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オリパパ・ミスケン・ヒデノリの
トランペットが吹きたい

日時:2004年9月26日(日)14:00開演
会場:彩の国さいたま芸術劇場
レポート:Y.H.

オリパパはじめ、プレイヤー3人の人柄がよく表れた
清々しい気分にさせてくれた演奏会でした

長引いた暑さも落ち着き始め、ようやく秋の匂いが漂いはじめた9月末日、オリパパ・ミスケン・ヒデノリの「トランペットが吹きたい」という何ともステキなタイトルの演奏会に行ってまいりました。
 ご存知オリパパこと織田準一さんとそのお弟子さんであるミスケンこと三須建至さん、ヒデノリこと斎藤秀範さんの三人がどんなトランペットを聴かせてくれるのかという期待に胸を膨らませ会場に向かうと、すでに何人ものお客さんが開場を待ちわびていました。

 さてプログラムですが、1曲目はオリパパの奥さんであるオリママこと織田英子作曲の「トランペットが吹きたい」。
リサイタルと同じ題名を持つこの曲、どんな曲なのだろう?とわくわくしているうちに本ベルが鳴り、オリパパと伴奏者の市川奈緒子さんが入場して来ました。深いブレスと共にラッパの音が響き渡り、心地よいフレーズが耳に入ってきました。
「ああ、いいメロディーだな」とオリパパの音楽に聴きほれていたところに、上手側のドアが開きミスケンが登場! 今までソロで吹いていたオリパパに加わってデュエット開始。そして程なく下手側からヒデノリも入ってきてトリオによる演奏となり、さわやかな秋風のようなハーモニーを聴かせてくれました。

 3人によるトークをはさんで、次の曲はヘンデルの「王宮の花火の音楽」。
 これはクラシックでおなじみの曲ですが、トランペット3本で見事にバロックの輝かしい響きを作り出してくれました。
 はじめの2曲は3重奏による演奏でしたが、ここからの3曲はそれぞれのソロ。まずはミスケンによるエルガー「愛の挨拶」です。アウフタクトをたっぷりとって、豊かなルバートを効かせた歌を魅せてくれました。

続いてヒデノリのシモネッティ「マドリガル」。
こちらは古い舞曲だそうですが、スマートで繊細な音色で、ちょっと技巧が必要であろうこの曲をサラリと吹ききってくれました。余談ですが、ミスケンいわく、作曲者のシモネッティは「下ネタ好き」だろうとか・・・。

 ラストを飾るのはオリパパのバッハ/グノーの「アヴェ・マリア」です。さすがオリパパ、前の2人にはない熟した深い味わい音色で有名なこの曲を演奏してくれました。今まで一緒に吹いていた3人がここでは三者三様の歌を披露してくれました。

 素晴らしいソロを聴いたところで、ここからはまたトリオによる演奏です。曲目はパッヘルベルの「カノン」。
 はじめに“カノンとはどういう曲か?”という簡単なレクチャーをしてくれた後、演奏開始です。あの有名な下行型のフレーズがオリパパ、ミスケン、ヒデノリの順で奏でられ、それぞれの音色が重なり合っていき、1つのハーモニーが作られてホール内に響き渡ってゆく様はとても感動的でした。最後のC−durのコードが鳴り終わった瞬間、客席全体を至福のひと時で包み込んでくれました。

 1部の最後を飾ったのはバーク作曲の「マジック・トランペット」。
 戦争で片腕をなくしたラッパ吹きによって書かれたという曲だそうですが、そんな背景を吹き飛ばすような明るく、お洒落な曲でした。しっとりとした曲が多かった中、七色に輝く虹のような音色で三人は前半を締めくくってくれました。

----休憩----

 休憩を挟んで、後半のオープニングはモンテルデの「闘牛士のマンボ」。華やかなファンファーレで前半とはガラリと変わった雰囲気で幕を開けてくれました。
 続いては古今の映画音楽からデュエットで3曲。オリパパ・ヒデノリによる「追憶」、ミスケン・オリパパでの「エデンの東」、ヒデノリ・ミスケンの「ニューシネマ・パラダイス」というラインナップでした。
 ここで一番印象深かったのが「エデンの東」。主にミスケンがメロディー、オリパパが伴奏部を吹いていたのですが、ミスケンのたっぷりとした歌を下からしっかりと支えていたオリパパに、弟子を暖かく見守る彼の素敵な一面をうかがうことができました。もちろん、他の2曲もそれぞれ息がピッタリですばらしかったですよ。

 この後にはまたトリオでの演奏となりました。ベラスケスの「カチート」、アブリュ−の「ティコ・ティコ」ではゴキゲンなノリと心地よいビートでやってくれました。ところどころの弱奏部でお互いささやき合うように演奏していたのがとても印象的でした。
 次は、今回のプログラムで白眉だった「夜空のトランペット」。それまで一直線に並んでいた3人ですが、オリパパがステージセンター、ミスケン・ヒデノリがそれぞれ左奥、右奥の配置になって同じ譜面を一泊だけずらして演奏。このちょっとした仕掛けによって今までの3重奏とは違ったエコーの効果を生みだし、何とも不思議な音空間が作り出されました。
 そこでは、イタリアの街の屋根に登って、夜空に輝く満天の星空を眺めているような気分にさせてくれました。トランペットという楽器で、こんなことができるのかという発見をさせてくれた1曲でした。

 そして、演奏会全体のトリはニーノ・ロータの「ゴッドファーザー パートII」より。またまたお馴染みのこの曲を、トランペット3本で見事に情景描写してくれました。最後のコードがスーッと消えるようにディミヌエンドして、ホールは満場の拍手に包まれました。
 程なく「アンコール!」の声と共に3人が再び入場。「この季節の終わり、変わり目に」というオリパパの言葉のあと、中田喜直の「夏の思い出」を演奏してくれました。遥か昔をいつくしむような歌を、これまた3人のすばららしい音色によるハーモニーで聴くことができました。
 そしてまた大きな拍手のあと、オープニングでもあった「トランペットが吹きたい」を最後にもう1度会場の我々に届けてくれて、このリサイタルは幕を閉じました。

 ホールを後にして外に出ると、天気はあいにくの小雨。でも「そんな日もいいかな。これからきっと涼しい秋風が吹いてくるだろう」という、清々しい気分にさせてくれた演奏会でした。

■もっとオリパパが知りたいって人は・・

http://www.geocities.jp/oripapatp/

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