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上智大学吹奏楽研究会
第24回定期演奏会


日時:2004年12月19日(日)14:30〜
会場:板橋区立文化会館
レポート:BP梅本

プログラム構成の面白さに共感!

  上智大学吹奏楽研究会の定期演奏会が、板橋区立文化会館で行なわれた。ホールで彼らの音を聴くのはこれが初めてになるので、どういったサウンドの変化が見られるか興味のある演奏会であった。会場は、集客数を考慮してか2階席は締め切りで1階席のみ解放されている状態。実際、この時期は各地で演奏会が多く行われていることもあってか、観客の数も決して多くはなかった。

 そんな中、演奏会が開演。今回の演奏会は、1部は比較的有名な曲、2部は吹奏楽ではあまりとりあげられない曲というプログラム構成になっており、指揮は学生指揮者のみである。1曲目にフレッチャーの"英雄行進曲"を演奏したあと、2曲目は星出尚志の"丘の上のレイラ"。サマーコンサートでも強く印象に残った流れるようなフレージングは相変わらず素晴らしいものがあった。強弱・緩急もしっかりしていて、オーケストレーションの薄い箇所には少々不安があるものの、Tuttiにおいては、互いが邪魔にならない柔らかく溶け込む響きが印象的だった。

 続く3曲目はホゼイの"ひとつの声に導かれるとき"。一度聴いたら忘れられない素晴らしいメロディーの曲である。この曲では特に中音域の響きが抜群に良く、バンドのサウンドに見事な安定感をもたらしているように感じられた。

 演奏が終わった後、このレポートのためにメモをとっていたのだが、続くリードの"オセロ"の最初の音が鳴った瞬間、一気に引き込まれて思わず手が止まってしまった。そしてそのまま曲の最後まで一直線、最高の演奏を聴かせてくれた。
バンド独特の柔らかいサウンドとフレーズ感を存分に活かした演奏であり、練習量も多かったのだとは思うが、指揮者と奏者の感性がピタリとハマったのかもしれない。ダイナミクスレンジの幅がもう少しあればなあ・・・とも思うが、T部トリを飾るには十分な好演であった。

 続いて、2部が始まる前に顧問のフランシス氏のMCが入る。吹奏楽に大変理解のある方で興味深い話が続いたが、その中で1部・2部それぞれのプログラムついて「1部のオセロは"悲しい気分のベネチア"、2部のベネチアン・スペルは"楽しい気分のベネチア"。最後は楽しい気分になってお帰りになってください」というような対比をしていたのがとても印象的だった。

 MCによって期待が高まる中、2部が始まった。1曲目はネルソンの"宮廷風アリアと舞曲"。全体的にソロ・サンサンブルが多用される洒落た曲であったが、どのソロやアンサンブルも素晴らしく、軽快に決まっていた。ただ逆にTuttiの箇所はイマイチ迫力に欠けるものがあったのが残念である。

 続く2曲目はエレビーの"ベネチアン・スペル"。これもまたソロ・アンサンブルの多い曲であり、ドラマティックな大曲ではなく短い4つの楽章から構成される洒落たタイプの曲なので、演奏会のトリにしては、最近の多くのバンドの傾向からするとかなり地味な選曲である。しかし前曲同様、集中力の高いソロとアンサンブルはそれぞれとても心地よく響いていた。また曲調にあった軽く明るいサウンドで、T部とはまた違ったバンドの表情を見せてくれた。

 全体を通してフレーズ感やアンサンブルなどは丁寧で歌心に溢れ素晴らしかったのだが、ダイナミクスの幅が足りないのが少々残念だった。pはすごく良い響きを持っているバンドだと思うので、あとはfの時にもっと迫力ある、広がりのある音が出せるようになれば、フレーズ感が活かされてとても良いバンドになるかもしれない。
プログラム構成は大変おもしろく、あまり取り上げられないような曲を改めて2部で取り上げ、その曲の良さを伝えようとする姿勢にはおおいに共感することができる。またそのようなプログラムでも決して押しつけがましくないサウンド作りで、淡々とした進行もユニークな路線で好感を持った。今後とも、彼らのプログラム、そしてサウンドに注目したい。

■ 以下メンバー・コメント(川瀬君)

「定演に向けて夏から準備を進めてきて、楽器の技術・音楽面ではかなり背伸びをした選曲でしたが、なんとか終われてホッとしてます。集客も、いつもより人が入ってくれてまずは満足です。
 また、今回は多少マンネリ化していた演奏会を見直そうということで、宣伝でバンドパワーにお世話になったり、アンサンブルを宣伝としてホール付近の中・高の吹奏楽部に派遣するなど、新しい試みもしてみました。この辺は、今後の演奏会に活かしていきたいと思います。
 去年、今年と、メインでメジャーとは言えない作品を取り上げて挑戦してきました(去年は、ローストのモンタニャールの詩でした)。こうした曲をやる時のクオリティの向上が今後の課題です」



【プログラム】
1部
・英雄行進曲/P.フレッチャー(arr.P.スパーク)
・丘の上のレイラ/星出尚志
・ひとつの声に導かれるとき/J.L.ホゼイ
・オセロ/A.リード
U部
・宮廷風アリアと舞曲/R.ネルソン
・ベネチアン・スペル/M.エレビー
アンコール
・海の上のピアニスト?
・そりすべり/L.アンダーソン

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