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テュービアム3

レポート

日時:2004年4月17日(土) 19:00〜
場所:横浜みなとみらいホール 小ホール
レポート:織茂 学(ピアニスト)
http://www.fides.dti.ne.jp/~m-orimo/

近年ユーフォニアムとテューバによるアンサンブル、いわゆる“バリチューアンサンブル”が活発に結成され、活動さています。そのパイオニア的存在のアンサンブルの1つである「テュービアム」。
 音楽監督に作曲家の戸田顕氏を迎えて、バリテューアンサンブル曲の普及と可能性の追求を目的として活動されています。

 

今回で3回目を迎えた演奏会は、まず新たなメンバーに、前回、第2回の時にゲスト出演されたユーフォニアム奏者で、ユーフォニアム・アンサンブル「ラフィネ」のメンバー庄司恵子さんと、関西フィルハーモニー管弦楽団テューバ奏者の吉野竜城氏を加え、さらにメンバーも充実し、音楽の幅を拡げております。

 演奏会は2部構成で、第1部は、現在吹奏楽界でも活躍中の作曲家、天野正道氏、八木澤教司氏の委嘱作品と、戸田顕氏の作品が・・・第2部はゲストとして、ジャズ・ユーフォニアム奏者の作品が演奏されました。
 また、演奏会は戸田氏の司会による、作品解説、作曲者・ゲストへのインタビューがあり、かなり深く掘り下げたお話まで伺うことができました。

 第1部は「ユーフォニアムとチューバのためのオリジナル作品を集めて」ということで、邦人3人のオリジナル曲4曲が演奏されました。

 1曲目は「フェスティバル・ファンファーレ/戸田顕」です。
 この曲はファンファーレということで、オープニングを飾るのに相応しい曲です。バンダで3本のユーフォニアムと1本のテューバがオプションで加わる曲ですが、今回はバンダなしで演奏されていました。
 技術的にもそれほど難しくはありませんが、テュービアムの方々はそこからさらに踏み込んだ音楽的にレベルの高いものを求めた素晴らしい演奏が披露されました。

 2曲目は「バリ・テューバ四重奏曲《ラプソディ》/八木澤教司」です。
 作品は八木澤氏らしい美しいメロディーを持ったやわらかい感じの曲です。当日のご本人のお話によると「中学・高生のレパートリーになり得る作品をと頼まれました」とのことでした。
 技術的には中級ぐらいのようですが、音楽的には色々な可能性があるようなので、奏者側のセンスが問われる作品かもしれません。

 3曲目は「四重奏曲/天野正道」です。
 この曲は八木澤作品とは違い、「技術的にも難しい曲をお願いします」ということで書かれた作品です。4つの楽章からできていますが、当日の演奏は3楽章と4楽章の間はアタッカで繋いで演奏していました。
 天野作品らしい和音と高音、そしてベルトーンが演奏の鍵になっているようです。この難しい作品を、素晴らしい技術と音楽性で演奏したテュービアムの方々は本当に素晴らしかったです。

 第1部最後の曲は「小組曲・テュービアム・ダンス/戸田顕」です。
 この作品は5つの小品で構成されています。
5曲とも踊りが踊れるようなイメージを持ちながら演奏する事が大切なのですが、1曲目は8分の5拍子、2曲目が3拍子、3曲目が4拍子、4曲目が8分の6拍子、終曲が再び8分の5拍子という、少し独特な拍子の構成になっています。1曲1曲イメージを変えて演奏しなければならないのですが、
この独特な拍子により、より変化がつきやすいように感じました。
 しかし最後5曲目は統一性を求めるために、再び1曲目と同じ様に5拍子を演奏することが大事かもしれません。音域や音色で差をつけることが難しいアンサンブルで、それぞれ独特の拍子を持つ“ダンス”を、それぞれの“色”でバランスよく1曲1曲を仕上げつつ、大きな“組曲”としての統一性をも兼ね備えた演奏をされていたのは流石だと思いました。


 休憩を挟んだ第2部は、第1部のクラシカルなプログラムとはガラッと雰囲気を変えた「ジャスのサウンドのプログラム」が用意されていました。
 ゲストの山岡潤氏、深野雄一氏を迎え、山岡氏自身により編曲された作品4曲を含めた6曲が演奏されました。

 ユーフォニアムとテューバによるジャズは私は初めて聴きましたが、甘いメロディーやしっとりと歌い上げるところなど、これほど合うものなのかと驚きました。
 3曲目に披露された「スターダスト」は山岡氏本人の編曲、魅力あふれるサウンドによるソロにより、クラシカルなユーフォニアムの魅力とは違う新しいユーフォニアムを聴くことができました。

 アンコールも2曲演奏され、とても豪華な演奏会でした。

 ユーフォニアムとテューバ。似たような音域をもつこの2つの楽器同士のアンサンブルは、技術的にも音楽的にも、もちろん演奏することは難しいですが、それ以上に、それぞれの楽器の音色に変化をつける事がとても難しいと感じました。

 ですが、そこはテュービアムの方々は「流石プロ!」という、技術、音楽性、それに音色と、細かいところまでコントロールされている、正にバランスのとれた素晴らしい演奏でした。

 次回のテュービアム4の演奏会も、今回以上に趣向を凝らしたプログラムとバランスの整った素晴らしい演奏が、私達を誘ってくれると思います。
 これからも、バリチューの可能性や面白さを伝えてくれるこの演奏会は注目です!

 


〜プログラム〜
第1部
・Festival Fanfare(フェスティバル・ファンファーレ)/戸田 顕
・Rhapsody(ラプソディ)/八木澤 教司
・Quatuor(四重奏曲)/天野 正道
・Little Suite Tubium Dances(小組曲・テュービアム・ダンス)/戸田 顕

第2部
・Sentimental Journey(センチメンタルジャーニー)/Les Brown
・Autumn Leaves(枯葉)/Joseph Kosma(arr.山岡 潤)
・Stardust(スターダスト)/Hoagy Carmichael(arr.山岡 潤)
・Mood Indigo〜Satin Doll(ムード・インディゴ&サテン・ドール)/Duke Ellington
・Limelight〜Smile(ライムライト&スマイル)/Charles Chaplin(arr.山岡 潤)
・There is no greater love(ゼア・イズ・ノー・グレーター・ラブ)/Isham Jones(arr.山岡 潤)

アンコール
・Over The Rainbow(オーバー・ザ・レインボー)(arr.山岡 潤)
・St.Louis Blues March(セントルイス・ブルース・マーチ)(arr.戸田 顕)


■テュービアムホームページ
http://www002.upp.so-net.ne.jp/TUBIUM/

■戸田顕氏ホームページ
http://homepage1.nifty.com/ATODA/

■八木澤教司氏ホームページ
http://www.horae.dti.ne.jp/~yagisawa/home

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