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Midwest Clinic 2004 ミッドウェスト・クリニック2004

期間:2003年12月16〜20日
会場:ヒルトン・シカゴ
レポート:広瀬勇人(作曲家)
◎少しずつ、確実に細部の勢力地図が変動していくミッドウェスト・クリニック

私自身今回が4回目となるミッドウェスト・クリニックへの参加でしたが、過去のものも参考に、今回のミッドウェストで私なりに感じたものをいくつかご紹介させて頂きます。

ミッドウェスト開催中に開かれる数多くの演奏会の中でも、毎年目玉となるのは軍隊バンドの演奏会。今年は陸軍フィールドバンドが演奏しました。

軍隊バンドの演奏には毎年ただただ圧倒されるばかりなのですが、今回の陸軍フィールドバンドは全体的に淡白で、軍隊バンドの割にはどの曲も似たような演奏だったというのが私の第一印象でした(これは常任指揮者の方の性質、好みによるところが大きいような気がしました)。
 ただ、ゲスト・コンダクターのトーマス・ダフィ(イェール大バンド指揮者)が振った、複合拍子の自作曲(右手と左手で違う拍子を振る。バンドも左右で違う拍子で演奏)は、この演奏会で唯一?大いに盛り上がりました。

○演奏:陸軍フィールドバンド
○指揮:フィンレー・ハミルトン

<演奏されたプログラム>

・エピック・ファンファーレ(ジュリー・ジルー)

・アメリカ国歌(スミス)

・セビリアの理髪師(ロッシーニ)

・Invicible Eagle(スーザ)

・ポエム(グリフィス)

・Pageant (ヴィンセント・パーシケッティ)

・エンジェルズ・ゲートの日の出(フィリップ・スパーク)

・コルプス・カロサム(ダフィ)

・交響曲第5番よりフィナーレ(ショスタコービッチ)

・星条旗よ永遠に(スーザ)



ミッドウェスト・クリニックの総責任者(プレジデント)でアメリカ吹奏楽業界の重鎮、レイ・クレイマー率いるインディアナ大バンドも今回の目玉演奏会の1つでした。「インディアナ大音楽学部」というと、アメリカのクラシック音楽界では泣く子も黙る?古くからの名門校の1つですが、陸軍フィールドバンド同様、予想していた程伝わってくるものがなかったというのが正直なところでした。
 管楽器の優秀な学生はテキサスなどアメリカ中部・南部の、いろんな意味で勢いのある大学の方に流れていっているのかもしれません。

ニューヨーク・フィル主席Trb奏者ジョセフ・アレシによるエウェイゼンの「トロンボーン協奏曲」が盛り上がった他、マイケル・ドァティの「ストコフスキーの鐘」(Bells for Stokowski)は今シーズン他の大学バンドの新譜CDでもいくつか取り上げられているようです。

○演奏:インディアナ大バンド
○指揮:レイ・クレイマー

<演奏されたプログラム>

・ウィーン・フィル・ファンファーレ(R.シュトラウス)

・Blessed Are They

・ライド!(サミュエル・ヘイゾ)

・ストコフスキーの鐘 (マイケル・ドァティ)

・The Light Fanastic (Rindfleisch)

・ウッドストックの近くで(グレンジャー、クレーマー編)

・Vision of Light(エウェイゼン)

・J. S. Dances(グランサム)

・バトル・オブ・シロー (C.L.バーンハウス)



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今、アメリカで注目を集める作曲家
「ジュリー・ジルー」
「エリック・ウィッテカー」
「西邑由記子」

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 毎年ミッドウェストの総合プログラムをめくっていると、少しずつですが取り上げられる作品の作曲家、出版社の割合が変わっていることに気がつきます(もっとも大まかなところでは大体同じなのですが)。
 2年前の同レポートでご紹介させていただいたジュリー・ジルー、エリック・ウィッテカーといった作曲家などは、当時に比べてミッドウェストでの演奏回数、客演指揮等が格段に増え、確実にその勢力を伸ばしてきています。両者とも個人で出版社を経営しているので大出版社のバックアップみたいなものはありませんが、量出版社とも年々人だかりが増えて勢いを感じさせます(特にジルーはブースでの出版社の位置も中央近くに「昇進」?した)。
 日本でもこの2人の作品は、アマチュア・トップ・クラスのバンドを中心に、数年前から少しずつ取り上げられ始めているようです。今後日本でも増えていくかどうか、注目して見てみたいと思います。


■ジュリー・ジルーの代表作

・翼とともに〜ファンファーレと序曲
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457700/463438/

■エリック・ウイッテカーの代表作

・ゴースト・トレイン
http://www.rakuten.co.jp/bandpower/457687/479340/


 また今回、ジョージア州の中学生バンドが日本人作曲家、西邑(にしむら)由記子さんの「スター・シップ」(サザン・ミュージックより出版)を演奏していました。余談ですが、地下ブースでアルフレッド・リード博士とお話する機会に恵まれた際、「日本人のニシムラという作曲家の作品は大変よかった」と絶賛されていらっしゃいました。
 当作品は「21世紀の吹奏楽、響宴」でも取り上げられた作品だったと記憶しています。今後注目の作曲家となっていくことでしょう。


【総括】

 毎年基本的に同じような内容でいて、しかし少しずつ、確実に細部の勢力地図が変動していくミッドウェスト・クリニック。今後もできる限りBP誌上を通じてご紹介していきたいと思います。

■ミッドウエスト・クリニック公式HP
http://www.midwestclinic.com/conferenceinfo.asp

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