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イーストマンウィンドアンサンブル
2004年アジアツアー in 東京オペラシティ


今回で7回目となるアジア・ツアーですが、最も注目すべき点は指揮者が変わったことでしょう。2002年に正式に指揮者となったマーク・スキャッタディ氏は前指揮者ハンスバーガー氏の愛弟子で、92年の日本ツアーでは副指揮者としても参加しました。
新しい指揮者による新しい音楽表現、新しい可能性。私自身本当に楽しみにしていた演奏会でした。


トンプソンのソロにブラボーの嵐
絶妙のハーモニーはEWEならでは
終演後のロビーで

まず驚かされたのはプログラミング、積極的に新しい作品を取り入れる姿勢は21世紀のイーストマンをいて行くスキャッタディ氏の考えではと思いました!

 まず1曲目はバッハ作曲の『トッカータとフーガ ニ短調』です。編曲はもちろんハンスバーガーのものです。金管の重圧的な響きにまずは圧巻! 特に金管低音テューバ、バス・トロンボーン)の響きは本当に素晴らしく、ホール全体を包み込んでいました。そして音楽の流れがとても自然で指揮者の音楽の作り方にとても共感が持てました。

 2曲目はロバート・ラッセル・べネット作曲の組曲『古いアメリカ舞曲』。1950年に書かれたこの作品は作曲者が子供の頃の思い出となっている特徴あるダンスのいくつかを思い出しながら、お祭り気分に欠かせない陽気さで土曜の夜のカントリー・ダンスのパーティーの雰囲気を出そうとした作品だそうです。
 実際聞いてみるとまさにその陽気さが充分感じられる素晴らしい作品で、アメリカン・サウンドを堪能することができました!

 3曲目は私が最も楽しみにしていた作品、フィリップスパーク作曲の『ダンス・ムーブメント』です。作品の説明はもう必要ないでしょう。それほど今後吹奏楽史に残る名作です。
 スキャッタディ氏がこの作品をどのように仕上げるかてくるのか、私自身期待が高まりました。実際の演奏はやはり期待を裏切らない素晴らしい出来でした! 途中少しアンサンブルが乱れるところがありましたが、指揮者の確実な音楽作りに助けられ20分があっという間に過ぎました。
 演奏が終わったとたん『ブラボー!』の嵐。スキャッタディ氏も満足そうな笑顔で拍手に答えていました。

〜休憩〜

 休憩を挟んで4曲目はレナ−ド・バーンスタイン作曲、フランク・ベンクリシュート編曲の交響曲第1番『エレミア』〜冒涜〜です。
 この作品は1944年にバーンスタイン指揮、ピッツバーグ交響楽団によって初演された作品です。『予言』『冒涜』『哀歌』の3楽章から形成されていて、旧約聖書の単旋聖歌(カンティレ−ション)とユダヤ教会の礼拝聖歌という、純粋なヘブライ音楽を元に作曲された作品だそうです。
 非常にリズムが複雑な作品で、さらにかなりの技術を要するものだと思いました。
 シビアな音楽の中にバーンスタインならではのジャズのエッセンスがたくさんはいっていて、さらに個人的には最後の部分でティンパニーをマラカスで叩いて演奏する部分がとても印象に残りました。

 5曲目はモーテン・ラウリゼン作曲、ロバート・レイノルズ編曲の『オ・マグナム・ミステリウム』です。もともとは合唱用に書かれたこの作品は1994年にポール・サラムノビッチ指揮、ロサンゼルス・マスター・コラールで初演され、その後世界で最も上演、録音される作品のうちの1つになりました。今回は吹奏楽版での演奏です。
 通常の編成よりもさらに人数を減らし、必要最低の人数で演奏をしていました。ゆったりした作品ですが非常に凝った和声を使っていて聴き手を飽きさせない素晴らしい作品だと思いました。
 中間部のトランペット・ソロ、『ブラボー!』でした! 近年『ゴーストトレイン』などの作品を書いているエリック・ウィッテカーも自作の合唱作品を吹奏楽版に書き換えた『クラウド・バースト』や『スリープ』を出版しています。

 6曲目は『シャカタ〜歌によって世界は生まれた〜』や『新世界の踊り』などで有名なダナ・ウィルソンのトランペット協奏曲『リーダー・リーダー』です。
 ここではトランペット・ソロにジェームズ・トンプソン氏(イーストマン音楽学校トランペットの教授)を迎え演奏されました。トランペットのソロはとにかく『凄い!』のひと言でした。音質、技術、音楽性、すべてにおいて完璧でした。
 この作品のサブ・タイトルになっている『リーダー・リーダー』とは、この曲の統率力、より良い方向に導く技術の指導者(リーダー)役にトランペットを据えて、そういう関係を探索していく作品で、まさにトンプソン氏はリーダーとしてこの作品をより良いものに引っぱりあげていました。
 曲は細かなアンサンブルやソリストと伴奏者との掛け合い(コール・アンド・レスポンス)、そしてジャズのエッセンスと色々な仕掛けがしてあり、とても楽しめる作品でした!

 そして最後の7曲目ジョン・フィリップ・スーザ作曲、『スーザ生誕150年を記念して〜スーザ組曲〜』が演奏されました。
 演奏されたマーチは次の4曲です。『旗の騎士』『雷神』『ワシントン・ポスト』『忠誠』で曲間はドラム・マーチでつなげて演奏されました。内容もさすがイーストマン、スーザ・マーチは手慣れたいるようでテンションもかなり高い演奏でした!

 そしてアンコールではスキャッタディのスピーチの後に中学生の皆さんが登場、スーザ作曲『海を越える握手』が演奏されさえました。その後にハンスバーガー氏も登場。スキャッタディ氏に花束を贈呈しました。そして、次のアンコール曲は、な、なんとハンスバーガー氏の指揮で『星条旗よ永遠なれ』が演奏されました。これには観客も大興奮!! 凄まじいほどの『ブラボー!』の嵐でした。

 その後3曲アンコールが演奏され大盛況のうちに演奏会は幕を閉じました!

 今回のアジア・ツアーでイーストマンの新しい可能性が見え、今後ますますの期待が集中しそうです。私も今から次の来日公演が楽しみです!!

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