会場は“ナント”普通の教室。サウンド作りが難しそうだが、
それを補ってあまりあるバンドの「歌心」たっぷりの演奏に感激!
普段、学校関係ではいわゆる「部活動」としての吹奏楽団体しか見たことがなかったのですが、ある時BPのコンサート・ガイドを見ていると上智大学吹奏楽研究会の告知が。 興味をもったのでホームページを見たところ、どうやら大学のサークルらしいということが判明、これは気になる! いったい、どんな活動をしているのか? 演奏会場が大学のキャンパスということもあり、夢の上智大学キャンパス目指してこれはもう行くしかない! というわけで上智大学吹奏楽研究会のサマコンに行って来ました。
学内の講堂あたりでやるのかなあ、と思っていたのですが、行ってみると会場は普通の教室。普段コンサート・ホールでしか演奏を聴かないのでかなり斬新です。
初体験の空間に少々緊張しつつ待っていると、ほどなくしてメンバーが登場。
そして始まった1曲目は、スパークの「新しい夜明けに(to a new dawn)」。学生指揮者がうまくバンドをのせつつ、シンプルにまとめた演奏を聴かせてくれた。
やはり場所柄、サウンド作りが難しそうな印象を受けるが、それを補ってあまりあるのはバンドの「歌心」。やりたいことがダイレクトに伝わってくる好演だった。
ここで顧問のフランシスさんのMCが入る。すでに興奮・熱狂気味のフランシスさんから、このバンドへの深い愛を感じ取りつつ、次の曲へ。
学生指揮者が交代しての2曲目は、ABBAの代表曲「ダンシング・クイーン」。学生指揮者は1曲目の指揮者と異なり随分と落ちついた指揮だったが、のっけから、何かから開放されたかのような凄まじく軽快な音で、若さを前面に押し出した素晴らしい演奏だった。
続いて演奏されたのはヴァンデルローストの「カンタベリー・コラール」。
言わずと知れた名曲であり、それだけにバンドの一体感が試される難曲でもあるが、彼らは曲の出だしから最高のハーモニー、フレーズ感をもって聴かせてくれて、思わず鳥肌が立ってしまうほどだった!!
続いては酒井格の「たなばた」。先の「カンタベリー・コラール」から一転、Brassyな音色で高校生のような若さを感じる演奏。中間部のデュエットなども初々しく、妙に平和な気分になってしまった。
そして最後の曲は、20年以上もトレーナーとしてこのバンドに携わっているという久志本涼氏の指揮による、オッフェンバックの「パリの喜び」。
さすがに今までとは音がガラリと変わり、バンドの音にピッタリとはまった曲作りもさすがであった。
やはりこの曲でも、特筆すべきはバンドが持つフレーズ感。とにかく流れのある演奏を聴かせてくれて、とても気持ちの良い、幸せな気分にしてくれるのだ。
満場の拍手に迎えられて始まったアンコール1曲目は、なんと「春の猟犬」の後半部分。静かに流れる美しいメロディーから始まった演奏は、あわただしい都心の一角にいることを忘れさせてくれた。
最後にもう1曲、真島俊夫作曲のコンサートマーチ「ストレート・ロード」で演奏会が終了。全体的に、常に清清しい気分にさせてくれる演奏で、早くこのバンドのホール演奏を聴きたい!と思わせてくれる内容だった。
終演後団員の方とお話させていただいたのですが、上智には部活動としての吹奏楽団体はないそうで、このサークルは40年近くの歴史を持っているとのこと。
定期演奏会の他にも南山大学との合同演奏会も毎年行なっているそうで、なかなかユニークな活動をしています。
【プログラム】
・新しい夜明けに/P.スパーク
・ダンシング・クイーン/B.アンダーソン(arr.岩井直博)
・カンタベリー・コラール/J.ヴァン=デル=ロースト
・たなばた/酒井格
・バレエ音楽「パリの喜び」より/J.オッフェンバック, M.ロザンタール(arr.小長谷宗一)
アンコール
・「春の猟犬」より/A.リード
・ストレート・ロード/真島俊夫
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