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奈良市吹奏楽団

BLUE RAG CONCERT note EX
〜ノグチ・キネン・ウインドオーケストラ

日時:2004年4月11日(日)
会場 奈良県文化会館国際ホール
レポート:ヒロ


音楽のすばらしさを教えてくれた野口泰正さんに心からの感謝を・・・


 奈良市吹奏楽団の今年の演奏会(BLUE.RAG.CONCERT) は、2003年4月に逝去された野口泰正先生の生前の功績を称えると共に感謝と偲ぶ気持ちを込めた特別な演奏会として開催されました。

 第一部は奈良市吹奏楽団、第二部は近畿大学吹奏楽部、そして第三部は野口さんと関わりのあった多くの方々が参加したノグチ・キネン・ウインドオーケストラとして約130名からなる合同バンドでの演奏となりました。

 皆さんは、サイトウ・キネン・オーケストラって聞いたことがないでしょうか? あの小澤征爾が総監督を務め、日本の音楽教育史上で重要な役割を果たした故・齋藤秀雄氏を恩師と仰ぎ 世界各地で活躍する日本人の一流音楽家が、毎年一度夏に日本にあつまり追悼コンサートを開く特別編成のオーケストラです。

 小澤征爾はベルリン・フィルとの間で、夏にはこのコンサートに参加しなくてはならないので、その間はベルリン・フィルの指揮はできないという内容で契約しているほど深い思い入れを持って臨んでいます。

<ノグチ・キネン・ウインドオーケストラ>はスケールこそ違いますが、思いはサイトウキネンと全く同じで、野口さんへの気持ちから編成されました。

 さて 野口泰正さんとは どういう方かというと・・・

 地元奈良県を中心に吹奏楽発展のために尽力をつくされた方なのです。
 1971年、奈良市吹奏楽団を有志と共に創団されました。創設期の楽団は数々の難題を抱え、解散の危機に何度も直面しましたが、音楽にかける情熱と精力的な活動でその危機を乗り切り、現在の土台を作られました。

 また国立奈良工業高等専門学校吹奏楽部、奈良県立高田高校でも指揮・指導をされ、母校の近畿大学吹奏楽部では監督も務め、多くの輝かしい功績を残されました。その他にも大小の差はあれど関わりのあった人は数え切れないと言えるでしょう。
  
 そして何よりも人間的に温かみがあり、多くの方に愛された人なのです。

 実は僕も、親しくしていただいた1人なのですが、不思議なことに野口さんと初めてお会いしたのはいつだったのかハッキリしません。
 どんな関係で親しくさせてもらったのかも定かではありません。たぶん近畿大学の関係だと思うのですが、年代から見ても直接指導を受けたこともありません。

 また僕が大学卒業後 当時、野口さんが監督をされていた奈良市吹奏楽団へ何度か練習に参加させていただいたこともありました。これにしても、たぶん“遊びに来いよ”と誘ってもらったハズなのですが、はっきした記憶はありません。
    
 どんなジャンルでも指導者という方は強烈な個性もお持ちの方が多いように思うですが、野口さんはもの静かでナチュラルな雰囲気の方なのでした。しかし胸に秘めた音楽にかける情熱は、並はずれたものでした。

 野口さんは、そういう方だったと思います。

 さて、当日のコンサートの合間では、ゆかりの人たちに野口さんはどんな人だったのか、エピソードなどをうかがう構成になっていました。親しい方からは、お人柄のよくわかる話を色々聞かせてもらえました。

・何よりも音楽の好きな人だった
・いい音つくるためには努力を惜しまない人
・くどき上手な人(上手に誘われ、気がついたら入団していた)
・大きな声で怒ったりどなったりする人ではなかった。
 でもいい音楽をつくるために的確な支持を出してくれた
・ボソボソ声で話す人だった
・めんどう見のいい人だった(喫茶店で何時間も話に付き合ってくれた)

 等々、そんな話をたくさん聞かせてもらいました

 高田高校で指導を受けたある人からはこんな話がありました
  
 野口さんは高田学校の先生ではなく、当然顧問でもなく、ましてやOBでもない。なのになぜか他の楽団の指導もしながら忙しいのに教えにきてくれている人・・・。当時は何の疑問もなくそのことを受けいれていました。

 あとで知ったことなのですが当時、高田高校は部員は結構いたのですが、指導できる人がいない状況で、せっかく大きな可能性を秘めながら空回りしている状態で、それを見かねた野口さんが時間をやりくりしながら、指導してくださっていたのだと・・・。

 第三部 <ノグチ・キネン・ウインドオーケストラ>の開幕は野口さん自身が作曲したオープニング・ミュージックで始まり、約130名からなる大型バンドの太い音が会場にしっかり響きわたりました。
  
 メインでは「フロレンティーナ行進曲」(J.フチーク)と「ディエス・ナタリス」(H.ハンソン)が力強く熱演され、両曲とも指揮された方の深い想いをズシンと感じることができました。
  
 アンコールではサックスのメンバーがステージの前に立ち、渋いソロを吹いたのですが、その時ステージ横にあったスクリーンには、なんと野口さんが同じように舞台の前でサックスを吹く映像が流れました。
  
 奈良市吹奏楽団の第13回定期演奏会の1シーンとのことで、曲名はジャズのスタンダード <煙が目に沁みる>です。
  
 僕は野口さんが指揮をされている姿は何度も見ていますが、楽器を吹いているのを見るのは初めてでした。これはかなり貴重な映像だと思います。

 もの静かで見かけは地味な人なのですが、歌い上げるアルト・サックスは表情豊かでドライブの効いた素晴らしい演奏でした。演奏が終わり、割れるような拍手の中、何度もおじきをされていましたが、なりやまぬ拍手に思わず右手を上げて歓声に応えられていました

 ふだんは、手を振るなんてテレ臭くて絶対にヤレない人だと僕は思っていましたので、その映像は本当に感動的でした

 とっていい顔をした野口さんがそこにおられました。

 スバリ 気持ちのこもった素晴らしいコンサートでした。
 こんなコンサートを開いてもらえて野口さんは本当に幸せな人だと思います。とても僕はそんな人間にはなれません。自分が楽しむためが精いっぱいです
 こんな立派な先輩がおられたことは、僕の誇りです。  




■ヒロさんのHP<風に吹かれて>
http://www2.ocn.ne.jp/~jun2000/tenntyounoheya.htm

■奈良市吹奏楽団のHP
http://www3.osk.3web.ne.jp/~nouchi/naracity/




















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