吹奏楽マガジン バンドパワー 吹奏楽マガジン バンドパワー
吹奏楽マガジン バンドパワー
レポート >> レポートインデックス
福島県原町市に、市営の青少年バンドが誕生!(後編)

 前回(2004年12月28日付)にひきつづき、福島県原町市に誕生した、市営コンサートホール直属のアマチュア青少年バンド「ゆめはっとジュニア・ウインド・オーケストラ」(YJWO)のレポート。前回は発足の経緯を述べたので、今回は、その第1回コンサートの模様などをお伝えする。

 実は、当日(2004年12月5日)は、記念すべき第1回コンサートに先立ち、結成記念式典が行なわれ、音楽監督アルフレッド・リード博士の作曲・指揮による新作ファンファーレが披露されたのだが、この日は、強力な低気圧(強風)の影響で、常磐線のダイヤが大幅に乱れ、筆者は、式典に間に合うように到着できなかった。

 よって、残念ながら、このファンファーレを耳にすることができなかったので、これに関しては、後日、録音などを聴かせていただく機会が得られれば、あらためてご報告したい。

 さて、式典に引き続くコンサートであるが、発足直後の青少年バンド(しかも、前回述べたように、下は小学校4年生から参加)にしては、驚くほど盛りだくさんのプログラムが組まれた。

 アンコールまで含めれば、計10曲。しかも、そのうちの6曲が「組曲」または「メドレー」であり、それらまでを細かく計算すると、事実上「34曲」に及ぶのである。

 第1部は、サポート・メンバーも入れて、≪常動曲≫(J.シュトラウス/リード編曲)に始まり、ヴェルディのオペラ名旋律のメドレー≪ヴィヴァ、ヴェルディ!≫(モーティマー編曲)、≪台所用品による変奏曲≫(ギリス)、≪アルルの女≫第2組曲全曲(ビゼー/鈴木英史編曲)。

 第2部は、YJWOメンバーを中心にしたNSB楽譜によるポップス・ステージ。≪ジャパニーズ・グラフィティVIII ウルトラ大行進!≫、≪ディズニー・プリンセス・メドレー≫、≪ディープ・パープル・メドレー≫。

 第3部は、ゲスト指導者も加わっての大編成で、リード博士の指揮による、≪春の猟犬≫、≪第2組曲:ラティーノ・アメリカナーナ≫全曲、そして、アンコールが≪ラデツキー行進曲≫。

 演奏は、やはり、YJWOメンバーがむき出しになる部分では、ピッチが合わなかったり、音量が足りなかったり、といった部分が散見された。ステージ・マナー(スタンディングや、ソロの態度など)も、まだまだ身についていない。それでも、矢澤定明の熱血コンダクターぶりは、見ているこちらが熱くなるほどだった。

 そして、サポート・メンバーや、ゲスト指導者までもが全員加わる第3部は、リード自身の指揮のせいもあってか、まことに立派な演奏で、ひさしぶりに、これらの名曲を、大編成でじっくり聴く機会に恵まれ、満足させられた。

 リード博士は、さすがに83歳とあって、往年の活気ある指揮ぶりは見られなかったが、実に的確な指揮ぶりで(自作ゆえ、もちろん、暗譜指揮だ)、きっと、メンバーたちも、演奏しやすかったのではなかろうか。

 というわけで、たいへん盛りだくさんであり、課題も残ったコンサートではあったが、しかし、私は、お世辞抜きで、この日のコンサートに感動した。

 ステージを見れば、明らかに、小学生や中学生、つまり、「子供」と思しきメンバーがたくさんいる。そして、彼ら「子供」の横に、ゲスト指導者たちがキチンと付いて、本番中でも、ちゃんと「指導」しているのだ。

 たとえば、パーカッションの小学生の女子が、横にいるゲスト指導者にサポートしてもらいながら、リードの第2組曲で、一生懸命、様々な小物パーカッションを演奏している・・・これを見ているうちに、「ああ、これでいいんだ」と思わされた。このようにして、音楽は、広まり、伝わっていくのである。

 この日、リード博士のもとで演奏できた子供たちの中には、その意義が十分に分らなかった子もいるかもしれない。よく、「子供が小さいうちは、旅行に連れて行っても、覚えていないから意味ない」とボヤく親がいるが、似たような感慨を感じる大人たちもいるだろう。

 だが、それでいいのだ。覚えているとかいないとか、意義が分るとか分らないとか、そんなことは、どうでもいいのだ。子供のうちに、きちんとした音楽環境の中に身を置くことが大切なのだ。

 仮に、今回、よく分らずに参加した子がいたとしても、大人になって、必ず気づくはずだ。「あの日」が、いかに素晴らしい音楽体験であったかを。

 今後、YJWOが、どんな道を歩むのか、私には分らない。いつか、自前で大編成が組めるようになって、独自に定期演奏会を開催したり、コンクール一般の部に登場したりしてくれたら、痛快だ。

 それには、原町市側のサポートも必要だろう。地元が吹奏楽王国ゆえ中高生が(学校クラブ優先で)集まりにくければ、高校を卒業して吹奏楽から離れてしまった地元の若者を積極的に取り入れて行く方法もあるだろう。

 ただ、東北の一角に、こういうバンドが誕生したことは、覚えておいて損はない。現に、私の知人に、中国地方で地元の公的文化事業に関与している人がいて、彼に今回の話を伝えたら、たいへん興味を持っていた。それだけ価値のあるプロジェクトだ
と思う。

(前編を読む>>>>)

福島県原町市HP http://www.city.haramachi.fukushima.jp/
原町市民文化会館「ゆめはっと」HP http://www.yumehat.or.jp/index.html

>> レポートインデックスページに戻る
吹奏楽マガジン バンドパワー
jasrac番号 吹奏楽マガジン バンドパワー