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レメンス音楽院シンフォニック・バンド定期演奏会
◎プロを目指す学生にとって、この日の演奏会は
  今後の音楽活動への貴重な経験となっただろう
世界的吹奏楽作曲家ヤン・ヴァン・デル・ローストのもとで82年に創立、以来数々のレコーディングを残してきたレメンス音楽院シンフォニック・バンド。ここ数年、同バンドはグレッグソン、チェザリーニ、ヨハン・デメイ、トーマス・ドスといったヨーロッパを代表する作曲家達を客演指揮者に迎えて演奏会を行なってきましたが、今回は近年作曲家として益々脂の乗ってきたフィリップ・スパーク氏を迎え、大盛況のもとで演奏会を終えました。この模様を、リハーサル風景なども含めてレポートしたいと思います。

(ちなみに当音楽院名は「レマンス」と表記されることがありますが、現地ベルギーのオランダ語ではLemmensをつづり通り「レメンス」と発音します。このレポートではこの後者の方を用いたいと思います。



レメンス音楽院正面
左から筆者、スパーク、ヴァンデルロースト
客演指揮のスパーク
花束を手にする2人
 

ステージ横まで超満員の観客を集めて始まった定期演奏会。1曲目の「ゲルニカ」はピカソの同名絵画からインスピレーションを得たという、レメンス音楽院創立125周年を記念して委嘱された作品。同音楽院講師でデ・ハスケから数多くの作品を出版してきたヤン・ハーデルマンの新作は、スパニッシュなダンスと現代的な作風のうまくミックスされたグレード5の難曲。来シーズン(04-05年)のデ・ハスケからの出版が予定されているということです。

 「ベルキス」で華やかに前半を終えた後は、後半からスパーの登場。最近日本でも耳にする機会の多い「ダンス・ムーブメント」と「ハイランド讃歌組曲」が演奏されました(この選曲はヴァン・デル・ローストとスパーク双方で話し合って決めたそうです)。

 96年にアメリカ空軍の委嘱で作曲、アメリカで権威あるスーザ協会サドラー賞を受賞した「ダンス・ムーブメント」は、聴いている方は楽しいが演奏する方はひと苦労という難曲。リハーサルでも多くの時間を費やしましたが、スパークの小刻みな指揮によって演奏する側は大変演奏しやすく、本番でもテンポ良く曲が進んでいきました。

 「ハイランド讃歌組曲」はもともと7楽章からなるブラスバンド(金管のみ)作品の中から3つの楽章を吹奏楽版に編曲したものですが、この日は同じ原曲から吹奏楽曲として独立した「ストラスカローン」を2楽章と3楽章の間に挟み、より原曲に近い形で演奏されました。この日演奏されたのはいずれもスパークらしさの十二分に出た名曲で、観客も大満足で会場を後にしました。

 大きなモーションと心温かい?キューが多いヴァン・デル・ローストの指揮とは対称的に、スパークの指揮は最小限のモーションとシンプルな表現が多く、それぞれお2人の人柄が指揮にもよく表れていて、大変興味深かったです。

 また「典型的なイギリス紳士(ヴァン・デル・ロースト談)」のスパークは無類の冗談好き?でもあり、リハーサル第1回目からそのユーモア溢れる話術で団員を魅了。緊張しがちな場を解きほぐし、短期間で見事に団員の心をつかみ、バンドを自在に操って思い通りの演奏に成功していました(演奏会後の打ち上げでもスパークは豪快な飲みっぷりを披露してくれました)。

 音楽大学のバンドとはいえ、私も含めて団員の3分の1は第2専攻で楽器を吹いている学生の集まり。それが一夜にして世界を代表する作曲家2人の指揮のもとで演奏会を経験することができたのは大変幸運なことであり、それぞれが今後の音楽活動への貴重な経験となったことと思います。

 今後もその活動が注目されるスパークですが、今年5月の来日、さらに6月にはシエナ・ウィンド・オーケストラ定期演奏会での「ドラゴンの年」の演奏が予定されているようです。これからさらにどんな名曲を生み出してくれるのか、一ファンとして楽しみです。


<プログラム>

・ゲルニカ(ハーデルマン)
・サクソフォン協奏曲(ジルソン)
・シバの女王ベルキス(レスピーギ/木村吉宏編)
・ダンス・ムーブメント(スパーク)
・「ハイランド讃歌」組曲、ストラスカーロン(スパーク)
・セレナーデ(ブルジョワ)


【スパーク、ヴァンデルロースト、広瀬勇人関連CD】

メイド・イン・ジャパン/Made in Japan
デ・ハスケ社から出版されてる邦人作品を集めたコンピレ‐ション盤。これが世界デビューとなる広瀬勇人の「ブレーメンの音楽隊」に注目
http://item.rakuten.co.jp/bandpower/cd-0569/
マスカレード〜フィリップ・スパーク作品集/Masquerade
「カレイドスコープ」「マスカレード」そして「アウト・オブ・ザ・ダークネス, イントゥ・ザ・ライト」収録。今、これを聴かずして何を聴く?って感じです。
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457687/525463/
ヴォルケーノ/Volcano
史劇を思わせるカッコいい「ジュビラウス」にいきなりノック・アウト! スパークの「ストラスカーロン」もゴキゲン。
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457687/510999/

 

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