思われるこの曲を巧みに表現していたと思います。

 次に演奏されたトロンボーンのソロ曲「枯葉」では、哀愁漂うメロディーをイアン・バウスフィールドが優雅にそして感情豊かに歌い上げ、気がつくともう残すところトリの曲だけとなっていました。本当に時間が経つのが早かったです。

 今回の演奏会のトリは金管の派手な演奏でおなじみの映画音楽、ジョン・ウィリアムズの「スターウォーズ」でした。正直言って、これだけ演奏してまだこのスタミナ…彼らは疲れを知らないのかと思わせる力強い演奏でした。今回はエピソード1・2から4曲が演奏されましたが、選曲も絶妙で、映画スターウォーズの世界をイメージさせるには十分でした。

 モーツァルトのオペラに始まったこの演奏会のアンコールはやはりモーツァルトの曲で、「フィガロの結婚」序曲でした。ウィーンブラスらしい優雅な演奏でしめくくり、演奏が終わっても聴衆の惜しみない拍手がメンバーたちに贈られました。まだまだ聴いていたいという気持ちも強いですが、次の来日公演を楽しみに待つことにします。本当にすばらしい演奏会でした。

■プログラム

ヴォルフガング・アマテウス・モーツァルト:歌劇「魔笛」より
 序曲
 私は鳥刺し(パパゲーノのアリア)
 復讐の心は地獄のように胸に燃え(夜の女王のアリア)
 第2幕の前奏曲
 おお、イシスよ、オシリスよ(ザラストロのアリア)
 パ、パ、パ、パパゲーナ(パパゲーノとパパゲーナの二重唱)

ヨハン・セバスティアン・バッハ:3つのコラール
 主よ、人の望みの喜びよ
 目覚めよと呼ぶ声あり
 主イエス・キリスト、我汝を呼ぶ

ピエトロ・マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲

ジョルジュ・ビゼー:歌劇「カルメン」組曲
 アラゴネーズ
 アルカラの竜騎兵
 ハバネラ
 衛兵の交替
 ジプシーの踊り

エンリコ・クレスポ:ブラスの魂〜10人のブラスプレイヤーのためのコンサート・ファンファーレ〜

ステファン・ペレグリ:KOMA(世界初演)

ジョセフ・コスマ:枯葉
(ソロ:イアン・バウスフィールド)

ジョン・ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」より
 フラッグ・パレード
 運命の闘い
 愛のテーマ
 オージーの大楽隊

〈アンコール〉
ヴォルフガング・アマテウス・モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲

 

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