新しくできたみなとみらい線のみなとみらい駅を下車し、
クイーンズスクエアなんて超ハイカラな建物をすっかりおのぼりさん状態で通り過ぎ、
道に迷いながらやっとのことで会場にたどり着いた。
この時点ですっかり時差ボケだ。
グラール……もう全国のバンド・ファンにはおなじみとなった定期演奏会が 今年も賑々しくおこなわれた。
みなとみらいホールというすばらしい会場にふさわしい演奏を期待していたが、 それに応える、いやそれ以上の演奏が繰り広げられた。
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ロビーに着くとすでにサックス4重奏のロビー演奏が行なわれていて、鈴なりの人だかり。全国大会に出る実力ある憧れのバンドのはずなのだが、気取ることなく、聴衆に楽しんでもらおうという姿勢がうかがえ、好感が持てた。
さて、本番のほうは、第一部から良い響きで、聴取を魅了した。特に、昨年関西の団体がコンクールで演奏した「写楽」。
この曲はかなり人気なのだそうだが、非常にわかりやすい構成で、このバンドもなんなく消化していた。変拍子を織り交ぜたビート感、終曲に向かって盛り上がる効果はさすがである。指揮者の佐川聖二氏とそれに応える奏者の一体感が心地よかった。
そして、「ブルーホライズン」。初めて聴く曲だが、遥かかなたに広がる海の情景が目に浮かぶ。オーケストレーションは難しそうだが、全体の音色はこよなく美しく、時に激しく、感動的であった。
もどかしく感じた休憩時間が終わると、アレンジ曲の「ウィリアムテル序曲」。
前半のソロには冷や冷やしたが、おなじみのファンファーレが鳴り響くと、会場の空気が変わった。強奏でも耳に心地よいのはこのバンドの財産だ。
少ない練習時間と察するが、指揮者やスタッフの方の真剣な努力の賜物なのだろう
そして、この日のメインの曲「ライモンダ」では、 その努力の成果が如実に現れた演奏となった。
前述の演奏ももちろんよかったのだが、それさえもかすんでしまうほどであった。
組曲の1曲1曲が充実しており、響きは広く柔らかく暖かく、 まるで菩薩様に抱かれているような錯覚を覚えた。
もう一度言うが、全国大会を経験したことのあるスーパーバンドなのに
聴衆に対しても決して気取ることなく気さくに接してくれるバンドである。
構成や選曲、演奏にそれが表れていた。
入場無料というのにも驚きであるが、自己満足に陥ることなく、 感謝を忘れず、謙虚に自分たちを見つめているのだろう。
バンドのプロフィールを拝見すると、どこかのOBバンドなどではなく、 完全なプライベート・バンドでの出発だったそうである。
団長の方の人徳もあるのだろう。
すばらしいバンドに出会ったものだ。
すっかりおなか一杯で帰途についた。
■グラールウィンドオーケストラHP http://www.gwo.org/
★次回の主催演奏会は2005年2月にウインターコンサートを予定しています。お楽しみに! |
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