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MUSASHI/ローマの松」/文教大学吹奏楽部
 
 
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ドリームブラス2005
中央・文教ブリティッシュ・ブラス・コンサートvol.7
◎日本一“夢望”なブラスバンド〜ドリームブラス

 天気は曇りだか晴れだか、気温は寒いだかぬるいだか(といってもホール内でやるのであまり関係ないが)、どちらの大学もコンクール全国大会の常連ということもあり、否が応でも期待は膨らみ自然と足どりも弾む。
 しかしホール最寄りの新宿御苑駅から道に迷い、1曲目ギリギリに会場へ滑り込むことになってしまった。ホール内ではバンドがすでにチューニングを始めていたので早く座らなければとあせるが、なかなか空席が見つからない。かなりの客入りだ。私はドリームブラスvol.3からの付き合いだが、これほどの客入りは初めてではないだろうか?
 
 やっと前のほうに席を見つけ、座ると同時に、第1部1曲目「インペリアル・フローリッシズ」が始まった。指揮は中央大学2年鴇田君。オープナーにふさわしく、金管らしい華やかなサウンドを会場に響き渡らせた。

 続いて2曲目は「イーストコーストの風景より〜ニューヨーク〜」。指揮は文教大学3年清家君。私はブラス・バンドでこの曲を聴くのが初めてだったため、あのパッセージはどうなっている? あの部分はどう演奏するんだろう?と興味は絶えなかった。
 演奏は個人的にはもう少し疾走感というのか、駆け抜けている感じの方が好きだが、あのユーモア溢れる曲を見事に表現した好演だった。

 3曲目からは少し趣向を変えポップスステージが始まった。3曲目「アイガットリズム」、4曲目「マンボ・カリエンテ」は2曲続けての演奏。指揮は文教大学2年伊東さん。ご存知、文教大学バンドディレクター瀬尾氏の影響を受けてか、かなりのダンシング・タクトの使い手だった。
 また、「マンボ・カリエンテ」ではダンサーが登場。いかにも即席と思われるぎこちないダンスと、いっぱいいっぱいの引きつった笑顔にむしろ好感を持て、温かい気持ちにさせられた。実は、2日前に踊ることが決まったらしい。演奏は・・・正直、演出ばかり印象に残り覚えていない(ごめんなさい)。

 5曲目からはソロ、ソリによる選曲が続いた。まず先頭をきったのが中央大学4年大橋君のトロンボーン・ソロ、清家君指揮による「スターダスト」。ソリストが出てくるなりチューニングを声で始め、会場の笑いをとっていたが、曲が始まると一変、出だしの音から深く、そしてしっとりと聴かせ、聴衆をグッと大橋君の世界へ引き込ませた。曲が終わるまで身動きが取れないほど聴き惚れた名演だった。

 余韻に浸っている中、派出な色シャツに身を包んで現れたのが、トランペット5人衆。曲は「トランペット・ブルース・アンド・カンタービレ」だ。多少バンドにメリハリが欠けパッとしない気がしたが、そこはトランペット5人がカバー。5人の技量の高さを見ることができた1曲だった。

 そしていよいよ1部トリのマリンバデュオによる「ジンバザンバ」で音楽監督の牛渡克之氏が指揮者として登場。心なしかバンドの集中も高まった中、中央大学3年奈良さん、文教大学2年小池さんのマリンバ連打が始まった。2人とも相当練習したのだろう、かなりの難曲で複雑だったが、とてもスッキリとした聴きやすい仕上がりとなっていた。と、ここで1部が終了し、休憩となった。

 2部からは全て牛渡氏の指揮で演奏された。アタマは「カンタベリーコラール」。よく歌いこみ、聴かせていただけに、最後の最後での和音の大崩れはもったいなかった。

 さて、ドリームブラスでは、毎年ゲストにプロの音楽家を招き共演をしている。今年はバンドネオン奏者の啼鵬(ていほう)氏だ。そして2部2曲目・3曲目は啼鵬氏を迎えての演奏が続いた。バンドネオン自体はそれほど大きな音が出る楽器ではないが、「ブエノスアイレスの四季」では優雅でそれでいて力強い音が会場いっぱいに響きわたり、啼鵬氏作曲の「ウォーキング・モモンガ」では、モモンガが散歩している様子がまさに目の前に広がる、コミカルで愛嬌のある音が、会場を満たした。バンドネオンの様々な表情を見ることができ、さらには「ウォーキング・モモンガ」では、牛渡氏がユーフォニアムソロを披露するなど、とても豪華なステージとなった。

 トリは「エクスカリバー〜正義の剣〜」。荘厳で雄大な演奏は、アーサー王のそれを十二分に表現していた。この難曲をこれだけのクォリティーにするレベルの高さはさすが。
 アンコールは再び清家君の指揮でドリームブラスお馴染み「フローラルダンス」だ。もうこの曲は手馴れたもので、曲のところどころに遊びを入れたりする余裕っぷり。最後は堂々全員がスタンドプレイ。以上、終わり。と思いきや・・・・今年のドリームブラスはまだ終わらない。ドリームブラスでは珍しくアンコールが2曲あったのだ。
 牛渡氏が一言二言しゃべり、指揮を振り始めた。曲は映画「ブラス!」でも最後を飾る「威風堂々第1番」。啼鵬氏もバンドの中に混ざり、おりていたメンバーもいつの間にか客席に楽器を持って登場し、壮大なフィナーレを迎えた。

 終演後、出演者に話を聞いてみると、この演奏会はいつも時間がなく大変だと言っていた。それもそうだ、両校とも普段は部活の練習があり、ドリームブラスは大学が受験期間に入り1週間ぐらい部活ができないこの時期にだけやっているのだから。今回の演奏会の練習は事前練習4回に、2泊3日の合宿だけだそうだ。しかも大半の人が普段あまり吹く機会のない、コルネット、テナーホーンなどのブリティッシュな楽器に持ち替えるというのだから、それまた大変なことである。しかし、そんなことはまったく感じさせない演奏と、よく練られた演出で聴客を魅了するこのバンドには感服してしまう。

 このバンドは大学の部活と同じで年々メンバーは変わっているが、毎年着々とレベル・アップしている。それどころか、バンドの運営も確立してきているようである。最初に書いた集客力もその表れだろう。もはや両校のイベントバンドではなく1つのバンドとして存在しつつあるのではないだろうか?

 本人たちはホームページやパンフレットで「日本一無謀なブラスバンド」と自分たちを表現しているが、私はこのどんどん伸び続けるバンドに、これからも私たち聴衆にすばらしい演奏を聴かせてくれるよう期待を込め、あえて「日本一“夢望”なブラスバンド」と字を当てさせてもらう。
 今後さらに成長していくこのバンドからますます目が離せない!


■プログラム

1部
・インペリアル・フローリッシズ/H.ローリマン
・ニューヨーク イーストコーストの風景より/N.ヘス
・アイガットリズム/G.ガーシュウィン
・マンボ・カリエンテ/A.サンドバル
・スターダスト/H.カーマイケル
・トランペット・ブルース・アンド・カンタービレ/H.ジェームス&J.マティアス
・ジンバザンバ/G.リチャーズ

2部
・カンタベリーコラール/J.ヴァンデルロースト
・ブエノスアイレスの四季/A.ピアソラ(arr. 啼鵬)
・ウォーキング・モモンガ/啼鵬
・エクスカリバー〜正義の剣〜/J.ヴァンデルロースト

アンコール
・フローラルダンス/K.モス
・威風堂々第1番/E.エルガー

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